88 / 92
第8章
穏やかな青い空。
しおりを挟む
最後の朝食を食べる。
今日は特別にカレンの大好きな肉料理と
南国の珍しい食べ物が並んだ。
「時間が許す限りごゆっくりどうぞ」
「ありがとうイト」
「お肉だよ~!すごいすごいっ!」
俺は密林特産ミツリンゴのジュースを注ぐ。
ここへ来た時にミトが出してくれたものと同じだ。
家を出てから今日で一週間が経つけれど
ほんの一瞬の出来事だったような気もするし
ずっと暮らしていたようにも思える。
「はい!これ食べてカレン」「これも!」
「待ってぇ...順番に食べるからぁ~(困惑)」
カレンの好きなバイキング形式なのだが
取りに行かずともチビ達が次々と皿を運んでくる。
肉食の女神(精霊)も少し困惑気味だ。
「お前達いいかげんにしなさい!」
「ちゃんと食べるから平気だよー。ありがと」
「ほらっ!カレンもそう言ってるし」
「いってるしっ」「いってるしぃー!」
誰かの影響が蔓延しているのか
言う事を聞かない彼らにイトも降参気味だ。
俺は一人っ子だったからこういった空気は新鮮で
なんだかとても羨ましい。
「ご馳走さまぁ。すごく美味しかったよ~!」
「カレンもう行っちゃうの?」
「おいレオナルド!カレンを置いてけよっ!」
それは無理な話だ。
というか俺を引き留める声はないんだな...
ちょっと悲しい。
「お部屋から荷物をお持ちしますね」
「うん。外で準備してるよ」
「では私達は仕事に行きましょうか」
「はーい!じゃあなレオナルド」
「カレンまた来てね」「また来てカレン!」
チビ達はヨツが客室の清掃に連れて行った。
小さくても貴重な労働力なのだ。
「ミトはもう平気?」
「平気じゃないですけど...兄様に託されたので」
ニトにそそのかされた感じなのだが
一生懸命に村を守ろうとする真っ直ぐな彼女は
後継ぎとして適任なのかもしれない。
立派な兄のイトや賢いヨツもいるから安心だろう。
「おいでロングリフォンッ!」
ニトがグリフォンの背中に跨り
たくさんの敵を倒してレベル上げをしてたから
サイズも三人乗れるほどの大きさに。
ビュゥゥ...ヴィア!ヴィアァァァ!
背中に鞍を付けたら荷物もしっかりと固定。
帰りはグリフォンに乗って家まで戻る。
初めての二人乗りと長距離飛行は不安だけれど
これなら今日中には着くはずだ。
「次のライブは是非一緒に観に行きましょう」
「うん。チケットは争奪戦だろうけどね」
フローリアの一件は騒動になったもの
その一途な想いが女性達から圧倒的な支持をうけ
ファンは減るどころか急増している。
それに彼女は人間ではなく女神級の精霊。
皆を愛して皆に愛される尊い存在なのだから
嫌いになる理由なんて何処にもない。
「出発か。気を付けて行きなさい」
「お世話になりました」
勇者(元)も仕事の手を休めて見送りに来てくれた。
「君はもっと強くなれる。頑張りなさい」
「俺もいつか立派な勇者になります」
笑顔で何度も頷いてくれた。
いつか必ずー
ブワッ...バサバサバサ...
成長したグリフォンの体が宙に浮いて
高度をグングンと上げていく。
ミトが大きく手を振っている。
コテージの二階からヨツや他の子供達も。
その姿はだんだんと小さくなり
やがて見えなくなった。
「雲を超えたよ。カレンしっかり掴まって」
「うん!(ギュッ)」
シュゥ...ブワァッ!!!
急加速して前進するロングリフォンだが
人を乗せるのに慣れたようで以前とは全く違う。
勢いをつけた後はふわっと気流に身を任せ
手を離しても平気な程に安定している。
カレンが俺を掴む手を離した。
その手首には紐のようなモノを巻いている。
「それはどうしたの?」
「あの子達が作ってくれたの。いいでしょー!」
何色かの美しい糸で織られたブレスレットだった。
これが切れたら願い事が叶うのだという。
「なにお願いしようかなぁ~んふふ(ゴシゴシ)」
「駄目だよ擦って切ろうとしちゃ」
彼女は神性を持つ精霊なのに迷信を信じていたり
占いとかも大好きだったりする。
(精霊にも叶えたい夢とかあるのだろうか...)
