少女は自重を知らない~私、普通ですよね?

チャチャ

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36 茂みから出てきたのは

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《ガサ……ガサガサ……》

 静かな森に、不意の物音。私とフウスケさん、クローバーが一斉に草むらへと視線を向ける。

 ――そして、現れたのは。

「……なにあれ?」

 姿はスライムに似ているけれど、どこか違う。プニプニしてるのに、何となく只者ではない気配を放っていた。私は思わず、鑑定スキルを起動する。


---

【鑑定結果】
種族:スニー(レア種)
レベル:1
スキル:擬態/学習
ユニークスキル:ゴッドハンド
名前:なし


---

「種族、スニー?何それ?」

 つぶやいたその瞬間――

《ガッシャァァァァァン!!》

 後ろから、盛大な物音と共に驚きの声が響いた。

「い、いま……なんて言った!?スニーって……!?」

 声の主はもちろん、フウスケさん。振り返ると、彼は口を大きく開けて固まっていた。……あれ、顎外れてない?

「えっ……そんなに驚くことなんですか?この子、スニーって種族みたいなんですけど……」

 私が答えると、フウスケさんはゆっくりと、恐る恐る言葉を紡いだ。

「スニーってのは……“神の子”って呼ばれてる伝説の神獣だ。存在自体が幻と言われてる、特級のレアモンスター……!」

「えええええぇぇぇぇぇっっ!!!???」

 私の驚きも最高潮! 神獣!幻!神の子!? そ、そんなのって異世界あるあるじゃないですか!?

 まさか……私、ほんとにそんな展開に巻き込まれちゃったの!?

「……お前、今“異世界あるある”とか考えただろ」

「えっ!?な、なんでわかるんですか!? もしかして超能力でも使えるとか……?」

 動揺した私は思わず身を隠そうと両手で顔を覆ったけれど、次の瞬間――

 ゴツン!

「いたっ!」

「バカ。お前の顔に書いてあんだよ、考えてることが」

 フウスケさんは溜息をつきながらも、顔を真っ赤にしてそっぽを向いていた。なんだか、ちょっと照れてる……?

「さ、さすがフウスケさん……私、全然かないませんね! それより、この子どうします?」

 私たちが話している間に、例の“スニー”はというと……クローバーが食べているご飯をじぃ~っと見つめていた。そして、なんと優しいクローバーは、そのご飯を少しわけてあげていた。

「うちのクローバーはなんて優しいのかしら……! 誰よ、“”の魔獣とか言ったの! まったく、失礼しちゃうわよね!」

 私は胸を張ってクローバーをなでなでする。ふわふわでもふもふで、心まで癒される最高のパートナー!

「……」

《※※それを“デビルタイガー”に対して言えるのは、ミサトくらいである※※》

 災害級魔獣・デビルタイガー。その存在は、本来なら街ひとつ壊すほどの脅威……それを「優しい」と言える私、わりと末恐ろしい?

「それより、このスニー、どうするんだ?」

 フウスケさんの問いかけに、私は再びスニーに目を向ける。

「あれ……寝てる?」

 そう、スニーはご飯をもらって満足したのか、クローバーのふわふわな頭の上に乗っかり、すやすやと眠っていた。

「なんかもう……可愛いね、この子」

「お前、なんでもすぐペット扱いすんのな……」

 フウスケさんは呆れ顔で私を見る。でも、まんざらでもなさそう。

「ねぇ、クローバー。この子、仲間にしてもいいかな?」

〈もちろんですぅぅぅぅ! もふもふ仲間、大歓迎ですぅ~!〉

 クローバーがうれしそうに頷いた瞬間――スニーが小さく光りながら、私の手のひらにぴょこんと飛び乗ってきた。

「わっ、かわいい……!」

 こうして、私たちの仲間に“幻の神獣スニー”が加わった。

 でもこの時の私は、まだ知らなかった。この子が後に、とんでもない騒動を巻き起こすことになるなんて――


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