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序章: 落ちこぼれた逸材
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天井は幸い、崩落には至らなかった。
ただ、魔法の爆心地である女子学生のいたその場所の周囲は深く地面がえぐられていた。
円形に取り残された元の地面で、女子学生は呆けたように仰いでいる。
その前には即席の防御魔法を展開したイシルが立ち塞がっていた。
「間に合ったか・・・・・・」
自らの魔法で倒れなかったのはドラゴンにとっても意外だったらしく、すぐに次の手を打って出ようとはしなかった。
その隙にイシルは後ろの仲間に呼びかける。
「彼女を頼む! ここは僕が時間を稼ぐ」
イシルは女子学生が足をくじいて満足に走れないことを悟っていた。
逃げ出したとしても、すぐに追いつかれることはわかっている。
だったらここで機動力のある自分が時間稼ぎをするしかない。
「わかったわ!」
女子学生は二人の仲間に両肩を支えられて戦線を離脱する。
「さあ、来い! お前の相手はここにいるぞ!」
イシルは剣を抜き放ち、ドラゴンの頭上まで飛んだ。
斬撃に魔力を追加効果を込め、鉄壁のような黒い鱗に切り込む。
岩でさえ両断する程の斬撃も、ドラゴンの固い鎧を前にしては進まない。
だが、この頑丈な鱗とて、全く弱点がないわけではなかった。
学院での書籍からモンスターの生態を熟知しているイシルは、ドラゴンの鱗のうち、固い部分とそれほどでもない部分があることを知っている。
具体的に言えば、首から背中、尻尾にかけての鱗は固いが、腹や足の付け根は割合弱い。
もっとも、ドラゴンも自分の弱点を簡単にさらすほど生易しくはなく、外敵に対して常に屈み姿勢で防御を固める習性がある。
案の定、ドラゴンは頭を必要以上に低くして、首を前に伸ばしてきた。
白兵戦となった場合、ドラゴンにとって最強の武器は顎だ。
その上下には短剣のように鋭利な牙が櫛比と並んでいて、どんな相手をもかみ砕く。
イシルのような人間ごとき、頭を突っ込んで上あごの牙を突き刺すだけでも十分過ぎる殺傷力だ。
イシルが躱した背後の岩を、ドラゴンの顎が削っていく。
「どうした、こっちだ!」
イシルは洞窟内を左右に動いてドラゴンの攻撃を回避し続ける。
もっともとそれは、単なる時間稼ぎのためではない。
右手にはもう一つ、人がやっと通れるくらいの通路が口を開けている。
そこへ上手くドラゴンを誘導するのが狙いだった。
「おい、そんなことでは僕を噛み殺せないぞ!」
イシルの挑発を理解しているのか、ドラゴンはとりわけ凄まじい勢いで頭を繰り出してきた。
無論、その一撃も外れドラゴンの頭は通路の半ばまで突っ込んだ。
狭い通路に頭を突っ込んで抜けられなくなっているドラゴンに向かって、イシルはありったけの魔法攻撃を始める。
炎系、雷撃系、眞空派系、会得した限りの魔法を一通り試したが効果はいま一つだ。
だが、それでよかった。
業を煮やしたドラゴンは岩に爪を突き立て、洞窟内の壁を突き破るつもりで頭を抜こうとしている。
――まだ、逃げられないだろうな
先に逃げた仲間達がまだ脱出できずにいると算段したイシルはいよいよ覚悟を決める。
ドラゴンが遂に壁をぶち破って頭を抜いた。
ただ、魔法の爆心地である女子学生のいたその場所の周囲は深く地面がえぐられていた。
円形に取り残された元の地面で、女子学生は呆けたように仰いでいる。
その前には即席の防御魔法を展開したイシルが立ち塞がっていた。
「間に合ったか・・・・・・」
自らの魔法で倒れなかったのはドラゴンにとっても意外だったらしく、すぐに次の手を打って出ようとはしなかった。
その隙にイシルは後ろの仲間に呼びかける。
「彼女を頼む! ここは僕が時間を稼ぐ」
イシルは女子学生が足をくじいて満足に走れないことを悟っていた。
逃げ出したとしても、すぐに追いつかれることはわかっている。
だったらここで機動力のある自分が時間稼ぎをするしかない。
「わかったわ!」
女子学生は二人の仲間に両肩を支えられて戦線を離脱する。
「さあ、来い! お前の相手はここにいるぞ!」
イシルは剣を抜き放ち、ドラゴンの頭上まで飛んだ。
斬撃に魔力を追加効果を込め、鉄壁のような黒い鱗に切り込む。
岩でさえ両断する程の斬撃も、ドラゴンの固い鎧を前にしては進まない。
だが、この頑丈な鱗とて、全く弱点がないわけではなかった。
学院での書籍からモンスターの生態を熟知しているイシルは、ドラゴンの鱗のうち、固い部分とそれほどでもない部分があることを知っている。
具体的に言えば、首から背中、尻尾にかけての鱗は固いが、腹や足の付け根は割合弱い。
もっとも、ドラゴンも自分の弱点を簡単にさらすほど生易しくはなく、外敵に対して常に屈み姿勢で防御を固める習性がある。
案の定、ドラゴンは頭を必要以上に低くして、首を前に伸ばしてきた。
白兵戦となった場合、ドラゴンにとって最強の武器は顎だ。
その上下には短剣のように鋭利な牙が櫛比と並んでいて、どんな相手をもかみ砕く。
イシルのような人間ごとき、頭を突っ込んで上あごの牙を突き刺すだけでも十分過ぎる殺傷力だ。
イシルが躱した背後の岩を、ドラゴンの顎が削っていく。
「どうした、こっちだ!」
イシルは洞窟内を左右に動いてドラゴンの攻撃を回避し続ける。
もっともとそれは、単なる時間稼ぎのためではない。
右手にはもう一つ、人がやっと通れるくらいの通路が口を開けている。
そこへ上手くドラゴンを誘導するのが狙いだった。
「おい、そんなことでは僕を噛み殺せないぞ!」
イシルの挑発を理解しているのか、ドラゴンはとりわけ凄まじい勢いで頭を繰り出してきた。
無論、その一撃も外れドラゴンの頭は通路の半ばまで突っ込んだ。
狭い通路に頭を突っ込んで抜けられなくなっているドラゴンに向かって、イシルはありったけの魔法攻撃を始める。
炎系、雷撃系、眞空派系、会得した限りの魔法を一通り試したが効果はいま一つだ。
だが、それでよかった。
業を煮やしたドラゴンは岩に爪を突き立て、洞窟内の壁を突き破るつもりで頭を抜こうとしている。
――まだ、逃げられないだろうな
先に逃げた仲間達がまだ脱出できずにいると算段したイシルはいよいよ覚悟を決める。
ドラゴンが遂に壁をぶち破って頭を抜いた。
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