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2章: 騎士団長の娘
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あまりの怒りについ、人間らしい物言いをした。
正体を見破られるわけにはいかないイシルは咳払いをして言い直す。
仮面のお陰で声はくぐもって聞こえるから、あとは言い方だけだ。
「おやぁ!? 美味そうな人間の子娘どもが迷い込んできたぞ。グヒヒヒ」
「な、何者なの? まさか討伐依頼のモンスターって、コイツのこと!?」
「おうよ、そうだぜ、ゲヒヒヒヒ」
「待ちなさいよ! モンスターのくせに、何で人間の言葉なんか喋っているのよ?」
「魔族・・・・・・」
アシェリーが上ずった声で一言呟いた。
「何よ? 魔族って」
「モンスターの中でも人間と同等以上の知力と膨大な魔力を持った存在・・・・・・」
アシェリーの想像はとんでもない方向に走り出したが、イシルの実力からすればあながち間違いではない。
「そ、そんな奴がどうして学院のダンジョンにいるのよ?」
「さて、どうしてだろうな?」
思いがけない展開にイベルナは立ち竦んだ。
一方のアシェリーは素早く剣を鞘から走らせ、イシルの前に立ちはだかった。
「私が時間を稼ぎます! イベルナはその間に二人を呼んでください!」
わずかな合間に振り返り、魔道具をイベルナに手渡す。
「わ、わかったわ!」
イベルナは魔道具を両手で力一杯握りしめた。
結果、イシルの下の外套でぼんやりと白い光が射した。
「お、これってこんなに光るのか」
外套の下から取り出した魔道具は松明の光よりも何倍に輝いて元の形さえわからない。
「何で、何でアンタがそれを持っているのよ!?」
「あ? これのことか」
「よくも、よくも二人をぉ!!」
アシェリーが激高して飛び上がる。
振り上げた剣を、思いっきりイシルの頭上に叩きつけた。
イシルは一文字に置いた剣でそれを受ける。
魔族と知りながら、大した勇気だ。
やはりアシェリーはこのまま冒険者になる資格がある。
イシルに出来ることはその手伝いだ。
「だから言っただろう。全身を使って剣を振らなければ俺は倒せないぞ」
「え?『だから』って・・・・・・」
アシェリーは彼女が前にする相手がイシルだと悟ったようだ。
(安心しろ。僕は魔族なんかじゃない。イベルナには内緒で君を助けたいから、少し協力してくれないか?」
アシェリーはごくわずかに頷いた。
(次の一撃で剣を弾き返す。その時にやられたふりをしてくれないか)
美味くタイミングを見計らってイシルはアシェリーの件を跳ね返した。
後ろに大きく押されたアシェリーはわざとらしく足元をぐらつかせる。
「あれぇ~、目眩がぁ~」
アシェリーは身を翻して倒れた。
下手な演技だったが、本気で騙されて汲々としているイベルナを信じ込ませるには十分な効果を発揮した。
「ちょ、ちょっと! 何あっさりやられてんのよ! 目を醒ましなさいよ!」
「後はお前だけだな、グヒヒヒ」
「こ、来ないで。お願いだから、近寄らないでぇ!!」
「何だ、そこの女には居丈高だった割に、お前は戦えないのか?」
「そ、それは・・・・・・」
「さて、頭から食ってやろうか。足から食ってやろうか」
「許して・・・・・・」
「おいしく頂くぜ! シャアぁ!!」
「い、いやああああぁ!!・・・・・・はうぅ~」
恐怖が限界に達したのか、イベルナの身体から力が抜けて、あっけなく崩れ落ちた。
「終わったみたいだな。もういいぜ」
イシルが合図すると、アシェリーが起き上がった。
正体を見破られるわけにはいかないイシルは咳払いをして言い直す。
仮面のお陰で声はくぐもって聞こえるから、あとは言い方だけだ。
「おやぁ!? 美味そうな人間の子娘どもが迷い込んできたぞ。グヒヒヒ」
「な、何者なの? まさか討伐依頼のモンスターって、コイツのこと!?」
「おうよ、そうだぜ、ゲヒヒヒヒ」
「待ちなさいよ! モンスターのくせに、何で人間の言葉なんか喋っているのよ?」
「魔族・・・・・・」
アシェリーが上ずった声で一言呟いた。
「何よ? 魔族って」
「モンスターの中でも人間と同等以上の知力と膨大な魔力を持った存在・・・・・・」
アシェリーの想像はとんでもない方向に走り出したが、イシルの実力からすればあながち間違いではない。
「そ、そんな奴がどうして学院のダンジョンにいるのよ?」
「さて、どうしてだろうな?」
思いがけない展開にイベルナは立ち竦んだ。
一方のアシェリーは素早く剣を鞘から走らせ、イシルの前に立ちはだかった。
「私が時間を稼ぎます! イベルナはその間に二人を呼んでください!」
わずかな合間に振り返り、魔道具をイベルナに手渡す。
「わ、わかったわ!」
イベルナは魔道具を両手で力一杯握りしめた。
結果、イシルの下の外套でぼんやりと白い光が射した。
「お、これってこんなに光るのか」
外套の下から取り出した魔道具は松明の光よりも何倍に輝いて元の形さえわからない。
「何で、何でアンタがそれを持っているのよ!?」
「あ? これのことか」
「よくも、よくも二人をぉ!!」
アシェリーが激高して飛び上がる。
振り上げた剣を、思いっきりイシルの頭上に叩きつけた。
イシルは一文字に置いた剣でそれを受ける。
魔族と知りながら、大した勇気だ。
やはりアシェリーはこのまま冒険者になる資格がある。
イシルに出来ることはその手伝いだ。
「だから言っただろう。全身を使って剣を振らなければ俺は倒せないぞ」
「え?『だから』って・・・・・・」
アシェリーは彼女が前にする相手がイシルだと悟ったようだ。
(安心しろ。僕は魔族なんかじゃない。イベルナには内緒で君を助けたいから、少し協力してくれないか?」
アシェリーはごくわずかに頷いた。
(次の一撃で剣を弾き返す。その時にやられたふりをしてくれないか)
美味くタイミングを見計らってイシルはアシェリーの件を跳ね返した。
後ろに大きく押されたアシェリーはわざとらしく足元をぐらつかせる。
「あれぇ~、目眩がぁ~」
アシェリーは身を翻して倒れた。
下手な演技だったが、本気で騙されて汲々としているイベルナを信じ込ませるには十分な効果を発揮した。
「ちょ、ちょっと! 何あっさりやられてんのよ! 目を醒ましなさいよ!」
「後はお前だけだな、グヒヒヒ」
「こ、来ないで。お願いだから、近寄らないでぇ!!」
「何だ、そこの女には居丈高だった割に、お前は戦えないのか?」
「そ、それは・・・・・・」
「さて、頭から食ってやろうか。足から食ってやろうか」
「許して・・・・・・」
「おいしく頂くぜ! シャアぁ!!」
「い、いやああああぁ!!・・・・・・はうぅ~」
恐怖が限界に達したのか、イベルナの身体から力が抜けて、あっけなく崩れ落ちた。
「終わったみたいだな。もういいぜ」
イシルが合図すると、アシェリーが起き上がった。
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