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外に出る時はずっとランドルフの隣に立ち、屋敷にいる時だってクリスティーナがいた。
アガトンや他の客人が同席する時は必ずクリスティーナが側に控えてくれていた。
ランドルフが私をそばに置いて、片時も目を離さないようにしていた。
だから、不貞をするそんな隙など私にはなかった。それを、クリスティーナはよく知っているし、ランドルフだってわかっているはずだ。
ただあの時のランドルフは頭に血が上った状態だっただけ。
何の行き違いか勘違いがあったかは知らないが、すぐに落ち着いて、また元のように私たちの子どもを心待ちにしてくれる。私ともうすぐ生まれてくる子どもを愛してくれる。
私は盲目的にもそう信じていた。
「ですが、奥様だって知っているでしょう。旦那様は一度思い込んだら滅多なことでは自分の意見や考えを変えないお方です。このままではお子は堕胎《だたい》されてしまいます!」
「そんなこと、あの人がするはずないわ」
ふるふると首を横に振った。クリスティーナの言葉を頭から追い出したかった。
お腹に当てていた手に力がこもる。
この子はランドルフとの子ども。愛する人との大切な宝物なのだ。この子がアガトンとの子どもだなんてそんな誤解はきっとすぐに勘違いだったとわかるはず。そう信じているはずなのに、どうしてこんなにも不安な気持ちにさせられるのだろうか。
「私だってこんなこと言いたくはありません。ですが現実を見てください奥様。こんなに体中あざだらけになって……」
そう言われてハッと私は自分の腕を見た。階段から転げ落ちていく時に打ちつけたせいで全身赤黒いアザだらけになってしまっていた。私は恥じるような気持ちになってシーツをたぐりよせ、体のアザを隠した。
「これは、私が階段から足を踏み外したからで、彼が悪いわけではないのよ」
「それでも、こんな状況に陥ってしまったのは旦那様のせいです!」
「この子はあの人の子どもなのよ。父親から離していい訳がないわ。家族は一緒にいなくては」
「いい加減にしてください奥様!」
クリスティーナは主の妻である私を大声で怒鳴った。
こんなに感情的なクリスティーナを見るのは初めてのことだった。
けれど私の意思は変わらない。夫婦は一緒にいるべきで、生まれてくる子どもと3人一緒に過ごすべきなのだ。子どもが生まれれば、ランドルフだってきっと可愛がる。その確証が私にはあった。
「クリスティーナさん、落ち着いてください。そんなに感情的に訴えても夫人のお気持ちは変わりませんよ」
「ですが先生……!」
クリスティーナの後ろからお医者様が口を出す。
「それに、伯爵様にお腹の子どものことを隠すなんてことは許されませんな」
「このまま黙って見ていろというのですか?! 奥様のお子は旦那様に殺されてしまいます!」
「落ち着いてクリスティーナさん。私の方で様子を見ながら伯爵様には状況をお伝えしますから」
「そんな先生!」
「クリスティーナさん。夫人のお腹にいるのはプロミネンス伯爵家の血筋です。伯爵当主であるランドルフ様にお伝えしない訳にはいきません」
興奮したクリスティーナを落ち着かせるようにゆっくりと話す。
「そ、それは……そうですがっ」
「もし、隠すとしたら、お腹の子と母体に危険を感じた時だけです。安全を確保する目的以外で夫で父親であるプロミネンス伯爵様に伝えない選択肢はありません」
「先生が安全を確保する必要性を感じた時は、ランドルフ様に隠していただけるんですね?」
「ええ、もちろん夫人の意見を尊重の上ですが」
ちらりとお医者様は私を見た。私はこくり、と先生を見て頷いた。
「先生の指示に従いますわ」
先生は部屋を出ていく。
「では、伯爵様を呼んでまいります」
アガトンや他の客人が同席する時は必ずクリスティーナが側に控えてくれていた。
ランドルフが私をそばに置いて、片時も目を離さないようにしていた。
だから、不貞をするそんな隙など私にはなかった。それを、クリスティーナはよく知っているし、ランドルフだってわかっているはずだ。
ただあの時のランドルフは頭に血が上った状態だっただけ。
何の行き違いか勘違いがあったかは知らないが、すぐに落ち着いて、また元のように私たちの子どもを心待ちにしてくれる。私ともうすぐ生まれてくる子どもを愛してくれる。
私は盲目的にもそう信じていた。
「ですが、奥様だって知っているでしょう。旦那様は一度思い込んだら滅多なことでは自分の意見や考えを変えないお方です。このままではお子は堕胎《だたい》されてしまいます!」
「そんなこと、あの人がするはずないわ」
ふるふると首を横に振った。クリスティーナの言葉を頭から追い出したかった。
お腹に当てていた手に力がこもる。
この子はランドルフとの子ども。愛する人との大切な宝物なのだ。この子がアガトンとの子どもだなんてそんな誤解はきっとすぐに勘違いだったとわかるはず。そう信じているはずなのに、どうしてこんなにも不安な気持ちにさせられるのだろうか。
「私だってこんなこと言いたくはありません。ですが現実を見てください奥様。こんなに体中あざだらけになって……」
そう言われてハッと私は自分の腕を見た。階段から転げ落ちていく時に打ちつけたせいで全身赤黒いアザだらけになってしまっていた。私は恥じるような気持ちになってシーツをたぐりよせ、体のアザを隠した。
「これは、私が階段から足を踏み外したからで、彼が悪いわけではないのよ」
「それでも、こんな状況に陥ってしまったのは旦那様のせいです!」
「この子はあの人の子どもなのよ。父親から離していい訳がないわ。家族は一緒にいなくては」
「いい加減にしてください奥様!」
クリスティーナは主の妻である私を大声で怒鳴った。
こんなに感情的なクリスティーナを見るのは初めてのことだった。
けれど私の意思は変わらない。夫婦は一緒にいるべきで、生まれてくる子どもと3人一緒に過ごすべきなのだ。子どもが生まれれば、ランドルフだってきっと可愛がる。その確証が私にはあった。
「クリスティーナさん、落ち着いてください。そんなに感情的に訴えても夫人のお気持ちは変わりませんよ」
「ですが先生……!」
クリスティーナの後ろからお医者様が口を出す。
「それに、伯爵様にお腹の子どものことを隠すなんてことは許されませんな」
「このまま黙って見ていろというのですか?! 奥様のお子は旦那様に殺されてしまいます!」
「落ち着いてクリスティーナさん。私の方で様子を見ながら伯爵様には状況をお伝えしますから」
「そんな先生!」
「クリスティーナさん。夫人のお腹にいるのはプロミネンス伯爵家の血筋です。伯爵当主であるランドルフ様にお伝えしない訳にはいきません」
興奮したクリスティーナを落ち着かせるようにゆっくりと話す。
「そ、それは……そうですがっ」
「もし、隠すとしたら、お腹の子と母体に危険を感じた時だけです。安全を確保する目的以外で夫で父親であるプロミネンス伯爵様に伝えない選択肢はありません」
「先生が安全を確保する必要性を感じた時は、ランドルフ様に隠していただけるんですね?」
「ええ、もちろん夫人の意見を尊重の上ですが」
ちらりとお医者様は私を見た。私はこくり、と先生を見て頷いた。
「先生の指示に従いますわ」
先生は部屋を出ていく。
「では、伯爵様を呼んでまいります」
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