俺は勇者になりたくて今日もガチャを回し続ける。

横尾楓

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第2章

旅立ちの朝。

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旅立ちの朝。
まだ薄暗い窓の外は静寂に包まれて........いない。

ドンドンドン...
「レオナルド!本当に付いて行かなくていいのか!」
「結構です...というかご近所迷惑です」

朝も早くから何やってるんだか。
伯父を回避する為の早朝出発だったのに残念だ。

あれからずっとこの調子で一緒に行くと言って聞かない。
過保護というよりただの駄々っ子。
もちろん連れて行く気はないが。

「やっぱりここですか!帰りますよマスター!」

後ろから追いかけてきたフィオが
すかさず何かしらの魔法を使って動きを止める。

「申し訳ありません...少し目を離した隙に...」
「それではお気をつけて」
「うご...け...な...ひ...」

フィオと動けない伯父に見送られながら
俺達は西の森へと向かった。

昨日は丸一日使って荷物の準備をしていた。
とはいえ野営用のテントと着替えくらい。
食料は調味料以外はほぼ現地調達で賄う予定だし
魔法関係のアイテムや装備は全部“ポッケ”の中だから
意外と持ち物は少なくて済んだ。

ウェザーにもまだ装備は付けさせないで
西の森に付いてから着替える感じにしたから
それまではピクニックにでも行くかのような軽装だ。

彼女はひさしぶりに野営が出来ると大はしゃぎで
まだ先は長いのにスキップしながら坂を駆け上がる。
結構アウトドア派なのだろうか。
いや、インドア派の精霊の方が珍しいか。

峠の中程まで着いたら遅い昼食を食べて
今日は西の森前で泊まるつもりだ。

「レオ、おなかすいたね~?」
さっきから度々いつ昼食をとるのか聞いてくる。

仕方がないのでフィオが見送り時に渡してくれた
オヤツの袋を取り出す。
中には手紙が添えられていた。

“お疲れ様です。もうだいぶ歩かれましたか?”
“レオナルドにはクッキーと、ウェザーさん用に干し肉です”
“疲れた時に少しずつ食べてくださいね”

.....ゴメン。干し肉はもう全部無くなってしまった。
しかもまだ全然疲れてもいない距離です。

満足した彼女が歩く速度をグングンと上げた為
夕方西の森につく頃には俺はぐったりとしてしまった。

「ふぅ...なんだか予定より早く着いたな」
「疲れてるの?レオ」

(もうダメだ。しんど過ぎてテント張れない...)
座ったまま動けないでいると
ウェザーが慣れた手つきで寝床を組み上げていく。

「はい、出来ました!」
「すごい...本当に助かるよ...」

夕食の時間まで早速テントの中で休憩する事にした。
二時間ほど気絶したように眠った後
俺はウェザーを連れて晩御飯の“買い出し”に出かけた。
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