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序章: 聖女になるのにどれだけ大変だったと思っているの?
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馬車の外を覗いてみたが、何ということもない川辺の景色だ。
御者は外にいる誰かと話をしている。
やがて、何人かが馬車の帳を開いた。
「ほう、上玉を集めたもんだな」
「おい、今日はガキもいるぜ」
野太い声をした、柄の悪い男達がイシリア達を値踏みするように見ている。
なぜ、素性もよく知らないイシリア達を御者が拾ったのか。
そして、馬車に居合わせたのが偶然若い女性だけだったのはなぜか。
イシリア達は瞬時にその答えを察した。
「あの、あなた達は・・・・・・」
「あ? 商人だよ。女の奴隷を売り捌くな」
「ど、奴隷?」
「おうよ。ここまでの運賃といっては何だが、お前らを高値で売らせてもらうぜ」
「そんな! お金は要らないって言ったじゃない!」
乗客の一人が素知らぬふりをして馬に水を飲ませている御者に詰め寄った。
「ええ、だからお金は取りませんよ。しかし、対価は要らないとまでは言った覚えはありませんがね」
御者は相変わらず愛想のよい人相で、淡々と答えた。
「冗談じゃないわ! 奴隷になんかなってたまるもんですか!」
乗客の一人が怒ったように馬車を下りた所を、男達が取り囲む。
「な、何よ・・・・・・ぐふっ!!」
乗客は腹部に本気の拳を撃ち込まれ、ぐったりしたところを運ばれていった。
「きゃあぁ!! 助けて、誰かぁ!!」
もう一人は馬車の骨組みにしがみつき、男達に連れて行かれまいと抵抗を試みる。
「おら、お前達は大人しくこっちに来るよな?」
逃げも抵抗もせずにその場に留まっているイシリア母娘には油断したのだろう。
別の男が手を伸ばしたその時だった。
「がはっ!!」
イシリアの母親が背中に隠していた女神像を抜き取り、男の頭に叩きつけたのだった。
その後は矢継ぎ早にイシリアの手を引いて馬車の前から飛び降りる。
「おい、女が二人逃げるぞ!」
「あのアマ! 絶対にぶっ殺してやる!!」
二人の前には誰も乗っていない小舟があった。
「イシリア、乗って! それから、これを持っていくの! 安全な街に着いたら、どこかでお金に替えなさい!」
そう言ってアーネット神像だけが小さな手元に残った。
母はイシリアだけを船に乗せると、竿でつつくように小舟を岸から引き離した。
「お母さん? お母さん!」
「強く、生きるのよ!」
母は悲壮な顔で一度だけ振り返ると、震えながら竿で武器を持った男達と桟橋で対峙する。
竿を手にしばらくは交戦していたが、やがて武器を失い、男達に抑えられ、無理やりにも股を開かされた。
その後に繰り広げられるあらゆる形での卑劣な暴力。
イシリアは何もできないまま、どんどん小さくなっていく、そんな母の末路を見せられたのだった。
アーネット神は、返り血を浴びながらもそれでもいつものように笑っているだけだった。
御者は外にいる誰かと話をしている。
やがて、何人かが馬車の帳を開いた。
「ほう、上玉を集めたもんだな」
「おい、今日はガキもいるぜ」
野太い声をした、柄の悪い男達がイシリア達を値踏みするように見ている。
なぜ、素性もよく知らないイシリア達を御者が拾ったのか。
そして、馬車に居合わせたのが偶然若い女性だけだったのはなぜか。
イシリア達は瞬時にその答えを察した。
「あの、あなた達は・・・・・・」
「あ? 商人だよ。女の奴隷を売り捌くな」
「ど、奴隷?」
「おうよ。ここまでの運賃といっては何だが、お前らを高値で売らせてもらうぜ」
「そんな! お金は要らないって言ったじゃない!」
乗客の一人が素知らぬふりをして馬に水を飲ませている御者に詰め寄った。
「ええ、だからお金は取りませんよ。しかし、対価は要らないとまでは言った覚えはありませんがね」
御者は相変わらず愛想のよい人相で、淡々と答えた。
「冗談じゃないわ! 奴隷になんかなってたまるもんですか!」
乗客の一人が怒ったように馬車を下りた所を、男達が取り囲む。
「な、何よ・・・・・・ぐふっ!!」
乗客は腹部に本気の拳を撃ち込まれ、ぐったりしたところを運ばれていった。
「きゃあぁ!! 助けて、誰かぁ!!」
もう一人は馬車の骨組みにしがみつき、男達に連れて行かれまいと抵抗を試みる。
「おら、お前達は大人しくこっちに来るよな?」
逃げも抵抗もせずにその場に留まっているイシリア母娘には油断したのだろう。
別の男が手を伸ばしたその時だった。
「がはっ!!」
イシリアの母親が背中に隠していた女神像を抜き取り、男の頭に叩きつけたのだった。
その後は矢継ぎ早にイシリアの手を引いて馬車の前から飛び降りる。
「おい、女が二人逃げるぞ!」
「あのアマ! 絶対にぶっ殺してやる!!」
二人の前には誰も乗っていない小舟があった。
「イシリア、乗って! それから、これを持っていくの! 安全な街に着いたら、どこかでお金に替えなさい!」
そう言ってアーネット神像だけが小さな手元に残った。
母はイシリアだけを船に乗せると、竿でつつくように小舟を岸から引き離した。
「お母さん? お母さん!」
「強く、生きるのよ!」
母は悲壮な顔で一度だけ振り返ると、震えながら竿で武器を持った男達と桟橋で対峙する。
竿を手にしばらくは交戦していたが、やがて武器を失い、男達に抑えられ、無理やりにも股を開かされた。
その後に繰り広げられるあらゆる形での卑劣な暴力。
イシリアは何もできないまま、どんどん小さくなっていく、そんな母の末路を見せられたのだった。
アーネット神は、返り血を浴びながらもそれでもいつものように笑っているだけだった。
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