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2章: 騎士団長の娘

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 アシェリーが躊躇う様子は、イベルナにも十分伝わっていた。
「お返事は?」
 催促するが、彼女は首を縦に振らない。
 これではいつ彼女が勘当されて、自分に火の粉が降りかかってくるかわかったものではなかった。
「どうやら物分かりの悪い子にはお仕置きが必要のようね。スカートを上げなさい。断れば今すぐここで、あなたの家のことを皆にばらすわよ!」
「はい・・・・・・」
 イベルナに惑わされ、自分だけが孤立させられるかもしれないことを恐れるアシェリーは従うしかなかった。
 スカートを捲り上げ、下着を露わにするアシェリーの背後にイベルナが密着する。
「ほら、もう少し足を開いて」
「こ、こうですか」
「いい子ね・・・・・・・」
「はうっ・・・・・・こんな所で、何を?」
「いいでしょ? ここには雑魚モンスター以外、何もいないのだから」
 イベルナの手がアシェリーの股をかいくぐり、下から這いよる指が下着の隙間から潜り込もうと蠢く。
「ちょ、ま・・・・・・そこは」

「どうするの? 冒険者としての夢なんかさっさと捨てなさいよ。あなたのような出来損ないの貴族は、一生家柄にかじりついて生きていくのがお似合いだわ」
「う・・・・・・そんなはずは、あぁ!!」
 アシェリーが何かを言おうとする度、イベルナの指が一番感じやすいそこを不快に撫で上げる。
「そうなのよ、私もあなたも、そうやって生きていくしかないのよ。いい加減、大人になりなさいよ。身体はこんなにも、熟れているじゃない」
「や、やめ・・・・・・・誰か!」
「その誰かに助けてもらいたいなら、やはりあなたは家を追い出されるべきじゃないわ」
 本当に、そうかもしれない。
 結局自分は身に迫る危機すら回避できず、助けを求めることしかできない。
 この上身分と級友たちまで失ってしまっては、明日から自分はどうやって生きていけばいいのだろう。
 少し成績が上がったことで舞い上がっていたが、冒険者になるなんて何と愚かな選択だろう。
 イベルナのことはともかく、この状況を打開するには彼女の要求に応じるしかない。
「どうしたの? 返事は?」
「わかり・・・・・・」
「おいおい、貴族のご令嬢が随分と下品なプレイだな」
「だ、誰ですの?」
 暗闇からどことなく聞こえてきた声に、イベルナもアシェリーも動揺した。
 モンスターの捜索に他の学生や教員が駆り出されるという話は聞いていなかったからだ。
「隠れてないで姿を現しなさいよ!」
「はいはい」
 二人の前に現れたのは仮面と漆黒のマントに身を包む正体不明の人影。
 中身は無論、モンスター役を演じるイシルである。
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