俺は勇者になりたくて今日もガチャを回し続ける。

横尾楓

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第3章

新しいことを始めよう。

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ピコン♪

“お~レオナルド久しぶりじゃん!”
“てか、お前ログ付けてないから近況みれねーし”
“ちゃんとログ付けろよ、ログ”

いや、手書きのログはちゃんと付けているのだけど。

ラファエルからだった。
昨日コメントを書いたから返信が届いていたのだ。
デジタルは苦手だけど始めてみようかな。
パチパチ...カチ...ピロン♪

「・・・・・・・・」

.........全然解らなかった。
写真を載せようと思ったら書いたの全部消えたし。
変なとこ押したらエラー表示が出るし。
(もういやだ...)

行き詰まってしまった俺は
参考にと伯父のログを開いてみた。
今まで特に興味がなかったので初めて開くが...

バンッ!

“待望の続編・五年越しの完成!”
“エンシェントドラゴンは二度死ぬ~後編~”
“大好評発売中!!”

そして著書を持った伯父の顔写真が載っている。

“エンシェントー”は昔スマッシュヒットした作品。
タイトルからは想像出来ないが恋愛小説である。

ずっと待っているファンも多いのに飽き性だから
別の系統を書いたり、違う仕事を始めたりして
伯父が長年放置し続けてきたという迷作だ。

先月からフィオに閉じ込められて
ヒィヒィ言って部屋で書いていたのはこれか...

そしてログは間違いなくフィオが管理しているのだろう。
ちゃんと更新されているし、見やすくて効果的。
伯父がまるで立派な作家先生の様に見える。


今日はちょうど稽古の日。
ついでにフィオに色々教えてもらおうと思う。

「ログの事についてですか?」
「そう。これからはネットで付けようかと思って」
「では特訓後に作ってみましょう」

二時間ほど汗を流した後
彼女は自分の部屋に案内してくれた。
初めて入るから緊張する...一応女の子の部屋ですし。

カチャ...
洗練された広い部屋でアンティークな家具もお洒落...
というか、部屋の中に部屋がありますけど!?

「寝室とかは奥にあります。仕事はいつもここの広間で」
「レオ、うちと同じくらいの広さだねー!」

(.....そう、成功者だからね)

机の上に置いてある端末は
最新の超小型ハイスペックモデル。
フィオが魔術電源を入れると大きな画面が現れた。
俺の両手を広げたくらいにデカい。

サクサクとログを編集してみせる彼女。
何をどうやったのかさっぱり解らなかった。

「初歩の初歩からですね...」
「ゴメン。忙しいのにまた面倒なこと増やして...」
「いえ、レオナルドのログが見えれば私も安心なので」

カチカチカチ...
ここをこうで、あそこはこうやって...出来たっ!
とりあえずトップページとアイコンを変更。
ちょっとは様になったかな?
この後ログの付け方と写真の載せ方も教わった。

あと、自分が飽きてしまわないように
趣味とか冒険の記録以外の事も
一緒に載せると良いとアドバイスをもらった。
面倒になって辞めちゃう人も多いらしい。
(趣味......ガチャとか?)

カレンもやりたいと言っているので
当面は二人のログとして開始する事にした。
精霊でも個人アカウントは作れるみたいだけど
二人で協力してまずは使いこなさないとね。

帰ってからも二人で続きをパチパチ...
俺は疲れて途中から寝てしまったけど
その間カレンがピッピィやら俺の寝顔やら
色々と写真をアップしていた。

(どうやったら消えるんだコレ)

パチパチ...カチ...パチ...ピロン♪
 “Error Code-0007”
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