【BL】できそこないΩは先祖返りαに愛されたい

ノルジャン

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 このゴミの山を見た俺は肩を震えさせた。ふるふると体全身が震えてきたのが自分でもわかり、拳を握る。自分の中の血が騒ぎ出して熱くなってきたような気がした。

「お、おいイチロ……」
「ふふっ」

 俺は思わず笑い声を漏らしてしまった。

「くくっ……あははっ!」

 俺は口を大きく開けて腹を抱えて笑った。
 
「やばい、……汚部屋すぎてイチロが壊れた」
「いやー、くふふっ……これはすごい……」

 笑いが込み上げでくるのが抑えきれない。こんなにやる気に満ち溢れたのは久しぶりだ。
 
「こんなに汚いと腕がなるよな!掃除しがいがある。こんだけ汚いと片付けて綺麗になった時は爽快な気分だろ?」

 俺は満面の笑みでそう二人に言った。そうすると、二人はポカン、とした顔をして俺を見た。そして二人顔を合わせて見つめ合い、ぷっ、と笑い合った。

「ほんと、最高だよイチロは」
「はは、本当だな」

 俺は二人が笑い合ったのも気にせずに、この部屋のどこから手をつけようか、そんなことばかり考え始めてしまっていた。

 

 これを見てはい、さようならとはいかないと、タイセーは一緒に掃除をしようと申し出てくれた。この量のゴミを片付けるのは大変だから、嬉々としてその申し出を受け入れた。
 
 今日の所は、床が見えるくらいあらかたゴミを捨てる事を目標に片付けることにした。
 
 三人いると作業の進むスピードが速い。実家にいた時は下の弟妹たちが遊んで散乱したおもちゃを片付けるのは俺一人でだった。レゴブロックやら積み木やらパズルやら……、片付けに相当な時間を食われた。毎日毎日、片付けても片付けても次の日には元通り。段々と片付けるのが馬鹿らしくなってきて、片付けしやすいように箱を用意したりもしたが、最終的にはおもちゃ箱にポイポイ全部入れるだけという荒技に出た。
 妹はそれが不満だったみたいで、だったら自分で片付けなさいと言うと、不満そうな顔をしながらも従った。弟は気にせずに遊び散らかしていたけど。

 そんなことを懐かしいと思いながらゴミを分別してゴミ袋へ捨てる作業を延々と行った。



「これだけ綺麗になるとはな……。また汚くしたらと思うと、怖いが」

 ゴミをほぼ捨て終わり、簡単に床を拭き掃除して終わりにした。

「どんだけ汚くしても大丈夫!俺がまた片付けるからさ。だから心配すんなよ」
「!……ああ、ありがとう」

 ちょっとだけラッセルの表情が動いたのを見た。ほんのちょっとだけど、確かに笑った。全く表情筋が動かないって訳じゃないんだな。
 ラッセルの新しい一面を見ることが出来て俺は嬉しくなった。

「さ、俺はそろそろお暇しようかな。とにかく家事代行については二人で話し合って色々決めてやっていってくれよな」
「そうするよ。本当に色々ありがとな、タイセー」
「わざわざ家に来てもらったのに、掃除を手伝って貰って悪かったな。だが、助かった。ありがとう。また遊びに来た時は今度こそゆっくりしていけ」
「また様子見にくるよ、じゃーなー」
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