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2章: 最強への道
雷撃
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昨日の今日というわけで、公式戦の場に姿を現したシュロムは昨日と同じく片手長剣を手に取りリーナと向かい合った。
前回の開催からわずか一日後の開催で周知期間が短いせいか、昨日ほどの人だかりはない。
リーナはそれより短い短剣を手に取っていた。
小物の武器ということは、それだけ魔法に自信があるということだろうか。
「次はだまし討ちは御免被りますよ」
「大丈夫よ。正々堂々あなたを焼き殺してあげるから」
「公式戦開始!」
「さあ、どこからでも掛かってきなさい」
リーナはあえて後攻を選んだ。
「じゃあ」
シュロムが片手から烈風を繰り出す。直接的な攻撃は考えていない。あくまでリーナの手の内を確かめるための斥候的手段だ。
シュロムの意図を悟ってか、リーナは魔法ではなく体の動きだけでそれを躱すのだった。
どうやらAクラスになると、純粋な魔法技術だけではなく実戦も慣れたものらしい。
「もう一度!」
二撃目も同じ強さの攻撃だ。これもリーナは同じように躱した。
――二度も魔法を使わなかった
リーナの魔法は、つまりは詠唱に時間がかかる大掛かりなものらしい。
この何もない公式戦の場でなし得る、一番詠唱に時間のかかる魔法は――
「そこ!」
リーナが初めて手を突き出した。その魔法はシュロムを頭上から襲った。
「おわっ!!」
視界を強烈な青白い光が包み込む。耳を、激しい爆音が塞ぐ。
「ちっ、外したか」
まだ余韻が抜けきらないシュロムの耳にリーナの小さな舌打ちが届いた。地を揺るがすほどの魔法は地面を大きく削り、ティラの魔法よりはるかに大きな焦土を爪痕として残していた。
「雷魔法、か」
「そうよ。あいにく、私のは誰かさんの魔法みたいに真空では防ぎきれないのよ」
「そうでしょうね。ですが、わかってしまえばもう何でもないことです」
「既に勝利を確信したみたいな顔しないでよ! 本当に頭にくるんだから!」
リーナが二撃目の魔法を発動する。怒りにとらわれた彼女にシュロムの声は聞こえなかった。
「確信、などではありませんよ。確定です」
紫電の雷が落ちたのはシュロムではなく、リーナのすぐ背後だった。
「うえ・・・・・・」
直撃は免れたものの、地絡を通して攻撃範囲が拡大されるのが雷魔法の怖さだ。地に足をついていたリーナの身体には当然、身体中の動きを奪うだけの電気が走り抜けているはずだ。
「・・・・・・こんなに早く?」
公式戦開始から程なくしてリーナの姿勢が崩れた瞬間、観衆達からどよめきの声が上がった。誰よりも驚いているのはリーナ自身だ。
「な・・・・・・何でよ! どうしてなの!」
前回の開催からわずか一日後の開催で周知期間が短いせいか、昨日ほどの人だかりはない。
リーナはそれより短い短剣を手に取っていた。
小物の武器ということは、それだけ魔法に自信があるということだろうか。
「次はだまし討ちは御免被りますよ」
「大丈夫よ。正々堂々あなたを焼き殺してあげるから」
「公式戦開始!」
「さあ、どこからでも掛かってきなさい」
リーナはあえて後攻を選んだ。
「じゃあ」
シュロムが片手から烈風を繰り出す。直接的な攻撃は考えていない。あくまでリーナの手の内を確かめるための斥候的手段だ。
シュロムの意図を悟ってか、リーナは魔法ではなく体の動きだけでそれを躱すのだった。
どうやらAクラスになると、純粋な魔法技術だけではなく実戦も慣れたものらしい。
「もう一度!」
二撃目も同じ強さの攻撃だ。これもリーナは同じように躱した。
――二度も魔法を使わなかった
リーナの魔法は、つまりは詠唱に時間がかかる大掛かりなものらしい。
この何もない公式戦の場でなし得る、一番詠唱に時間のかかる魔法は――
「そこ!」
リーナが初めて手を突き出した。その魔法はシュロムを頭上から襲った。
「おわっ!!」
視界を強烈な青白い光が包み込む。耳を、激しい爆音が塞ぐ。
「ちっ、外したか」
まだ余韻が抜けきらないシュロムの耳にリーナの小さな舌打ちが届いた。地を揺るがすほどの魔法は地面を大きく削り、ティラの魔法よりはるかに大きな焦土を爪痕として残していた。
「雷魔法、か」
「そうよ。あいにく、私のは誰かさんの魔法みたいに真空では防ぎきれないのよ」
「そうでしょうね。ですが、わかってしまえばもう何でもないことです」
「既に勝利を確信したみたいな顔しないでよ! 本当に頭にくるんだから!」
リーナが二撃目の魔法を発動する。怒りにとらわれた彼女にシュロムの声は聞こえなかった。
「確信、などではありませんよ。確定です」
紫電の雷が落ちたのはシュロムではなく、リーナのすぐ背後だった。
「うえ・・・・・・」
直撃は免れたものの、地絡を通して攻撃範囲が拡大されるのが雷魔法の怖さだ。地に足をついていたリーナの身体には当然、身体中の動きを奪うだけの電気が走り抜けているはずだ。
「・・・・・・こんなに早く?」
公式戦開始から程なくしてリーナの姿勢が崩れた瞬間、観衆達からどよめきの声が上がった。誰よりも驚いているのはリーナ自身だ。
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