11 / 25
3-3
◇
『拓斗くん、えっちしよ?』
自分の願望が生み出した幻聴かと思った。
『だから、えっち……したいな』
現実だった。
ようやくだ、抱き上げて寝室へ向かい、ベッドに下ろす。
「ほんとに、いいんだよね?」
彼女がしたいと言ってくれるまで待っていた。最後の確認のため、優しく聞いた。
そうすると、彩綾がわっと突然泣き始めた。
「……っなんで、もう別れてよ…………」
何でセックスしたいと誘われたのに、別れたいと言われたのかはよくわからなかったけれど、彼女の言葉通りに別れてやるなんて有り得ない。同棲をし始めてからわかったが、彩綾はたまに思考が斜め上にいくことがあって、俺の頭の中は「???」とはてなマークで埋め尽くされて戸惑うことがある。
「彩綾、……俺が彩綾を離すことはもう2度とない」
わんわん泣いている彩綾を諭すようにゆっくりと、たがはっきりと答える。
「彩綾しか愛さない」
彩綾が顔を上げてこちらを見た。その目は懐疑的で、俺の言葉を信じてはいない。
「まだ信じられない?何度でも言うよ。愛してる。彩綾が信じるまで何度だって言う」
「無理だよ」
「何か心配なことがあるの?」
彩綾は言いにくそうに口をもごもごとさせながら口籠った。そんな彼女の様子を見ながら彼女が口を開くまで待った。何かあるならば、言って欲しい、頼って欲しい。彩綾のすべてがほしい。
「……私とえっちなんてもう出来ないでしょ?」
彩綾とするのは大好きだよ。毎日してもし足りないくらいだ。ぷるんと厚い唇に、潤んだ瞳、羞恥に染める赤い頬、白い首筋には毎回吸い付いて跡を残したいし、身体中に俺のものだって印を刻みたい。
大きめな柔らかいおっぱいを揉んで先っぽを吸い上げるのも大好きだ。そして可愛い声で泣く彼女の高い声も好き。
中を少し突くだけで甘い蜜を出して嬌声を上げてよがる姿を想像するだけで、押し倒してお前の所有者は俺だけだと身体に教え込みたくなる。彼女への支配欲が強烈なまでに湧き上がってきた。自分の雄としての欲を抑え込んで彼女に質問する。
「なにそれ?何でそんなこと思ったの?」
「だって最初に付き合ってた時だってあんまりしてなかったのに、浮気したからっ」
やっぱりあの時のこと気にしてるんだ。あの時の女の顔もどんなセックスをしたのかも覚えていない。ほんとに、誘われたからちょうどいいと思ったんだ。
ただ覚えているのは、あの日彩綾がドアを開けて入ってきたとき、彼女の顔から全ての感情が抜け落ち、次の瞬間歪んで泣きそうな表情をしていたってことだけだ。
「あれは、……あの時はただ誘われたからまぁいいかと思っちゃったんだ。ほんと最低だったよな、ごめん。謝っても謝りきれない」
もう浮気なんかしない。彩綾と別れたくない。もう2度と離れたくないよ。好きだ、好きなんだ。あいしてる。何でわからないかな?いや、でもこんな歪んだ気持ち、彼女に伝わらない方がいいのかもしれない。でもわかって欲しい。矛盾した気持ちで思考がバラバラになりそうになる。だが今は彩綾との会話に集中しなければ。彼女と話し合うことが先決だ。
「だけどもう2度としないよ。彩綾しか欲しくない」
「そんなの信じられないっ!どうせ他にも付き合っている人がいるんでしょ?私は今度は何番目なの?!」
彩綾が声を荒げて俺に怒鳴った。こんなのは初めてのことだ。いつも彼女は俺に優しくて従順で尽くしてくれて、俺に声を荒げたことなど今までなかった。
「そんな人いないことは彩綾が1番わかってるだろ。同棲してどれだけ一緒に過ごしてると思ってるんだよ。残業はたまにはあるけど、ほとんど定時で帰ってきてるし、休みはずっと一緒にいるだろ?何番とかない。彩綾しかいないんだから」
「同棲までしてる今だって私としてないじゃん!」
「だって俺言ったよね?『彩綾がしたいって言うまで我慢する』って。おれは一度言ったことは絶対に実行する」
起きている間は彩綾から誘ってくれるのを今日まで待ってたんだ。
「許してくれるなら毎日だって、何回だって彩綾としたいけど、彩綾が許してくれるまで我慢して、毎日毎日ずぅーっと彩綾を考えながら1人で抜いてた」
彩綾で抜いてたってのが正しい言い方だけど。
あなたにおすすめの小説
好きな男子と付き合えるなら罰ゲームの嘘告白だって嬉しいです。なのにネタばらしどころか、遠恋なんて嫌だ、結婚してくれと泣かれて困惑しています。
石河 翠
恋愛
ずっと好きだったクラスメイトに告白された、高校2年生の山本めぐみ。罰ゲームによる嘘告白だったが、それを承知の上で、彼女は告白にOKを出した。好きなひとと付き合えるなら、嘘告白でも幸せだと考えたからだ。
すぐにフラれて笑いものにされると思っていたが、失恋するどころか大切にされる毎日。ところがある日、めぐみが海外に引っ越すと勘違いした相手が、別れたくない、どうか結婚してくれと突然泣きついてきて……。
なんだかんだ今の関係を最大限楽しんでいる、意外と図太いヒロインと、くそ真面目なせいで盛大に空振りしてしまっている残念イケメンなヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりhimawariinさまの作品をお借りしております。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
ホストな彼と別れようとしたお話
下菊みこと
恋愛
ヤンデレ男子に捕まるお話です。
あるいは最終的にお互いに溺れていくお話です。
御都合主義のハッピーエンドのSSです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。