「風が心地いいね」
雲に覆われていて下は何も見えない。
空はどこまでも真っ青に広がっていて
まるで違う世界のように思えた。
今日は特別にカレンの大好きな肉料理と
南国の珍しい食べ物が並んだ。
「時間が許す限りごゆっくりどうぞ」
「ありがとうイト」
「お肉だよ~!すごいすごいっ!」
俺は密林特産ミツリンゴのジュースを注ぐ。
ここへ来た時にミトが出してくれたものと同じだ。
家を出てから今日で一週間が経つけれど
ほんの一瞬の出来事だったような気もするし
ずっと暮らしていたようにも思える。
「はい!これ食べてカレン」「これも!」
「待ってぇ...順番に食べるからぁ~(困惑)」
カレンの好きなバイキング形式なのだが
取りに行かずともチビ達が次々と皿を運んでくる。
肉食の女神(精霊)も少し困惑気味だ。
「お前達いいかげんにしなさい!」
「ちゃんと食べるから平気だよー。ありがと」
「ほらっ!カレンもそう言ってるし」
「いってるしっ」「いってるしぃー!」
誰かの影響が蔓延しているのか
言う事を聞かない彼らにイトも降参気味だ。
俺は一人っ子だったからこういった空気は新鮮で
なんだかとても羨ましい。
「ご馳走さまぁ。すごく美味しかったよ~!」
「カレンもう行っちゃうの?」
「おいレオナルド!カレンを置いてけよっ!」
それは無理な話だ。
というか俺を引き留める声はないんだな...
ちょっと悲しい。
「お部屋から荷物をお持ちしますね」
「うん。外で準備してるよ」
「では私達は仕事に行きましょうか」
「はーい!じゃあなレオナルド」
「カレンまた来てね」「また来てカレン!」
チビ達はヨツが客室の清掃に連れて行った。
小さくても貴重な労働力なのだ。
「ミトはもう平気?」
「平気じゃないですけど...兄様に託されたので」
ニトにそそのかされた感じなのだが
一生懸命に村を守ろうとする真っ直ぐな彼女は
後継ぎとして適任なのかもしれない。
立派な兄のイトや賢いヨツもいるから安心だろう。
「おいでロングリフォンッ!」
ニトがグリフォンの背中に跨り
たくさんの敵を倒してレベル上げをしてたから
サイズも三人乗れるほどの大きさに。
ビュゥゥ...ヴィア!ヴィアァァァ!
背中に鞍を付けたら荷物もしっかりと固定。
帰りはグリフォンに乗って家まで戻る。
初めての二人乗りと長距離飛行は不安だけれど
これなら今日中には着くはずだ。
「次のライブは是非一緒に観に行きましょう」
「うん。チケットは争奪戦だろうけどね」
フローリアの一件は騒動になったもの
その一途な想いが女性達から圧倒的な支持をうけ
ファンは減るどころか急増している。
それに彼女は人間ではなく女神級の精霊。
皆を愛して皆に愛される尊い存在なのだから
嫌いになる理由なんて何処にもない。
「出発か。気を付けて行きなさい」
「お世話になりました」
勇者(元)も仕事の手を休めて見送りに来てくれた。
「君はもっと強くなれる。頑張りなさい」
「俺もいつか立派な勇者になります」
笑顔で何度も頷いてくれた。
いつか必ずー
ブワッ...バサバサバサ...
成長したグリフォンの体が宙に浮いて
高度をグングンと上げていく。
ミトが大きく手を振っている。
コテージの二階からヨツや他の子供達も。
その姿はだんだんと小さくなり
やがて見えなくなった。
「雲を超えたよ。カレンしっかり掴まって」
「うん!(ギュッ)」
シュゥ...ブワァッ!!!
急加速して前進するロングリフォンだが
人を乗せるのに慣れたようで以前とは全く違う。
勢いをつけた後はふわっと気流に身を任せ
手を離しても平気な程に安定している。
カレンが俺を掴む手を離した。
その手首には紐のようなモノを巻いている。
「それはどうしたの?」
「あの子達が作ってくれたの。いいでしょー!」
何色かの美しい糸で織られたブレスレットだった。
これが切れたら願い事が叶うのだという。
「なにお願いしようかなぁ~んふふ(ゴシゴシ)」
「駄目だよ擦って切ろうとしちゃ」
彼女は神性を持つ精霊なのに迷信を信じていたり
占いとかも大好きだったりする。
(精霊にも叶えたい夢とかあるのだろうか...)
「風が心地いいね」
雲に覆われていて下は何も見えない。
空はどこまでも真っ青に広がっていて
まるで違う世界のように思えた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~
月神世一
ファンタジー
紹介文
「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」
そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。
失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。
「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」
手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。
電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。
さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!?
森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、
罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、
競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。
これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。
……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる