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1章: 学院内権力組織
応急手当
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スカートの裏地一枚に隔たれ、あの派手なパンティーのすぐ近くにあった布地をこんな至近距離で嗅がせられたら、止血どころの騒ぎではない。
――は、いい香り
肌触りの良い感触が下半分を覆った瞬間、シュロムの理性的な思考が停止した。
――あの子のスカートの中にも、こんな香りが充満しているのだろうか
短めのプリーツスカートで覆われただけのごく小さな空間に、シュロムの視線が映る。
「おぷっ!」
妄想が膨らめば膨らむほど、出血量も甚大になる。
「医務室まで同行します」
「え、それって統制委員の仕事ですか? それに俺、自分で行けますけど?」
「いいから来るのです。鼻血垂らしまくっているでしょ? ほら!」
シュロムはこうして、統制委員に医務室まで連行されることとなった。
幸か不幸か、医務室には担当職員の姿が見えず、統制委員は自ら薬棚から治療に必要な備品を探し出した。
「あの・・・・・・後は俺が自分でやりますから」
「いいのです。怪我人を放っておくのは統制委員として許されざる行為です。そこのベッドに腰かけていなさい」
とはいっても、身長が同年代の女子より圧倒的に低い彼女のことだ。
薬棚の一番上にガーゼがあって、それを取ろうとするが手が届かない。
「くっ!」
しびれを切らした彼女は二度、三度薬棚の前で飛び跳ねる。
その度にスカートが揺れて、シュロムの視線が注がれていることにも気付かない。
「あの、それくらい俺が取ろうか?」
「余計な手助けなのです!」
背の低いコンプレックスを認めることになるのか、統制委員は固辞し続ける。
それより早く、シュロムはガーゼが欲しかった。
それと、さっきから自発的にパンチラしまくっている風紀員から早く遠ざかりたかった。
「よっと!」
勢いよくジャンプしてガーゼに手を伸ばした瞬間、指だけが微かに触れて取り損なう。
そのせいでガーゼは奥に移動してしまい、やむなく彼女は近くの椅子を踏み台にしなければならなくなった。
――いや、だからその体勢はまずいでしょ?
すぐ下でシュロムがベッドに腰かけているのに、彼女は椅子の上で背伸びをしながらガーゼを取るのに必死だ。柄はおろか、もう尻への食い込み具合でさえ堂々と露出してしまっている始末。
「やった! 取れた! あわわわっ!!」
ガーゼをようやく手に入れた所で風紀員はバランスを崩してしまう。
「え、あ!! ちょっと!」
ボリューム感満点の桃色の丸尻が、シュロムの顔面を押し潰す。
「いたたた・・・・・・あれ?」
「は、早く退いて下さいよ!! 俺は怪我人なんでしょ?」
声を押し潰されながらもシュロムは悲鳴を上げた。視界は真っ暗で、自分がどこに頭を突っ込んでしまったかも定かではない。
わかるのはさっきのハンカチと同じ、香しい匂い。
「こ、これは、とんだ失礼を!!」
風紀員は恥じらった様子でシュロムから飛びのいて身繕いを整え、止血の本格的処置がようやく始まった。
「あ、ありがとうございます」
「別に・・・・・・当然の職務を果たしたまでなのです」
風紀員はそっけなく返した。
「処置は済んだのですから、早く、授業に向かうのです。あなた、次の教室は?」
「えっと、基礎魔法理論学だったかな」
どちらかと言えば余計に手間取ったような気がするが、もう話をややこしくしたくないのでシュロムは答えだけを返す。
「あれ? 私と同じ教室・・・・・・一年生、なのですか?」
「ああ・・・・・・Fクラスだけどね。俺、魔法が使えないから」
――は、いい香り
肌触りの良い感触が下半分を覆った瞬間、シュロムの理性的な思考が停止した。
――あの子のスカートの中にも、こんな香りが充満しているのだろうか
短めのプリーツスカートで覆われただけのごく小さな空間に、シュロムの視線が映る。
「おぷっ!」
妄想が膨らめば膨らむほど、出血量も甚大になる。
「医務室まで同行します」
「え、それって統制委員の仕事ですか? それに俺、自分で行けますけど?」
「いいから来るのです。鼻血垂らしまくっているでしょ? ほら!」
シュロムはこうして、統制委員に医務室まで連行されることとなった。
幸か不幸か、医務室には担当職員の姿が見えず、統制委員は自ら薬棚から治療に必要な備品を探し出した。
「あの・・・・・・後は俺が自分でやりますから」
「いいのです。怪我人を放っておくのは統制委員として許されざる行為です。そこのベッドに腰かけていなさい」
とはいっても、身長が同年代の女子より圧倒的に低い彼女のことだ。
薬棚の一番上にガーゼがあって、それを取ろうとするが手が届かない。
「くっ!」
しびれを切らした彼女は二度、三度薬棚の前で飛び跳ねる。
その度にスカートが揺れて、シュロムの視線が注がれていることにも気付かない。
「あの、それくらい俺が取ろうか?」
「余計な手助けなのです!」
背の低いコンプレックスを認めることになるのか、統制委員は固辞し続ける。
それより早く、シュロムはガーゼが欲しかった。
それと、さっきから自発的にパンチラしまくっている風紀員から早く遠ざかりたかった。
「よっと!」
勢いよくジャンプしてガーゼに手を伸ばした瞬間、指だけが微かに触れて取り損なう。
そのせいでガーゼは奥に移動してしまい、やむなく彼女は近くの椅子を踏み台にしなければならなくなった。
――いや、だからその体勢はまずいでしょ?
すぐ下でシュロムがベッドに腰かけているのに、彼女は椅子の上で背伸びをしながらガーゼを取るのに必死だ。柄はおろか、もう尻への食い込み具合でさえ堂々と露出してしまっている始末。
「やった! 取れた! あわわわっ!!」
ガーゼをようやく手に入れた所で風紀員はバランスを崩してしまう。
「え、あ!! ちょっと!」
ボリューム感満点の桃色の丸尻が、シュロムの顔面を押し潰す。
「いたたた・・・・・・あれ?」
「は、早く退いて下さいよ!! 俺は怪我人なんでしょ?」
声を押し潰されながらもシュロムは悲鳴を上げた。視界は真っ暗で、自分がどこに頭を突っ込んでしまったかも定かではない。
わかるのはさっきのハンカチと同じ、香しい匂い。
「こ、これは、とんだ失礼を!!」
風紀員は恥じらった様子でシュロムから飛びのいて身繕いを整え、止血の本格的処置がようやく始まった。
「あ、ありがとうございます」
「別に・・・・・・当然の職務を果たしたまでなのです」
風紀員はそっけなく返した。
「処置は済んだのですから、早く、授業に向かうのです。あなた、次の教室は?」
「えっと、基礎魔法理論学だったかな」
どちらかと言えば余計に手間取ったような気がするが、もう話をややこしくしたくないのでシュロムは答えだけを返す。
「あれ? 私と同じ教室・・・・・・一年生、なのですか?」
「ああ・・・・・・Fクラスだけどね。俺、魔法が使えないから」
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