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しおりを挟む「んんっ……」
寝返りをうとうと少し動くだけで体の節々がきしむように痛くて目が覚めた。
腰周りは特にひどい。
腰をさすりながら、枕がなんだかやけに硬いな、なんて思ったら、岩かと思うほどの腕の筋肉の塊を枕にしていた。
首だけで振り向くと、精悍な彫りの深い顔がそこにある。
野生的な雰囲気は落ち着いて、大人しいペットのように穏やかに寝ている。
いつも男らしく、威圧感でいっぱいになっている時とは違った無防備なその姿を晒していた。
心を許してくれている証のような気がして愛おしく感じた。
(やっぱりかわいく見える……)
意外な一面を次々と発見して嬉しくなる。
ふふ、と笑みが込み上げできた。
ちょんちょん、と高い鼻先をつついてみる。
ロヴィスが少し眉根を寄せて、ん~、と体を動かす。
すると、上に申し訳程度にかかっていたシーツがずれた。
「わぁっ!」
びっくりして顔を背けて目を覆った。
朝の生理現象か、ロヴィスの立派なモノがさらに立派になって天井を向いているのを見てしまった!
昨日して、そのまま寝てしまったから裸同士なわけで……。
だが本当にロヴィスのはずいぶん立派な代物だ。
暗いところで見ても相当のモノだったが、明るいところで見てもやっぱりすごかった。
脈打つように血管がビキビキと浮き出ていて大きく太く張り出していた。
強い雄の象徴。
色だってあんなに濃くて、あれが自分の中に……。
昨日のことを思い出してアルブレヒトは頬が熱くなった。
ロヴィスから背を向けながら、熱を持った頬を冷やそうと頬を覆った。
「ひゃ……っ」
大きな巨体が背中側にあたり、太い腕に体をギュッと抱き込まれる。
「おはよう、愛しい人」
甘ったるい重低音が耳から入って、アルブレヒトの体をおかしくさせる。
密着した肌と肌がぴったりとくっついて、相手の熱も鼓動も、全てが伝わる。
ごりっ、とアルブレヒトのお尻に固くて大きいモノが押し付けられた。
「やぁ、っ……」
こっちだって裸なので、直接熱い猛りがお尻の隙間に生々しくあたる。
ぐりぐりと腰を動かしてソレを主張してくる。
昨日散々したっていうのに元気すぎる。
体力ありすぎるだろう。
飛竜を乗り回して軽々と凶悪な魔物たちを蹂躙する姿を思い出せば、自分との体力の差は当然だけれど。
「も、これ以上は……っ」
朝から受け入れるなんて無理だろう。
今だって体が悲鳴をあげているっていうのに。
「昨日は無理をさせたからな、朝からはしないよ」
口ではそんなことを言っても下半身はそうは言っていない。
ごりゅっ、ごりゅ、と擦り付けて押し付けられながら、うなじや首筋にキスされる。
自分の体は朝は特に敏感になるようで、うなじに唇を寄せられるとゾクゾクとした悪寒のような激しいピリピリした感覚が体中を巡った。
「ひ、ィあ……」
舌を皮膚に押し付けてねっとりと味見され、ぬるぬるとした感覚を味わった。
「だが、お前の体を知っては……もう我慢なんて到底無理だ。今夜もここへ来るから、そのつもりでいろよ」
「そんなの……だめです……」
そんなの健全じゃない。
婚約の話を断ったのに体だけ繋がるなんて、そんなふしだらな関係はいけない。
「アルブレヒト、俺の最愛よ……もう後戻りはできないんだ。わかるだろ?」
「ンン……ッぁ……っ」
ぐぐっと先端が押し込まれてる。
だが入れる気がないのは本当のようで、中に無理矢理入ってくることはない。
でもこのままひと押しして中に押し入ってきたら拒むことは難しそうだ。
中は昨夜十分にほぐされているから入ってしまうだろうし、自分もきっと受け入れてしまう。
だがそんな考えとは裏腹に、ロヴィスはすんなりと体を離した。
「俺は自分の部屋へ戻って着替えてから食事室へと向かう」
苦しいくらいにがんじがらめに巻き付ついていた腕が引いて、体が解放される。
くっついていた暖かく心地よい熱がすぐさま消えてしまったかのようだ。
体の拘束を解かれて安心するべきなのに、なぜか気持ちが上がらない。
「あ、……そうなのですね」
一晩一緒にいたからか、離れることがとても寂しく感じてしまい、ロヴィスと離れたくないと思った。
それが顔にも声のトーンにも出てしまって、自分でも言葉が出てしまった後にハッとした。
「ん? なんだ、朝食の席へと一緒に行きたいのか? とても嬉しいお誘いではあるが、それは流石にあからさますぎやしないか?」
「そ、そういうわけではありませんっ!」
一緒に食事室へ向かうだなんて、同衾しているとみんなに言っているようなものだ。
なんて破廉恥だ、と周りからは思われるだろう。
「ふ、怒った顔も可愛いな……」
(またからかわれた……!)
ロヴィスは冗談を言ったのに、それにまんまとひっかかって過剰に反応してしまうアルブレヒトの悪い癖だ。
「名残惜しいが、このままだと本当にまずい。もう出るよ」
ちゅっ、とリップ音を大袈裟に出して、むくれた頬に唇を落としていった。
さらりと指の甲でアルブレヒトのぷっくりとした唇をなぞった後、またちゅっ、ちゅっ、と唇を落としてからロヴィスは今度こそ出ていってしまった。
ベッドに一人残されて、シーツにくるまった。
「ああ~! なんで僕は拒まなかったんだよ~!」
(自分の全てを隠してしまいたい……!)
体なんて繋げてしまってはいけなかったのに、拒めなかった。
好きな人の艶っぽい色気を目の前に迫られれば、自分のちっぽけな意志などひとたまりもなく消し飛んだ。
呆気なく喰われてしまった。
だがそれを許したのは自分自身だ。
拒もうと思えば拒めたのに。
好きなひとに求められて、体が反応して、最後には自ら求めてしまった。
後悔と幸福感がせめぎ合って感情がぐちゃぐちゃになっている。
さっきは名残惜しそうにキスを落とされて嬉しかった。
もっとキスしたくて自分から口を寄せたくらいだ。だけど、結局離れていってしまい、今は寂しさが込み上げる。
暖かかった温もりがまた消えてしまってぽっかりと心に穴が空いてしまったかのよう。
そこを埋めることができるのはもう一人しかいないのに。
だけどまだ受け入れる決心などついていない。
どうすればいいか、答えを出せずにいた。
密着していたロヴィスの肌の熱さを思い出してはぁ、と熱い吐息を吐いた。
まだ後ろに入っているかのような違和感を感じて、切ない声をあげそうになってしまう。
とりあえずのところは、アルブレヒトはゆっくりとベッドから抜け出して冷たいシャワーで体の熱を取り去った。
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