内定ゼロ、でも異世界でスカウトされました!」

チャチャ

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第三話:門が開いた、そのとき

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これが……ギルドの初依頼かぁ」

ギルドで紹介されたのは、森に現れた“魔獣”の調査依頼。小型の獣魔らしいけど、初めての実戦にはちょうどいいとのことだった。

「まあ、獣相手なら得意だよ。あたし、木の上から弓とかも使えるし」

サラは得意げに言いながら、軽やかに跳ねるように歩いていく。

私はというと、ローブに革のポーチという見た目だけの“なんちゃって冒険者”。でも、ギルドから渡された魔力感知の道具を片手に、必死に周囲を観察していた。

森の中は静かで、どこか張り詰めた空気が流れている。

――来る。なにか、いる。

「カスミ、下がって!」

声と同時に、サラが私を押し倒した。次の瞬間、茂みから跳び出してきたのは、黒い毛並みに鋭い牙を持つ魔獣――“シャドウウルフ”。

「1匹だけ……じゃない!」

木の影から、さらに2匹。あっという間に囲まれる。

「くっ……!」

サラは弓を構えて応戦するが、敵の動きは素早い。矢をかわしながら、1匹が私の方へ突進してくる。

「いや……来ないでっ!」

逃げようとした瞬間、私の頭の中に、なにかが“流れ込んで”きた。

――空間を、認識せよ。
――座標を、指定せよ。
――通過地点を、開放せよ。

気がつくと、私の足元に淡い光の輪が広がっていた。

「これって……“門”?!」

魔獣が飛びかかったその瞬間、足元の空間がゆがみ、黒い身体がそのまま吸い込まれて消えた。

「消えた……?!」

「カスミ、それ……すごい!」

残りの2匹は驚いたように後ずさり、サラの弓がその隙を逃さず射抜いた。

戦闘が終わり、私は膝から崩れ落ちた。

「これが、“門の力”? まるで自動で……」

「未覚醒って言ってたけど、部分的に発動してるじゃん」

恐怖と安堵と、ほんの少しの興奮。初めて“この世界でできたこと”が、たしかに私を支えてくれていた。

「カスミ、もしかしたら地球に帰れるかもよ? いまの、座標指定みたいだったし!」

「……え?」

私はその場に座り込み、魔法陣の残響に集中する。そして、心の中で願った。

――地球へ、帰りたい。

次の瞬間、視界がぐにゃりとゆがみ、光に包まれる。

そして――



「……え?」

見慣れた部屋。インスタントスープの匂い。壊れかけの電子レンジ。

地球だった。私は、帰ってきた。

ポーチの中には、異世界で拾った銀貨がそのまま入っている。

間違いない。私の“門”は、開いたのだ。

だけど、喜びよりも先に、ある想いが浮かんだ。

――サラ、置いてきちゃった……!

急いで力を集中する。だが、うまく転移が起きない。

「もう一度……早く、戻らなきゃ!」

こうして私は、初めて“門を開いた少女”として、異世界と地球を行き来する力に目覚めた。そしてこの時から、本当の意味での「選択の物語」が始まっていく。


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新キャラクター紹介

◆レン=シュヴァルツ(Ren Schwarz)

年齢:24歳

職業:放浪剣士(元王国騎士)

性格:真面目で実直、だが融通が利かない堅物。内面に熱さを秘めている。

過去:かつて王国の騎士だったが、ある陰謀に巻き込まれ、無実の罪で追放される。現在は旅をしながら真実を追っている。

スキル:【風刃】(かざば)=空気を斬撃として飛ばす剣技、【守護の構え】=味方への攻撃をかばうことで威力を半減

役割:カスミと出会い、異世界での旅に同行する仲間へ。地球的価値観に戸惑いつつも、信頼を築いていく。



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