『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ

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3章「精霊の記憶と、禁忌の残響」

第22話 谷を越えて、影を追う

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 谷底から這い上がると、昼の太陽がやけに眩しかった。
 全身にこびりついた土埃を払うが、胸の奥の重さまでは消えない。

「結局、核片は持ち去られたままか……」
 俺の呟きに、セリューナが静かに首を振る。

「でも、完全に利用される前に干渉を断ったわ。あれなら当分は使えないはずよ」

「その“当分”のうちに、取り返せばいい」
 ロゥナが淡々と言う。彼女の琥珀色の瞳には迷いがなかった。

 峡谷を抜ける街道は、切り立った崖沿いに続いている。岩肌に生えた草花が風に揺れ、遠くには小さな村の屋根が見えた。

「まずは情報だな。あの術師、仮面と黒衣以外に手掛かりがない」
「〈記録(アーカイヴ)〉って名は出てたけど、正体は謎だらけね」
 セリューナが眉をひそめる。

 谷を出てしばらく歩くと、道端で荷車を直している行商人がいた。
「やあ、旅の方々。谷で騒ぎがあったと聞いたが……」
 事情を濁して伝えると、行商人は「そういや、黒い外套の連中が東の街へ向かってたな」と言った。

「東……」
 地図を広げる。そこには、交易と情報で賑わう中規模の街、カナンの名があった。

「情報屋も多い街だ。向かう価値はあるな」
 俺は二人に頷きかけた。

 ***

 夕刻、カナンに到着すると、街は商人や旅人でごった返していた。
 路地裏の酒場で、俺たちは目当ての情報屋に会う。

「黒衣の術師? ああ、三日前に見たって奴がいたな」
 情報屋はグラスを回しながら話す。
「ただし、そのあと姿を消してる。どうも地下に潜ったらしい」

「地下?」
「カナンの地下には古い交易路がある。今は廃れてるが、一部は盗賊や密売人が使ってる」

 俺はすぐに察した。核片を運ぶなら、人目のない地下は格好の隠れ場所だ。

「場所を案内してくれ」
「いいが……ただじゃないぜ?」
 情報屋の目が光る。金貨三枚が彼の懐に消えた。

 ***

 地下交易路の入口は、街外れの崩れかけた倉庫だった。
 扉を押し開けると、冷たい空気と古い油の匂いが漂う。

「気をつけて。足音が響くわ」
 セリューナの警告と同時に、奥から複数の気配が迫る。

「……来るぞ」
 闇から現れたのは、粗末な鎧を着た盗賊たちだった。剣や棍棒を構え、にやりと笑う。

「ここは通行料が必要だ」
「悪いが、急いでるんでな」

 短いやり取りのあと、戦闘が始まった。
 俺は一人を足払いで倒し、ロゥナが地面から石柱を突き上げて二人を弾き飛ばす。
 セリューナの氷槍が最後の一人を壁に縫い止めた。

「手際がいいな」
「急ぎの用だから」

 盗賊たちを縛り上げ、さらに奥へと進む。
 通路の先から、あの黒い魔力の匂いが漂ってきていた。

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