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FILE2: 警告と禁忌
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歩いて三十分ほど経過しただろうか。
三人は山道の終端に突き当たった。
そこは山頂というわけではなかったが、麓から歩いてきた彼らを迎えるかのように小さな祠が巌を背に建てられていた。
麓で見かけた東屋のように、いかなる宗教のものか知れない独特の装飾が施されている。
この地の土着宗教の一種だろうか。
辺り一面には石塔やら岩仏のような彫刻が乱立しているが、いずれも苔むして幾つかは崩れている。
ホラー企画としてはまさに絶好の場所。
女子高生の制服姿というだけに、これ以上歩き慣れない道を歩く必要もないわけで、ここを動画の撮影場所に選ぶとしよう。
「ヤッホー! スズナだよ~ 今日は三人のスペシャルコラボ企画! 何と人気急上昇中のナナタン(莉子のハンドルネーム)とアリシアさんに登場して頂きました!」
「は~い! 皆さん、ナナタンで~す! スズナさんからの勧誘でやってきました~、よろしくお願いしま~す」
「Hi, アリシアデス。How are you?」
「今日私達がいるのは何と、征六山! そうです! 最近ネット上で女の子が何人も行方不明になっているという女人禁制の場所で取材をしちゃっています!」
「え~!? そんな場所に来ちゃって大丈夫なの~? ナナタン怖いよぉ・・・・・・」
「No problemデス! コレハ日本ノ悪シキ男尊女卑ノ象徴! 祟リナドアリエマセ~ン!」
「と、二人は言っていますが、真相はどうなのでしょうか。ここからは三人のそれぞれお好きなアカウントから征六山の探索動画を探してみてください! では皆さん、また会いましょう」
コラボ企画の挨拶動画だけ撮り終えると、三人はそれぞれ単独での動画配信を始めた。
元より三人とも趣向もキャラ属性も全く異なるインフル―エンサー、もしくは動画配信者なのだ。
似ていると言えば、最近人気が落ち目に入りつつあるということくらいか。
殊に、老いを感じ始めている鈴奈にしてみれば時間がなかった。
若さという武器が今度なくとも、ネット世界での自分の居場所を見つけなければ。
ただでさえ、男社会に苦しめられているのだ。
今日だけはそんな理不尽な世界に一矢報いてやろう。
そんな風に肩に力が入り過ぎてか、鈴奈の動画はだんだんと過激になっていった。
「あ、あれぇ・・・・・・どうしよう」
困った顔をしてスカートの裾を抑える鈴奈。
もちろん、演技である。
「スズナ、トイレに行きたくなっちゃいました・・・・・・でもここは、休憩所もない山の中です~」
辺りを見回しても祠の外に建物はない。鬱蒼とした木々の闇がどこまでも広がっているだけだ。
「どうしよう、今から山を下りても間に合わないよう・・・・・・そうだ!」
彼女が何を思いついた(演技をしている)か、考えるまでもなかった。
三人は山道の終端に突き当たった。
そこは山頂というわけではなかったが、麓から歩いてきた彼らを迎えるかのように小さな祠が巌を背に建てられていた。
麓で見かけた東屋のように、いかなる宗教のものか知れない独特の装飾が施されている。
この地の土着宗教の一種だろうか。
辺り一面には石塔やら岩仏のような彫刻が乱立しているが、いずれも苔むして幾つかは崩れている。
ホラー企画としてはまさに絶好の場所。
女子高生の制服姿というだけに、これ以上歩き慣れない道を歩く必要もないわけで、ここを動画の撮影場所に選ぶとしよう。
「ヤッホー! スズナだよ~ 今日は三人のスペシャルコラボ企画! 何と人気急上昇中のナナタン(莉子のハンドルネーム)とアリシアさんに登場して頂きました!」
「は~い! 皆さん、ナナタンで~す! スズナさんからの勧誘でやってきました~、よろしくお願いしま~す」
「Hi, アリシアデス。How are you?」
「今日私達がいるのは何と、征六山! そうです! 最近ネット上で女の子が何人も行方不明になっているという女人禁制の場所で取材をしちゃっています!」
「え~!? そんな場所に来ちゃって大丈夫なの~? ナナタン怖いよぉ・・・・・・」
「No problemデス! コレハ日本ノ悪シキ男尊女卑ノ象徴! 祟リナドアリエマセ~ン!」
「と、二人は言っていますが、真相はどうなのでしょうか。ここからは三人のそれぞれお好きなアカウントから征六山の探索動画を探してみてください! では皆さん、また会いましょう」
コラボ企画の挨拶動画だけ撮り終えると、三人はそれぞれ単独での動画配信を始めた。
元より三人とも趣向もキャラ属性も全く異なるインフル―エンサー、もしくは動画配信者なのだ。
似ていると言えば、最近人気が落ち目に入りつつあるということくらいか。
殊に、老いを感じ始めている鈴奈にしてみれば時間がなかった。
若さという武器が今度なくとも、ネット世界での自分の居場所を見つけなければ。
ただでさえ、男社会に苦しめられているのだ。
今日だけはそんな理不尽な世界に一矢報いてやろう。
そんな風に肩に力が入り過ぎてか、鈴奈の動画はだんだんと過激になっていった。
「あ、あれぇ・・・・・・どうしよう」
困った顔をしてスカートの裾を抑える鈴奈。
もちろん、演技である。
「スズナ、トイレに行きたくなっちゃいました・・・・・・でもここは、休憩所もない山の中です~」
辺りを見回しても祠の外に建物はない。鬱蒼とした木々の闇がどこまでも広がっているだけだ。
「どうしよう、今から山を下りても間に合わないよう・・・・・・そうだ!」
彼女が何を思いついた(演技をしている)か、考えるまでもなかった。
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