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第5章

始めたら後には引けない。

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「さあ、来いっ!」

シュウィーン.....シュバーン.....

投げ入れた10連分の石が召喚陣の中で回る。
単発で引くよりドキドキ感満載だ。
当たれば大きいし外れればショックが大きい。

なんとも言えない高揚感。
飛行タイプに合わせて手羽先も食べたし大丈夫。
昨日ネットで調べたジンクスは完璧だ。


シュ...シュシュワーンッ!
“魔女のホウキ”


「うーん...これはなんとも古典的な代物だよねぇ」

そもそも魔女に箒とか何百年前だよ...って感じ。
イメージ的には今でも残っているけれど。
あと黒猫とか。

次の石が溶ける。


シュバ...シュババババァーン...
“天使の飾り羽”


少しの間だけ飛ぶことが出来るアイテム。
レアと言うほどではないけれど、まあまあ嬉しい。

その後は飛行に関係のないアイテムなどが数個。
座り心地の良いフライングチェアと
ふわふわのクラウドクッションも出た。
これでウチのインテリアは充実だ。

...いや、予定と違う。
俺が欲しいのはウィザーライドみたいなやつ。
部屋の模様替えにガチャを引きに来たのではない。

次はそろそろアイテム以外が来そうな予感。
妖精か魔獣か...


“スカイフィッシュ”

コイツはよく分からない。
何年か前に洞穴で遭遇したことがあるけれど
高速でピュンッと飛ぶだけの不思議な魔物。
戦えないので返却。

最後も無難なものが出て終了した。
カレンはクッションが気に入ったみたいで
さっきから上に乗って遊んでいる。

「うわぁー!レオこれすごく楽しいよっ」
「でもコレじゃないんだ...」

飛行タイプガチャとは何であったのか。
実に微妙な結果に終わった。

「まあ気を取り直してさぁ、つぎ回すでしょ?」

それは当然だ。
今日しか出ないならもちろん回す。
悪い流れを断ち切るために次は種類を変えてみる。


“Grand Challenge System Assign”

ブヲン...“ドラゴンガチャ”を選択。
シュゥゥ...シュタン...ヒュイン...シュゴン...

(一つ緑に光ってるぞ!?)

どれ程のレアかはまだわからないかれど
何かしらの当たりが出そうな感じだ。

次々と石が回るがまだ当たりの石まで来ない。
焦らされて逆に期待が高まる。
さあ、レアなやつ来いっ!

“ミニシードラ”

10cmほどの小さくて可愛いドラゴン。
以前貴族に流行って乱獲され数を減らしたらしい。
ある意味レアには違いないけれど...観賞用?

「この種類も育てれば大きくなるらしいぞ」
「湖とかプライベートビーチが必要だな」
(.......持ってませんよっ!!)

暫くは家で飼うことに決めた。
勿論サイズはこのままで。

もう10連は後一回しか出来ない。
単発に切り替えるか...いや、このままで行こう。

一応ドラゴンも来たし、飛行タイプに戻す。
遠くで大当たりが出たようで歓声が上がっていた。
ここは俺も続きたいところだ。

「さあ、激レア来いっ!」
「ピッピィでもいいよー!」

カレンが急に余計なことを言ったから
俺は嫌な予感しかしなかった。
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