俺は勇者になりたくて今日もガチャを回し続ける。

横尾楓

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第5章

貯蓄は必要な時に使う。

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そして感謝祭の最終日。
状況は不明だが、とりあえず伯父の屋敷へと向かう。

コンコン...カチャ

「................(どうぞと手招き)」
「おはよう。二人はまだ仕事してるの?」

ウィンディが扉を開けて俺達を中へ入れると
奥から嬉しそうにフィオが駆け寄った。

「あぁレオナルド、遂に間に合わせましたよ!」
「すぐに支度をしますのでお待ちください」

そう言ってまた慌てた様子で部屋へと向かった。
初めての感謝祭が相当嬉しいらしく
子供のようにはしゃいでいる。
(いつもとキャラ違うな。でも可愛い)

「ふぅ...レオナルドか。悪いけどお茶入れてくれる?」

グッタリとして居間のソファーに腰掛ける伯父。
客人にお茶を入れさせるなんて...まあいいけど。

「うん。さすが金持ちの家は違うな」

棚に並んだ数種類ある茶葉の缶から
特に高そうなものを選んで入れた。
すごくうまい。

「お待たせ。はいどうぞ」
「ゴク...おお!お目が高いねレオナルド君」

バレた。
まあどれもお高いんでしょうけど。

俺達がその高級なお茶を飲み終わった後
しばらくしてフィオが降りて来た。

「お待たせしましたっ!」

いつもの給仕服っぽい魔装束から
素敵な私服に変わっている。

「このお洋服は実用的ではないのですけれど」
「デザインだけはすごく可愛いんですよ」

これも一応魔装具らしい。
魔力が弱いからお出かけ用にしかならない。
誰が何のために作ったんだろうか...


♢感謝祭で賑わう広場

伯父の車に乗って感謝祭の会場に到着。
女神達は目をキラキラ輝かせている。

「すごい!白馬がクルクル回っていますよ」
「しかも乗れるのですね...乗ってみましょう!」

初めて見るものに興味津々。
手当たり次第にアトラクションを試し

「あのふわふわした食べ物は何でしょうか?」
「くもあめだよ。お砂糖で出来ているんだ」

食べ物も買ってあげたりして
なんだかデートしているみたいだ。
保護者同伴だけど。

「ウォッホン。君達そろそろいいかね?」
「........何をですか」
「やだなぁ。今日はガチャやりに来たんだろっ!」

(............そうだった!!)

すっかり楽しんで数時間過ぎていたが
フェスティバル限定のガチャは四時まで。
あと一時間もないから急いで中央の広場へ。

シュウォン...シャァァァ.....

みんな召喚陣を開いて何度もガチャを回していた。
俺も急いでアサインする。

“Grand Challenge System Assign”

ブヲン...
目の前に浮かぶ三種類のガチャから
まずは単発で“飛行タイプガチャ”を選択。

シュルン...シュルシュルシュルン.....
“赤い羽根”

関連してはいるけれど
飛ぶ奴らの強化アイテムだから要らない。
ウィンディがそれを見つめて何か言いたげだ。

「..............(欲しそう)」
「ゴメン。俺の当たりだからあげられないよ」

そう言うと頬を膨らませてコツンと額を叩いた。
システムのせいで俺のせいじゃないのに...

「お邪魔をしてはいけませんよ」

フィオがヒョイッと俺から引き離すと
屋台で買ったモリンゴ飴を食べさせた。

「.............(ガジガジ)」
「ご機嫌が治ったようなので続きをどうぞ」

そう、ほのぼのと見ていてはいけない。
残り時間も無いし、やはりここは10連ガチャか。
貯めていた分の石とボーナスで買った石で
30連までは無理がきく。

モグモグモグ....ゴクリ

今度はパタパタの手羽先を触媒として食べてから
再び召喚陣の前に立って集中する。
俺の10連を皆が固唾を呑んで見守る中
カレンだけは美味しそうにお肉を頬張っていた。
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