王家に嫁ぐ盗賊海賊

谷奈

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キツルとタイタ族

ユリシロと山賊

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(クソ、このままじゃきりがない。どうすればいいんだ?)
「あ~あ。それじゃ終わらないよ。手っ取り早いのは、頭を倒すことなのに。さて、あの中の誰が頭かな?」
ユリシロは城の屋根の上から観察していた。
「あ、いた‼️」
ユリシロは頭を見つけると、大きな声で叫んだ。
「ねぇ、うるさいんだけど。やるならもっと静かにやってくれる?私の昼寝時間を邪魔しないで!」
そのとき、その場にいた全員が動きを止めた。
「何だ貴様‼️」
「貴様ごときが我々に勝てるとでも?」
「この国もあと少しでおちるだろうに。」
「この国がどうなろうと私には関係ないけど、賊が勝つところを見るのは好きじゃない。」
そう言ってユリシロは近くの木に移り、そのまま下に降りた。そして、そのまま後ろにいた頭のもとに向かって歩き出した。
山賊の人たちは、ユリシロを足止めしようと剣を構えた。
「ハッ!」
「ヤー!」
何人もの人がユリシロに襲いかかってくる。しかし、ユリシロはそれを剣も使わずにさばいていった。
(なんなんだ、あの人は。剣も使わずに、一国の衛兵が剣を持ってやられそうになっているというのに・・・。)
そしてユリシロは頭の前まで来ると
「この人だけ残ってくれれば、後の人は帰って良いよ‼️」
「な、何故その人なんだ。」
「う~ん、なんとなく。何か一番交渉できそうっていう勘?」
「な、なら俺の方が交渉できるぞ。」
「そう。でも、私はこの人交渉したいな。だってそうでしょう。どうでもいい役職と交渉するより、上の役職の人と交渉したいと思うでしょう?」
「ほう、なかなか賢いお嬢さんだ。だが、残念だったな。頭は俺ではない。」
「それは残念。でも言ってるでしょう。私はあなたと交渉したいって。」
「分かった。頭の意は知らぬが、交渉しよう。だがそれも、出来ればの話だがな‼️」
「?」
その瞬間、男は剣を抜き、ユリシロに襲いかかった。しかし、直ぐに男の剣は落とされてしまった。
(何が起こったんだ?)
「な、何故だ?確かに俺は・・・。」
ユリシロは一歩踏み出し、男の耳元で呟いた。
「たかが名も通らない山賊の頭ごときが、私に勝てると思わないでよ。」
男は尻餅をついた。後ずさりながら、
「わ、わ、わ、分かった。確かに俺が頭だ。だから俺が交渉する。もう二度とこの国の敷地は襲わない。約束する。だから、命だけはとらないでくれ!」
「本当に?」
ユリシロは剣を引き抜いた。
「も、も、も、勿論だ。絶対に誓う。」
「ふ~ん。男はこのように申しておりますが、いかがいたしますか、王子?」
剣をしまいながら、カルイラのほうに振り返った。
「え!」
「今は国王と王妃が不在。となれば、王子の考えが国の考えです。」
「私の考えが国の考え?」
「はい。ですので、どうかご決断を。」
「私は・・・。」
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