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序章: 聖女になるのにどれだけ大変だったと思っているの?
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皇帝陛下は帝国でのこれ以上の内乱の発展を危惧して自ら玉座を下り、共和国政府の樹立を正式に承認した。
要するに、無条件降伏である。
伝令が伝えに来たのはそんな最悪な一報だった。
「嘘・・・・・・ありえないわ! まだ返す目は十分にあるじゃない! 勝負はここからだってのに!」
「しかし、皇帝陛下が投降を選択された以上、我が軍が動くわけには・・・・・・」
「そんなの知ったことじゃないわよ! 私の作戦だったら絶対に勝てるわ! 皆もついて来てくれる。そうでしょ?」
今なら中央で衝突している中央軍の部隊に合流して、混戦に持ち込むことができるかもしれない。
反乱軍の頭さえ仕留めてしまえば、臆病な皇帝も態度を変えるだろう。
そのためには手持ちの兵力を一刻も早く敵の背後にぶつける必要があった。
が、イシリアの働きかけに、応じる声はなかった。
「それが、もう一つ伝令事項がありまして・・・・・・」
伝令が申しにくそうに付け加える。
「何よ?」
「此度の紛争における帝国正規軍の抵抗は、聖女イシリアの独断専行によるものであり、朕は共和国政府に恭順の意を示し、全軍の武装解除とイシリアの身柄拘束を命じると」
「はぁ!!? あのオヤジ、ふざけんじゃないわよ! 私だけに責任おっかぶせて自分だけ身の安全を保証してもらおうって・・・・・・もういいわ! 馬鹿皇帝の言うことなんか聞かないわよ・・・・・・ねぇ?」
いつの間にかイシリアの外に向いていた刃や鋭鋒が、自身に集中していた。
「ちょっと、私よりあの馬鹿皇帝の言うことを聞くっての? 少しは頭冷やして自分達で考え・・・・・・な、何するのよ!」
「恐れ入りますが、イシリア様の御身柄を拘束致します」
イシリアは抗うが、大の男に両腕を掴まれては、さすがの十八歳の少女には手も足も出なかった。
剣技と俊敏さではともかく、純粋な腕力で比べられては、イシリアに勝ち目などないのだ。
「放せ! 放しなさいよ! 私を誰だと思っているの! ちょっと、いい加減にしなさいよ、もう! がぶっ!!」
「ぎゃあぁ!! 耳を噛まれた!」
「ンゴンゴ、ムムムムム!! (放さないと耳をかみちぎるわよ!)」
「こっちも抑えられない! 誰か、足を持ち上げろ!」
まるで暴れ馬でも押さえつけるかのように、何人もの男達が華奢なイシリアの身体の自由を奪っていく。
それでも彼女は抗い続けた。
今までに積んできた、血の滲む努力を無下にするくらいなら、傍目など気にする暇もなかった。
「ええい! ご無礼を」
見苦しい聖女の抵抗を見かねた衛兵幹部の一人が、もがくイシリアのうなじに手刀を打った。
「ごふっ!」
勝つためにせわしく回転していた頭が急に真っ白になって、イシリアの視界はやがて暗くなった。
要するに、無条件降伏である。
伝令が伝えに来たのはそんな最悪な一報だった。
「嘘・・・・・・ありえないわ! まだ返す目は十分にあるじゃない! 勝負はここからだってのに!」
「しかし、皇帝陛下が投降を選択された以上、我が軍が動くわけには・・・・・・」
「そんなの知ったことじゃないわよ! 私の作戦だったら絶対に勝てるわ! 皆もついて来てくれる。そうでしょ?」
今なら中央で衝突している中央軍の部隊に合流して、混戦に持ち込むことができるかもしれない。
反乱軍の頭さえ仕留めてしまえば、臆病な皇帝も態度を変えるだろう。
そのためには手持ちの兵力を一刻も早く敵の背後にぶつける必要があった。
が、イシリアの働きかけに、応じる声はなかった。
「それが、もう一つ伝令事項がありまして・・・・・・」
伝令が申しにくそうに付け加える。
「何よ?」
「此度の紛争における帝国正規軍の抵抗は、聖女イシリアの独断専行によるものであり、朕は共和国政府に恭順の意を示し、全軍の武装解除とイシリアの身柄拘束を命じると」
「はぁ!!? あのオヤジ、ふざけんじゃないわよ! 私だけに責任おっかぶせて自分だけ身の安全を保証してもらおうって・・・・・・もういいわ! 馬鹿皇帝の言うことなんか聞かないわよ・・・・・・ねぇ?」
いつの間にかイシリアの外に向いていた刃や鋭鋒が、自身に集中していた。
「ちょっと、私よりあの馬鹿皇帝の言うことを聞くっての? 少しは頭冷やして自分達で考え・・・・・・な、何するのよ!」
「恐れ入りますが、イシリア様の御身柄を拘束致します」
イシリアは抗うが、大の男に両腕を掴まれては、さすがの十八歳の少女には手も足も出なかった。
剣技と俊敏さではともかく、純粋な腕力で比べられては、イシリアに勝ち目などないのだ。
「放せ! 放しなさいよ! 私を誰だと思っているの! ちょっと、いい加減にしなさいよ、もう! がぶっ!!」
「ぎゃあぁ!! 耳を噛まれた!」
「ンゴンゴ、ムムムムム!! (放さないと耳をかみちぎるわよ!)」
「こっちも抑えられない! 誰か、足を持ち上げろ!」
まるで暴れ馬でも押さえつけるかのように、何人もの男達が華奢なイシリアの身体の自由を奪っていく。
それでも彼女は抗い続けた。
今までに積んできた、血の滲む努力を無下にするくらいなら、傍目など気にする暇もなかった。
「ええい! ご無礼を」
見苦しい聖女の抵抗を見かねた衛兵幹部の一人が、もがくイシリアのうなじに手刀を打った。
「ごふっ!」
勝つためにせわしく回転していた頭が急に真っ白になって、イシリアの視界はやがて暗くなった。
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