少女は自重を知らない~私、普通ですよね?

チャチャ

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27 買いたい理由

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「カイルさんに、もしもの話をしてもいいですか?」

「はい、どうぞ。何なりとお尋ねください。」

私は、気になっていたことを思い切って口にした。

「どうして獣人の彼だけを買うことができないんですか?」

「……ああ、それは隷属の首輪の仕様が関係しているのです。あの首輪は、最初に魔力を流し込んだ者にしか外すことができないんですよ。」

なるほど。つまり最初にその首輪に魔力を流した誰かが外さない限り、外れないということか。

「じゃあ、トンソクさんに魔力を流してもらえばいいのでは?」

「実は、それも試しました。しかし……反応がなかったのです。どうやら、トンソクではない誰かが首輪に魔力を注いだようなのです。」

「えっ、それって……まさか違法な手段で?」

「はい。本人も誰が魔力を流したのか分からないそうで……。違法なルートで手に入れた首輪らしく、記録が曖昧なのです。」

厄介な話だった。だが、私はこの獣人にどうしても話したいことがあった。

「彼と、二人きりでお話できますか?」

「……話すだけなら問題ありません。すぐにお呼びします。」


---

数分後、獣人の彼が部屋にやってきた。落ち着いた様子だったが、どこか影のある目をしていた。

「ミサト様……何かご用ですか?」

私は一呼吸おいてから、ゆっくりと自分の過去と、なぜ彼を見た時に心が動いたのかを語った。彼は驚いていたが、やがて静かに涙を流しながら私の話を聞いてくれた。

「この隷属の首輪さえ外れれば、あなたを助けられるんだけど……」

「いや、それは無理だ。そんな奇跡みたいなこと……」

「解呪なんて、できる人も限られるし……どうしようかな~」

その時だった。

ガシャンッ

「「えっ?」」

首元から落ちた音が、部屋に響く。足元を見れば、彼の首輪が転がっていた。

「……首輪、外れた?」

「どうして……?こんなことが……」

私は彼と顔を見合わせた。まるで、何か見えない力が働いたかのように。

「これで……買える、のかな?」

「……いや、これから新しい問題が増えそうな気もするが……」

そう言い合っていると、扉の外からノックが聞こえた。

「そろそろ、よろしいですか?」

カイルさんが部屋に入ってきた。

「カイルさん。……首輪、なぜか外れました。これで、彼だけを買うこと、できますか?」

「…………えっ!?あ、はい。買えます、ね……?」

返事の歯切れが悪い。だけど、それはきっと、あまりにも突然な出来事だったからだ。

「やったー!良かったですね、フウスケさん!!」

「……ははは、そうだな。ありがとう、ミサト」

私が彼を初めて見た時、尻尾のもふもふが気になった。でも、それ以上に驚いたのは――彼も転生者だったということ。

この世界に自分以外の転生者がいたことに、私は密かに喜びを感じていた。

無事にフウスケを買い、お店を出ようとしたその時。

「どうしてだーー!あの獣が売れるんだーー!俺のおまけの癖にーーー!」

奥からオーク――トンソク・バーターの叫び声が聞こえた。

「黙りなさい!!お前など売れる訳がないでしょ! 多少の売上にはなってもらいます。お前は犯罪奴隷商に売ります!」

「嫌だ嫌だーーー!」

そのやりとりを背にしながら、私たちは静かに、でも確かな足取りでその場を後にした。


---

※補足
・普通の奴隷:借金や社会的失脚で身売りされた者たち。
・犯罪奴隷:殺人や重罪を犯した者たち。
・犯罪奴隷商:重罪人を死ぬまで過酷に働かせる施設。まさに地獄。


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