27 / 48
27 買いたい理由
しおりを挟む
「カイルさんに、もしもの話をしてもいいですか?」
「はい、どうぞ。何なりとお尋ねください。」
私は、気になっていたことを思い切って口にした。
「どうして獣人の彼だけを買うことができないんですか?」
「……ああ、それは隷属の首輪の仕様が関係しているのです。あの首輪は、最初に魔力を流し込んだ者にしか外すことができないんですよ。」
なるほど。つまり最初にその首輪に魔力を流した誰かが外さない限り、外れないということか。
「じゃあ、トンソクさんに魔力を流してもらえばいいのでは?」
「実は、それも試しました。しかし……反応がなかったのです。どうやら、トンソクではない誰かが首輪に魔力を注いだようなのです。」
「えっ、それって……まさか違法な手段で?」
「はい。本人も誰が魔力を流したのか分からないそうで……。違法なルートで手に入れた首輪らしく、記録が曖昧なのです。」
厄介な話だった。だが、私はこの獣人にどうしても話したいことがあった。
「彼と、二人きりでお話できますか?」
「……話すだけなら問題ありません。すぐにお呼びします。」
---
数分後、獣人の彼が部屋にやってきた。落ち着いた様子だったが、どこか影のある目をしていた。
「ミサト様……何かご用ですか?」
私は一呼吸おいてから、ゆっくりと自分の過去と、なぜ彼を見た時に心が動いたのかを語った。彼は驚いていたが、やがて静かに涙を流しながら私の話を聞いてくれた。
「この隷属の首輪さえ外れれば、あなたを助けられるんだけど……」
「いや、それは無理だ。そんな奇跡みたいなこと……」
「解呪なんて、できる人も限られるし……どうしようかな~」
その時だった。
ガシャンッ
「「えっ?」」
首元から落ちた音が、部屋に響く。足元を見れば、彼の首輪が転がっていた。
「……首輪、外れた?」
「どうして……?こんなことが……」
私は彼と顔を見合わせた。まるで、何か見えない力が働いたかのように。
「これで……買える、のかな?」
「……いや、これから新しい問題が増えそうな気もするが……」
そう言い合っていると、扉の外からノックが聞こえた。
「そろそろ、よろしいですか?」
カイルさんが部屋に入ってきた。
「カイルさん。……首輪、なぜか外れました。これで、彼だけを買うこと、できますか?」
「…………えっ!?あ、はい。買えます、ね……?」
返事の歯切れが悪い。だけど、それはきっと、あまりにも突然な出来事だったからだ。
「やったー!良かったですね、フウスケさん!!」
「……ははは、そうだな。ありがとう、ミサト」
私が彼を初めて見た時、尻尾のもふもふが気になった。でも、それ以上に驚いたのは――彼も転生者だったということ。
この世界に自分以外の転生者がいたことに、私は密かに喜びを感じていた。
無事にフウスケを買い、お店を出ようとしたその時。
「どうしてだーー!あの獣が売れるんだーー!俺のおまけの癖にーーー!」
奥からオーク――トンソク・バーターの叫び声が聞こえた。
「黙りなさい!!お前など売れる訳がないでしょ! 多少の売上にはなってもらいます。お前は犯罪奴隷商に売ります!」
「嫌だ嫌だーーー!」
そのやりとりを背にしながら、私たちは静かに、でも確かな足取りでその場を後にした。
---
※補足
・普通の奴隷:借金や社会的失脚で身売りされた者たち。
・犯罪奴隷:殺人や重罪を犯した者たち。
・犯罪奴隷商:重罪人を死ぬまで過酷に働かせる施設。まさに地獄。
---
「はい、どうぞ。何なりとお尋ねください。」
私は、気になっていたことを思い切って口にした。
「どうして獣人の彼だけを買うことができないんですか?」
「……ああ、それは隷属の首輪の仕様が関係しているのです。あの首輪は、最初に魔力を流し込んだ者にしか外すことができないんですよ。」
なるほど。つまり最初にその首輪に魔力を流した誰かが外さない限り、外れないということか。
「じゃあ、トンソクさんに魔力を流してもらえばいいのでは?」
「実は、それも試しました。しかし……反応がなかったのです。どうやら、トンソクではない誰かが首輪に魔力を注いだようなのです。」
「えっ、それって……まさか違法な手段で?」
「はい。本人も誰が魔力を流したのか分からないそうで……。違法なルートで手に入れた首輪らしく、記録が曖昧なのです。」
厄介な話だった。だが、私はこの獣人にどうしても話したいことがあった。
「彼と、二人きりでお話できますか?」
「……話すだけなら問題ありません。すぐにお呼びします。」
---
数分後、獣人の彼が部屋にやってきた。落ち着いた様子だったが、どこか影のある目をしていた。
「ミサト様……何かご用ですか?」
私は一呼吸おいてから、ゆっくりと自分の過去と、なぜ彼を見た時に心が動いたのかを語った。彼は驚いていたが、やがて静かに涙を流しながら私の話を聞いてくれた。
「この隷属の首輪さえ外れれば、あなたを助けられるんだけど……」
「いや、それは無理だ。そんな奇跡みたいなこと……」
「解呪なんて、できる人も限られるし……どうしようかな~」
その時だった。
ガシャンッ
「「えっ?」」
首元から落ちた音が、部屋に響く。足元を見れば、彼の首輪が転がっていた。
「……首輪、外れた?」
「どうして……?こんなことが……」
私は彼と顔を見合わせた。まるで、何か見えない力が働いたかのように。
「これで……買える、のかな?」
「……いや、これから新しい問題が増えそうな気もするが……」
そう言い合っていると、扉の外からノックが聞こえた。
「そろそろ、よろしいですか?」
カイルさんが部屋に入ってきた。
「カイルさん。……首輪、なぜか外れました。これで、彼だけを買うこと、できますか?」
「…………えっ!?あ、はい。買えます、ね……?」
返事の歯切れが悪い。だけど、それはきっと、あまりにも突然な出来事だったからだ。
「やったー!良かったですね、フウスケさん!!」
「……ははは、そうだな。ありがとう、ミサト」
私が彼を初めて見た時、尻尾のもふもふが気になった。でも、それ以上に驚いたのは――彼も転生者だったということ。
この世界に自分以外の転生者がいたことに、私は密かに喜びを感じていた。
無事にフウスケを買い、お店を出ようとしたその時。
「どうしてだーー!あの獣が売れるんだーー!俺のおまけの癖にーーー!」
奥からオーク――トンソク・バーターの叫び声が聞こえた。
「黙りなさい!!お前など売れる訳がないでしょ! 多少の売上にはなってもらいます。お前は犯罪奴隷商に売ります!」
「嫌だ嫌だーーー!」
そのやりとりを背にしながら、私たちは静かに、でも確かな足取りでその場を後にした。
---
※補足
・普通の奴隷:借金や社会的失脚で身売りされた者たち。
・犯罪奴隷:殺人や重罪を犯した者たち。
・犯罪奴隷商:重罪人を死ぬまで過酷に働かせる施設。まさに地獄。
---
112
あなたにおすすめの小説
辺境薬術師のポーションは至高 騎士団を追放されても、魔法薬がすべてを解決する
鶴井こう
ファンタジー
【書籍化しました】
余分にポーションを作らせ、横流しして金を稼いでいた王国騎士団第15番隊は、俺を追放した。
いきなり仕事を首にされ、隊を後にする俺。ひょんなことから、辺境伯の娘の怪我を助けたことから、辺境の村に招待されることに。
一方、モンスターたちのスタンピードを抑え込もうとしていた第15番隊。
しかしポーションの数が圧倒的に足りず、品質が低いポーションで回復もままならず、第15番隊の守備していた拠点から陥落し、王都は徐々にモンスターに侵略されていく。
俺はもふもふを拾ったり農地改革したり辺境の村でのんびりと過ごしていたが、徐々にその腕を買われて頼りにされることに。功績もステータスに表示されてしまい隠せないので、褒賞は甘んじて受けることにしようと思う。
ギルドの小さな看板娘さん~実はモンスターを完全回避できちゃいます。夢はたくさんのもふもふ幻獣と暮らすことです~
うみ
ファンタジー
「魔法のリンゴあります! いかがですか!」
探索者ギルドで満面の笑みを浮かべ、元気よく魔法のリンゴを売る幼い少女チハル。
探索者たちから可愛がられ、魔法のリンゴは毎日完売御礼!
単に彼女が愛らしいから売り切れているわけではなく、魔法のリンゴはなかなかのものなのだ。
そんな彼女には「夜」の仕事もあった。それは、迷宮で迷子になった探索者をこっそり助け出すこと。
小さな彼女には秘密があった。
彼女の奏でる「魔曲」を聞いたモンスターは借りてきた猫のように大人しくなる。
魔曲の力で彼女は安全に探索者を救い出すことができるのだ。
そんな彼女の夢は「魔晶石」を集め、幻獣を喚び一緒に暮らすこと。
たくさんのもふもふ幻獣と暮らすことを夢見て今日もチハルは「魔法のリンゴ」を売りに行く。
実は彼女は人間ではなく――その正体は。
チハルを中心としたほのぼの、柔らかなおはなしをどうぞお楽しみください。
転生したけど平民でした!もふもふ達と楽しく暮らす予定です。
まゆら
ファンタジー
回収が出来ていないフラグがある中、一応完結しているというツッコミどころ満載な初めて書いたファンタジー小説です。
温かい気持ちでお読み頂けたら幸い至極であります。
異世界に転生したのはいいけど悪役令嬢とかヒロインとかになれなかった私。平民でチートもないらしい‥どうやったら楽しく異世界で暮らせますか?
魔力があるかはわかりませんが何故か神様から守護獣が遣わされたようです。
平民なんですがもしかして私って聖女候補?
脳筋美女と愛猫が繰り広げる行きあたりばったりファンタジー!なのか?
常に何処かで大食いバトルが開催中!
登場人物ほぼ甘党!
ファンタジー要素薄め!?かもしれない?
母ミレディアが実は隣国出身の聖女だとわかったので、私も聖女にならないか?とお誘いがくるとか、こないとか‥
◇◇◇◇
現在、ジュビア王国とアーライ神国のお話を見やすくなるよう改稿しております。
しばらくは、桜庵のお話が中心となりますが影の薄いヒロインを忘れないで下さい!
転生もふもふのスピンオフ!
アーライ神国のお話は、国外に追放された聖女は隣国で…
母ミレディアの娘時代のお話は、婚約破棄され国外追放になった姫は最強冒険者になり転生者の嫁になり溺愛される
こちらもよろしくお願いします。
スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜
もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。
ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を!
目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。
スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。
何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。
やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。
「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ!
ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。
ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。
2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/466596284/episode/5320962
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039/episode/2285646
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる