異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ

文字の大きさ
96 / 107

第89話「川霧の朝、朝拍ハイブリッド! 霞の三行で、喉と肩を同時に整える」

しおりを挟む
 夜のぬるさがほどけ、川面に白い帯が敷かれた。川霧。息玉は“ひとつ長く、ひとつ短く”揺れる。朝拍だ。

 私は鍋に湯を立て、《陽だし》を朝向けに軽く整え、もう一方の冷やし盤には《川霧ところてん》の鉢を冷やす。ところてんは出汁割り、酢は“耳かき-ひと息”。菓子枠には《青じそ塩むすび・朝露版》を少しだけ。新装備は“朝霧スリット”、“露受け桟(さん)”、“朝傘ひさし”。魔温計は“露点”表示に。

「今日は川霧の朝」

「朝拍はどうする?」と王女セレスティア。

「“トン・スッ”。二拍で軽く。三行は“おはよう版”。右に温、左に冷、奥にむすび」

 ビアンカは導線図に“朝”の印を足し、ティオは団扇を細く持って「トン・スッ」。ギルバート卿は胸章の裏に“朝拍・露”の細線を一本、マダム・コルネは懐中手帳に“露受け”の栞を挟む。

「準備、よろしい?」

「よろしい!」



 王都・川沿いの朝市。露で石畳が淡く光る。屋台連合は流れに沿って帯状に展開、私たちは地面に“朝道ライン”をJ→緩S→ほぼIで引いた。川側に“露受け桟”を渡し、香り屏風は“朝霧スリット”で角-1度。値札には“朝傘ひさし”。柱の高みに“朝鈴”をひとつ、低い音で。

 掲示板に太字——
川霧の朝=見通し×衛生×拍×露対策

・三行は“息→道→灯(おはよう)”、無音併記
・露受け桟+朝霧スリット、雫逃がし穴は“細”
・渡し台二段+行進角15度、走者帯と通勤帯を分離
・値札は小さめ、朝傘ひさし+艶消し粉

 卿が前へ半歩。朝鈴が“りん”。三行の“おはよう版”がやさしく落ちる。

「おはようございます。手をどうぞ、一呼吸。
 右に《陽だし》、左に《川霧ところてん》、奥に《朝露むすび》。
 行ってらっしゃいまで、あたたかいまま。」

 肩がすっと落ちた。石畳の上で靴音が軽く揃う。

「十秒試食どうぞー! 並ばせません、朝拍でどうぞ!」



 仕込み(見せすぎない距離)

《陽だし小椀・朝》
・だし:甘露-1/8、塩“耳かき+1/8”。新生姜を“見送り針”でひと筋。
・具:白葱扇、薄揚げ、三つ葉。ゆず針一本。
・器:歩き椀、息返し穴-0.1mm。蓋に“扇縁”浅刻み。

《川霧ところてん(出汁割)》
・出汁:淡口+みりん“朝淡”。酢は“耳かき-ひと息”、柑の果皮を微粉で。
・打ち:ところてんは角を落として“すべり止め”。
・香り:薄荷露を“半息遅れ”。鼻先半歩で涼が来るよう“朝霧スリット”の風下へ。

《青じそ塩むすび・朝露版》
・塩は笑顔塩、青じそは細針で混ぜ、仕上げに“露塩(ろしお)”を粉で。
・携行:若草帯+霧返し紙。角はR強め、“露留め点”を二つ。

 王女が木札(青/緑/白)を配り、ビアンカは“走者帯(ジョグ)/通勤帯”を縄で薄く分離。ティオは朝鈴の下で団扇を刻み、卿は三行を“根・骨・縁”で配る。



 事件一:露の“指すべり”

 初波。ところてん鉢の外側に露が薄膜をつくり、受け取りの指が“すべっ”。朝拍が半拍よろけた。

「露筋、入れます」

 私は鉢の外周に“露逃がし筋”を細く三本。親指の当たりにだけ“点刻み”を二つ。香り屏風の角を-0.5度、露受け桟を半歩外へ。

「持ちやすい!」

「冷たさだけ残る~」



 事件二:朝日の“低角反射”

 川面からの反射が値札の白へ刺さり、目が細くなる。通勤帯の足が半歩止まった。

「朝傘、角を変えます」

 私は“朝傘ひさし”を3度寝かせ、紙地を艶消し粉で“ひと叩き”。値札の位置を半歩内へ。卿が一行目を半拍深く、視線に余白をつくる。

「読める!」

「朝の字、やさしい!」



 事件三:走者帯の“交差息”

 ジョグの人が三拍で通過し、通勤帯の二拍とずれて列の肩が交差。ところてんの涼が先に届きすぎ、喉が驚く。

「帯、拍で分けます」

 私は“走者帯=指し札青/二行目短句”“通勤帯=指し札白/標準句”に。ティオは走者帯の鈴を半音上げ、王女が二行目を“右温/左冷”の順に短く。ビアンカが帯の角度を1度分けた。

「走る人は青!」

「歩く人は白、迷わない!」



 事件四:むすびの“露吸い”

 朝露で若草帯が水を吸い、むすびの角が“しっとり”重い。片手の携行が“ぴと”。

「露受け、重ねます」

 私は帯の内側に霧返し紙を一枚追加、端を0.5センチ浮かせて“息”をつくる。むすびの角には“露留め点”をもう一つ。受け渡し角を1度寝かせ、朝鈴を一打落として肩をゆるめる。

「持ちやすい!」

「塩の顔がきれい~」



 中盤。“二口半・朝拍セット”。右小椀、左ところてん、奥むすび半片。緑札は“登校・育児・職人”優先。王女が笑顔珠を掲げ、朝鈴が“りん”。私は渡す直前に両手一拍、湯気と涼が“すうっ”と分かれた。

「値札は——」

「小さめ固定、朝傘ひさしで」

「よろしい」

 魔水晶がぴこ。地球のキッチンから。

「進捗どう?」

「笑顔、温156/冷174/むすび132! 冷が朝リード!」

「帰り道賞は?」

「今日は“行ってらっしゃい賞”。ところてん→小椀の順で肩が整う」

「“朝霧だしパック”八いける?」

「いけます!」

 世界が二つ、同じ二拍で動く。



 臨時講座:登校“三行”

 登校班がまとまり、旗の影に小さな目。保護者が問う。「声を短くできますか?」

「子ども版、どうぞ」

 私は小札に書く。
『おはよう。てをあたため。/みぎはあつい、ひだりはつめたい。/いってらっしゃい。』

 王女が歌い、ティオが小さく団扇。輪・二指・掌で重ねると、靴音が“とん・すっ”で揃った。



 衛生巡回:朝露版

 白腕章が露で濡れた票を拭きながら来る。「露が器の縁へ回る」

「三行で」

『器は内→外、外は“露筋”に沿って。/手袋は乾→濡、鈴で区切る。/最後に桟と手すりを拭く。』

「露筋の指定、助かる……小椀を二つ」

 判が“ぽん”。肩が落ちる。



 路地口サテライト

 橋のたもとへ薄い霧が溜まる。視界が低く、指し札が霞む。

「光を“朝色”へ」

 私は光の指し札を“朝色(薄金)”で縁取り、腰高に低く灯す。凧屋の少年直伝の“風受け尾”は短く、霧に絡ませずに押す。手話の少女が無音三行で迎えると、路地の足音が晴れた。

「見やすい!」

「朝の色、落ち着く~」

 小さな迷子

 朝の靴が合わずに泣く子。ところてんの涼を見て、手が止まる。

「味の入口を変えるね」

 私は《青じそ塩むすび》を半片、輪・二指・掌で渡し、後ろに小椀を“すっ”。ティオの朝鈴が“りん”。子の眉がほどけ、親の肩に“とん”。

「いってきます」

「いってらっしゃい」



 素材メモ

 ところてんの出汁割りは“酢後・柑微粉前”。朝は酸を遅らせ、喉を驚かせない。小椀は新生姜を見送りに、鼻先半歩で肩を起こす。むすびの露塩は“粉一息”、粒を作らない。——文庫“朝棚”に追記。



 終盤。朝霧が上がりはじめ、石畳の光が強くなる。私は小椀の甘露-1/8、塩+1/8、ところてんの酢を“耳かき+ひとかけ”、むすびは露塩“-ひと息”。三行は祝句を“行ってらっしゃい版”へ。

「ラスト四十、いきます!」

 王女が木札を配り、ビアンカが走者帯の角を1度寝かせ、通勤帯は“ほぼI”。ティオが「十秒試食どうぞー!」、卿が締めの朝三行。

「ありがとうございました。手をどうぞ、一呼吸。
 右に温、左に冷、奥にむすび。
 いってらっしゃい。帰り道まで、あたたかいまま。」

 朝鈴が、小さく二つ。肩が、たくさん落ちた。



 片づけ。露受け桟を干し、朝霧スリットを外し、朝傘ひさしを拭く。マダム・コルネが手帳を閉じる。

「川霧の朝、合格。改善三点。
 一、ところてん鉢の“露逃がし筋+点刻み”を標準。
 二、走者帯=青短句/通勤帯=白標準を常設。
 三、朝傘ひさしは角-3~-5度可変、低角反射に先手。」

「次は“宵の風鈴市”。光の指し札を“星色”にして、夏祭りの前哨戦だね」

 卿が帰り際、ぽそり。

「朝は、息で地図を描く」

「名言、いただきました」

 ゲートの向こう、地球の朝。私はところてんを“すっ”、小椀を“すっ”。合言葉は二拍で短く。

「おはようございます。
 右に温、左に冷、奥にむすび。
 行ってらっしゃい。帰り道まで、あたたかいまま。」

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

異世界着ぐるみ転生

こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生 どこにでもいる、普通のOLだった。 会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。 ある日気が付くと、森の中だった。 誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ! 自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。 幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り! 冒険者?そんな怖い事はしません! 目指せ、自給自足! *小説家になろう様でも掲載中です

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/466596284/episode/5320962 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039/episode/2285646

転生少女は異世界で理想のお店を始めたい 猫すぎる神獣と一緒に、自由気ままにがんばります!

梅丸みかん
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。※書籍化に伴い「転生少女は異世界でお店を始めたい」から「転生少女は異世界で理想のお店を始めたい 猫すぎる神獣と一緒に、自由気ままにがんばります!」に改題いたしました。

SE転職。~妹よ。兄さん、しばらく、出張先(異世界)から帰れそうにない~

しばたろう
ファンタジー
ブラック企業で倒れたSEが、 目を覚ますと――そこは異世界だった。 賑やかなギルド、個性豊かな仲間たち、 そして「魔法」という名のシステム。 元エンジニアの知識と根性で、男は再び“仕事”を始める。 一方、現実世界では、 兄の意識が戻らぬまま、妹が孤独と絶望の中で抗っていた。 それでも彼女は、心ある人々に支えられながら、 科学と祈りを武器に、兄を救う道を探し続ける。 二つの世界を隔てる“システム”の謎が、やがて兄妹を結びつける。 異世界と現実が交錯するとき、物語は再起動する――。 《「小説家になろう」にも投稿しています》

『今日も平和に暮らしたいだけなのに、スキルが増えていく主婦です』

チャチャ
ファンタジー
毎日ドタバタ、でもちょっと幸せな日々。 家事を終えて、趣味のゲームをしていた主婦・麻衣のスマホに、ある日突然「スキル習得」の謎メッセージが届く!? 主婦のスキル習得ライフ、今日ものんびり始まります。

【完結】憧れの異世界転移が現実になったのですが何か思ってたのと違います

Debby
ファンタジー
【全話投稿済み】  私、山下星良(せいら)はファンタジー系の小説を読むのが大好きなお姉さん。  好きが高じて真剣に考えて作ったのが『異世界でやってみたい50のこと』のリストなのだけど、やっぱり人生はじめからやり直す転生より、転移。転移先の条件として『★剣と魔法の世界に転移してみたい』は絶対に外せない。  そして今の身体じゃ体力的に異世界攻略は難しいのでちょっと若返りもお願いしたい。  更にもうひとつの条件が『★出来れば日本の乙女ゲームか物語の世界に転移してみたい(モブで)』だ。  これにはちゃんとした理由があって、必要なのは乙女ゲームの世界観のみで攻略対象とかヒロインは必要ないし、もちろんゲームに巻き込まれると面倒くさいので、ちゃんと「(モブで)」と注釈を入れることも忘れていない。 ──そして本当に転移してしまった私は、頼もしい仲間と共に、自身の作ったやりたいことリストを消化していくことになる。  いい年の大人が本気で考え、万全を期したハズの『異世界でやりたいことリスト』。  なんで私が転移することになったのか。謎はいっぱいあるし、理想通りだったり、思っていたのと違ったりもするけれど、折角の異世界を楽しみたいと思います。 ---------- 覗いて下さり、ありがとうございます! 2025.4.26 女性向けHOTランキングに入りました!ありがとうございます(๑•̀ㅂ•́)و✧ 7時、13時、19時更新。 全48話、予約投稿しています。 ★このお話は旧『憧れの異世界転移が現実になったのでやりたいことリストを消化したいと思います~異世界でやってみたい50のこと』を大幅に加筆修正したものです(かなり内容も変わってます)。

ギルドの小さな看板娘さん~実はモンスターを完全回避できちゃいます。夢はたくさんのもふもふ幻獣と暮らすことです~

うみ
ファンタジー
「魔法のリンゴあります! いかがですか!」 探索者ギルドで満面の笑みを浮かべ、元気よく魔法のリンゴを売る幼い少女チハル。 探索者たちから可愛がられ、魔法のリンゴは毎日完売御礼! 単に彼女が愛らしいから売り切れているわけではなく、魔法のリンゴはなかなかのものなのだ。 そんな彼女には「夜」の仕事もあった。それは、迷宮で迷子になった探索者をこっそり助け出すこと。 小さな彼女には秘密があった。 彼女の奏でる「魔曲」を聞いたモンスターは借りてきた猫のように大人しくなる。 魔曲の力で彼女は安全に探索者を救い出すことができるのだ。 そんな彼女の夢は「魔晶石」を集め、幻獣を喚び一緒に暮らすこと。 たくさんのもふもふ幻獣と暮らすことを夢見て今日もチハルは「魔法のリンゴ」を売りに行く。 実は彼女は人間ではなく――その正体は。 チハルを中心としたほのぼの、柔らかなおはなしをどうぞお楽しみください。

処理中です...