24 / 38
第21話 王様が土下座しました
しおりを挟む
俺とフェンリース、それにトガーさんとその仲間たちは、謁見の間へと案内された。
まさに“異世界あるある”の絢爛豪華な空間。高い天井、装飾された赤い絨毯、玉座に座るのは――
「この人が……キメロスタ王国の国王、ガルム・ローレンス・キメロスタか」
俺たちは中央まで進み、片膝をついて頭を下げた。
見上げたその男は、堂々たる体格。いや、ふくよかを通り越して……デブだ。
「お前たちが例の、珍しい食べ物を持っているという者たちか?」
出てきた第一声がそれかよ……。
「えっと、はい。それは私が作った料理です。近くにいたリューカス様が興味を持ってくださいまして……」
フェンリースが緊張気味に答える。
“色気より食い気”“花より団子”って言葉がこれほど似合う王様もそういないな。
「それを献上しなさい。悪いようにはせん!」
「……………」
俺は、周りを見た。どうしたらいいのかと目で合図を送ったけど――
誰一人として目を合わせてくれなかった。
いつも俺を立ててくれるフェンリースですら、顔を伏せて、小さく震えている。
怖いのかもしれない。相手は、国王だしな……。
「はぁー……。献上すると、どうなるんですか?」
「王族に認められたというブランドがつく! そして、王族や貴族“だけ”が食することを許されるようになるのだ! お主には、発見者として褒美を与えよう!」
“だけ”?
あー……ダメだ。完全にアウトなやつだ。
「……屑だな」
「ん?何か言ったか?」
「そんなもん、いらねぇって言ったんだよ」
俺は立ち上がった。
「フェンリース、帰るぞ」
「……ハルト様の、仰せのままに!」
俺とフェンリースが踵を返したその瞬間――
「止まれ! ここから出すわけにはいかん!」
兵士たちが前に立ちはだかる。
「ハルト! 国王様に楯突くなんて、正気か!?」
トガーさんの声も聞こえたけど、もう止まらない。
こんな奴が国のトップじゃ、この国の未来も知れてる。
「国王様に献上するような代物じゃありませんよ。あれは、俺が、庶民の味として作った料理です。お口に合いませんって」
俺が皮肉たっぷりに言い放ったその瞬間――
「……ぬぬぬぬ……」
王様が、玉座から立ち上がった。顔を真っ赤にして、唇を震わせながら――
「すまなかったーーーーーー!!」
その体が、床に落ちるようにひざまずいた。
「どうか……その“庶民の味”とやらを……私にも食べさせてくれ!!」
「……えっ?」
俺も、トガーさんたちも、フェンリースすらも呆然とした。
王様、まさかの土下座。
異世界で王様が庶民料理を前にして土下座……。
この国、大丈夫か?
いや、本当に――この国、大丈夫なのか?
---
まさに“異世界あるある”の絢爛豪華な空間。高い天井、装飾された赤い絨毯、玉座に座るのは――
「この人が……キメロスタ王国の国王、ガルム・ローレンス・キメロスタか」
俺たちは中央まで進み、片膝をついて頭を下げた。
見上げたその男は、堂々たる体格。いや、ふくよかを通り越して……デブだ。
「お前たちが例の、珍しい食べ物を持っているという者たちか?」
出てきた第一声がそれかよ……。
「えっと、はい。それは私が作った料理です。近くにいたリューカス様が興味を持ってくださいまして……」
フェンリースが緊張気味に答える。
“色気より食い気”“花より団子”って言葉がこれほど似合う王様もそういないな。
「それを献上しなさい。悪いようにはせん!」
「……………」
俺は、周りを見た。どうしたらいいのかと目で合図を送ったけど――
誰一人として目を合わせてくれなかった。
いつも俺を立ててくれるフェンリースですら、顔を伏せて、小さく震えている。
怖いのかもしれない。相手は、国王だしな……。
「はぁー……。献上すると、どうなるんですか?」
「王族に認められたというブランドがつく! そして、王族や貴族“だけ”が食することを許されるようになるのだ! お主には、発見者として褒美を与えよう!」
“だけ”?
あー……ダメだ。完全にアウトなやつだ。
「……屑だな」
「ん?何か言ったか?」
「そんなもん、いらねぇって言ったんだよ」
俺は立ち上がった。
「フェンリース、帰るぞ」
「……ハルト様の、仰せのままに!」
俺とフェンリースが踵を返したその瞬間――
「止まれ! ここから出すわけにはいかん!」
兵士たちが前に立ちはだかる。
「ハルト! 国王様に楯突くなんて、正気か!?」
トガーさんの声も聞こえたけど、もう止まらない。
こんな奴が国のトップじゃ、この国の未来も知れてる。
「国王様に献上するような代物じゃありませんよ。あれは、俺が、庶民の味として作った料理です。お口に合いませんって」
俺が皮肉たっぷりに言い放ったその瞬間――
「……ぬぬぬぬ……」
王様が、玉座から立ち上がった。顔を真っ赤にして、唇を震わせながら――
「すまなかったーーーーーー!!」
その体が、床に落ちるようにひざまずいた。
「どうか……その“庶民の味”とやらを……私にも食べさせてくれ!!」
「……えっ?」
俺も、トガーさんたちも、フェンリースすらも呆然とした。
王様、まさかの土下座。
異世界で王様が庶民料理を前にして土下座……。
この国、大丈夫か?
いや、本当に――この国、大丈夫なのか?
---
120
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる