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第5章 拡がる牧場と迫る影
第47話「明かされる影の正体」
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地下祭壇での闇の根の浄化から数日後。谷に春の兆しが訪れ始めたころ、牧場に一人の旅人が訪れた。
男は黒ずくめの外套をまとい、顔の半分をフードで隠していたが、目元はどこか憔悴していた。
「……俺を、ひなのという薬師に会わせてくれないか」
悠翔が警戒をにじませながら門先に立ち塞がる。
「何の用だ?」
旅人はおもむろに袋から一冊の古びた文書を取り出した。
「これは“影の起源”に関する記録だ。かつての女神の加護を受けていたこの地に、何があったのか……その真実がここにある」
その言葉に、ひなのが姿を現す。「見せてください」
文書には、千年前、この地に存在した“浄化の泉”が記されていた。そしてそこに集った者たちが、女神の力を悪用しようとした記録が……
> 『欲望に堕ちし癒し手は、女神の力を束ね、己が不死を望んだ』
> 『しかし制御できぬ力は“影”となり、この地を蝕んだ』
「……影は、もともと女神の力の残滓だったんだ」
旅人は静かに頷いた。「そして、その中心にいたのが“ソエル”という名のかつての調合師だった」
「……調合師?」
ひなのの声が震える。自分と同じ、癒しをもたらす職を持ちながら、力に呑まれた者の存在。
「彼は、“調和”という名の万能薬を求め、禁忌を越えた。だが失敗し、影に取り込まれたまま眠っている」
「……どこに?」
旅人は谷の奥、封印の山道を指さした。
「封印の根源は、その山の中。そこに“記憶の地”がある。おそらく、あの男も、まだ……」
静かな緊張が三人の間を包んだ。
リンネが口を開く。「じゃあ、その“ソエル”をどうにかしない限り、影の根はまた蘇るってこと?」
「そういうことだ。彼の意志は影に取り込まれ、形を持たないまま……この地に残り続けている」
悠翔が力強く言った。「だったら、俺たちで止める。今度こそ、影の循環を断ち切るんだ」
ひなのも頷く。「私は、癒し手として“影に取り込まれた誰か”を見捨てたくない。……調和を信じたい」
旅人は静かに背を向けた。「……君たちに任せるよ。影に囚われなかった癒し手たちに」
---
その夜、三人は祭壇の地下で得た“封印の鍵”と、旅人から受け取った文書を見比べていた。
そこには、記憶の地への古代語の道標と、鍵の封印の仕組みが記されていた。
> 『鍵は、記憶を背負う者のみが使える』
> 『癒しの記録を読み、影を知り、なお立ち向かう者に、道は開かれる』
「影の正体は、人の心が生んだもの……その末路でもある」
ひなのは覚悟を決めるように目を閉じた。
「ソエルという人の物語を、最後まで見届けたい」
悠翔がそっと肩に手を置く。「ああ、行こう。兄妹で、最後まで」
---
男は黒ずくめの外套をまとい、顔の半分をフードで隠していたが、目元はどこか憔悴していた。
「……俺を、ひなのという薬師に会わせてくれないか」
悠翔が警戒をにじませながら門先に立ち塞がる。
「何の用だ?」
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「これは“影の起源”に関する記録だ。かつての女神の加護を受けていたこの地に、何があったのか……その真実がここにある」
その言葉に、ひなのが姿を現す。「見せてください」
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> 『しかし制御できぬ力は“影”となり、この地を蝕んだ』
「……影は、もともと女神の力の残滓だったんだ」
旅人は静かに頷いた。「そして、その中心にいたのが“ソエル”という名のかつての調合師だった」
「……調合師?」
ひなのの声が震える。自分と同じ、癒しをもたらす職を持ちながら、力に呑まれた者の存在。
「彼は、“調和”という名の万能薬を求め、禁忌を越えた。だが失敗し、影に取り込まれたまま眠っている」
「……どこに?」
旅人は谷の奥、封印の山道を指さした。
「封印の根源は、その山の中。そこに“記憶の地”がある。おそらく、あの男も、まだ……」
静かな緊張が三人の間を包んだ。
リンネが口を開く。「じゃあ、その“ソエル”をどうにかしない限り、影の根はまた蘇るってこと?」
「そういうことだ。彼の意志は影に取り込まれ、形を持たないまま……この地に残り続けている」
悠翔が力強く言った。「だったら、俺たちで止める。今度こそ、影の循環を断ち切るんだ」
ひなのも頷く。「私は、癒し手として“影に取り込まれた誰か”を見捨てたくない。……調和を信じたい」
旅人は静かに背を向けた。「……君たちに任せるよ。影に囚われなかった癒し手たちに」
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その夜、三人は祭壇の地下で得た“封印の鍵”と、旅人から受け取った文書を見比べていた。
そこには、記憶の地への古代語の道標と、鍵の封印の仕組みが記されていた。
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