王家に嫁ぐ盗賊海賊

谷奈

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キツルとタイタ族

お手並み拝見

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ユリシロがキツルに戻り何日か過ぎた。
「もっと脇をしめて‼️しっかりと踏み込んで‼️」
ユリシロは城の衛兵を指導していた。
「それじゃあ、今日はここまで。」
「「ありがとうございました。」」
ユリシロは城のなかに戻っていった。
一人の衛兵はその場に座りこんだ。
「ふー。」
「大丈夫か?」
「あ、はい。でも、まさか本当にあの方が衛兵の指導係だったとは。」
「意外か?」
「はい、すごい方が以前いらしたとは知っていたのですが、まさか女性だったとは。」
「ま、来たときは俺も驚いたけどな。」
「そうですよね。」
「でも、認めざるを得なかったからな。」
「何かあったんですか?」
「ああ。ユリシロ殿が初めて来た日は今でも覚えているさ。」


ー    一年ほど前のある日   ー
一人の女性が門の前に来た。
そのまま入ろうとすると
「待て。」
「城に入るには入場許可証を見せる必要がある。」
そう言われるとその女性は
「私はユリシロ。この国の衛兵の指導係として呼ばれたんだけど。」
「なんと言われても、入場許可証がなければ中に入れることは出来ない。」
「そう。」
それだけ言い、引き返そうとしたとき
「お待ち下さい、ユリシロ様。今そちらに向かいます。」
しばらくして一人の男が出てきた。
「遠路はるばるありがとうございます。」
「別に構わないけど。」
「これがユリシロ様の入場許可証になります。ささ、どうぞこちらに。王子がお待ちです。」
コーズはユリシロをカルイラのもとに連れて行った。カルイラの前まで来るとユリシロは片膝をついた。
「お初にお目にかかります、カルイラ王子。この度は、私をこの国の衛兵指導係として迎え入れていただいたことを、大変嬉しく思います。」
「どういうことだ。」
カルイラが小さく呟いた。
「どういうことだ、コーズ‼️私は衛兵指導係を招いた記憶などない。それに、この国に衛兵指導係など必要ない。」
「しかし、王子がご自分でサインなさったのですよ。」
「・・・。と、とにかくさっさと帰れ。」
「分かりました。」
ユリシロは来た道を戻って行った。
「ユ、ユリシロ様、どうするおつもりですか?」
「だって、『帰れ』って王子に言われた以上帰るしかないでしょう。」
「し、しかし」
コーズが言い終わる前に、一人の衛兵が入ってきた。
「ご報告申し上げます。山賊と思われる集団が、城の攻撃を始めました。」
「チッ、またあいつらか。城内への侵入を食い止めよ‼️」
「はっ。」
その衛兵とカルイラは、走って外に行ってしまった。
「ユリシロ様はどうなさるおつもりですか?」
「それは当然、お手並み拝見といきましょう。」
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