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第8章《するめんとスライムの冒険》
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薄明かりの差す森の中で、するめんは足を止めた。
あたりを包む静けさの中、
ぴょこぴょこと跳ねるスライムが
彼女の足元でついてくる。
するめん
「ふーむ。どっちに行こうかなぁ……
ねぇ、スラちゃん、そっちは危なそうかな?」
足元のスライムは、
まるで答えるように一度跳ねた。
もちろん、彼女にはスライムの意思が
理解できるわけではない。
だが、森の中で頼れるものといえば、
今はこの小さな仲間だけだった。
するめん
「そっかー、じゃあ右に行こっか。
なんか、いいものあるかもしれないし!」
軽い調子で進み出す彼女だったが、
心のどこかで不安を感じていた。
異世界に転生してから、
周囲の状況に慣れるのが精一杯で、
仲間たちともまだ合流できていない。
だが、落ち込むのは彼女らしくなかった。
するめん
「大丈夫だよね、スラちゃん。仲間のみんなも、
絶対どこかで頑張ってるはずだもん。」
スライムが再び跳ねて答えたように見えたのが、
少しだけ心を軽くしてくれる。
道中、彼女は木の根元に生えていた
小さなキノコに目を留めた。
何気なく摘み取ると、
スキル「鑑定」を発動させる。
――――――――――――――――――
【鑑定結果】
青苔キノコ
分類: 食材
効果: 食用。体力をわずかに回復するが、
加熱することで効果が向上する。
――――――――――――――――――
するめん
「おお、これ使えそうじゃん!食材ゲット!」
軽くガッツポーズを取りながら、
キノコをポケットに入れた。
その時、不意に茂みが揺れた音が聞こえる。
するめん
「……今の、何の音?」
スライムがするめんの足元で縮こまり、
警戒心を示している。彼女もそれに倣い、
茂みの方をじっと見つめた。
やがて姿を現したのは、
小さなモンスターだった。
鼠に似たフォルムと鋭い牙――
フィールドラットだ。しかも、2匹いる。
するめん
「うわ、フィールドラットかぁ……
結構怖い見た目してるじゃん。」
スライムがするめんの前に出て、
彼女を守ろうとするかのように跳ねた。
その健気な行動に、
するめんは少しだけ勇気をもらう。
するめん
「ありがとう、スラちゃん。
でも、ここは私も頑張らなきゃだよね……!」
ポケットに手を入れ、
何か役立つものがないか探るが、
手元にあるのは先ほど摘んだキノコと
数個の丸石だけだった。
するめん
「うーん、これはマズいかも。
でも、試してみる価値はあるかな。」
丸石を手に持ち、モンスターを見据えた。
だが、その時スライムが大きく跳ね、
茂みの中へ向かって突進していった。
するめん
「ちょ、スラちゃん!?
待って待って、危ないって!」
するめんが追いかけようとすると、
スライムが突然大きく膨らみ、
モンスターたちに向かって
放物線を描くように体当たりをした。
フィールドラットは
その勢いに驚いて飛び退き、距離を取る。
するめん
「え、スラちゃん、
そんなことできるの!? すごっ!」
スライムの行動に驚きつつ、
するめんはその間に丸石を構えた。
モンスターたちは少しずつ間合いを詰めてきている。
するめん
「これはマジでピンチだね……どうする?」
スライムはするめんの横に戻り、
再び膨らむ仕草を見せた。
まるで「もう一度やる」と言っているかのようだ。
するめん
「スラちゃん、
ちょっと待ってよ……でも、頼もしいね!」
フィールドラットたちは鋭い牙を見せながら、
するめんとスライムをじわじわと追い詰めていた。
数は2匹。スライムが
健気に身を投げ出しているものの、
するめんは完全に防戦一方だった。
するめん
「これ、マジでヤバいんじゃない……?」
焦る気持ちを抑えつつ、
するめんはもう一度丸石を握り直した。
するめん
「えーと、たしか、頭部を狙うといいとか……?」
彼女はフィールドラットの動きをじっと観察した。
2匹は互いに間合いを詰めながら、
次の動きを見定めている。
するめん
「……いけるかも。」
決意を固めたするめんが丸石を構えたその時、
スライムが再び前に出た。
そして、思い切り膨らむと同時に、
高く飛び上がった。
するめん
「スラちゃん!? 何してるの!?」
スライムは空中から
1匹のフィールドラットに向かって急降下する。
フィールドラットは驚いて飛び退いたものの、
スライムの体当たりを受けて地面に転がった。
するめん
「ナイス!その調子だよ!」
彼女はスライムが作った隙を逃さず、
丸石をもう1匹のフィールドラットに向かって投げた。
だが、狙いはわずかに逸れ、
石はモンスターの横を通り過ぎるだけだった。
するめん
「……あちゃー、やっぱり難しいな。」
スライムが地面で跳ねながらするめんの横に戻る。
その仕草は「次はどうする?」とでも
言っているかのようだった。
するめん
「えっとね、もう一回やろっか。
でも、無理はしないでよ?」
その時、茂みの奥から軽い足音が聞こえた。
するめんはスライムを抱えながら振り返ると、
一人の女性が姿を現した。
緑色のローブをまとい、
腰には小さな短剣を帯びている。
美しい金髪に尖った耳――
彼女は明らかにエルフだった。
エルフの女性
「危ないわよ、あなたたち。」
するめん
「えっ……え、エルフ!? えっと、
助けに来てくれた感じですか?」
エルフの女性は冷静な表情を崩さず、
スルリと短剣を抜いた。
エルフの女性
「まあ、放っておくわけにはいかないからね。」
フィールドラットたちに向き直り、
彼女は的確な動きで短剣を構えた。
その姿には迷いがなかった。
するめん
「すごい……本当に戦えるんだ。」
エルフの女性はあっという間に
一匹のフィールドラットを仕留め、
もう一匹も追い払った。
わずかな時間で戦いは終わり、
森は再び静けさを取り戻した。
エルフの女性
「これで大丈夫よ。あなた、大丈夫?」
するめん
「わぁ、すっごい!ありがとう!助かったよ!」
スライムもするめんの横でピョンと跳ね、
まるで感謝を伝えるような仕草を見せた。
エルフの女性はため息をつきながら短剣を収めた。
エルフの女性
「いいえ。けど、こんな森で一人で何してるの?
それに、そのスライム……どうして飼ってるの?」
するめん
「えっとね、スラちゃんは私の大事な仲間なんだ!
ほら、かわいいでしょ?」
エルフの女性
「……まあ、そうね。とりあえず、
安全な場所まで案内するわ。このままだと
また何かに襲われるかもしれないから。」
するめん
「助かるよー!えっと、名前聞いてもいい?」
エルフの女性は少し間を置いて答えた。
エルフの女性
「リューシャよ。あなたは?」
するめん
「私はするめん!スラちゃんと一緒に冒険中!」
リューシャ
「するめん……変わった名前ね。
まあいいわ、さあ、行きましょう。」
するめんとスライム、
そして新たに出会ったリューシャは、
森を抜ける道を目指して歩き始めた――。
あたりを包む静けさの中、
ぴょこぴょこと跳ねるスライムが
彼女の足元でついてくる。
するめん
「ふーむ。どっちに行こうかなぁ……
ねぇ、スラちゃん、そっちは危なそうかな?」
足元のスライムは、
まるで答えるように一度跳ねた。
もちろん、彼女にはスライムの意思が
理解できるわけではない。
だが、森の中で頼れるものといえば、
今はこの小さな仲間だけだった。
するめん
「そっかー、じゃあ右に行こっか。
なんか、いいものあるかもしれないし!」
軽い調子で進み出す彼女だったが、
心のどこかで不安を感じていた。
異世界に転生してから、
周囲の状況に慣れるのが精一杯で、
仲間たちともまだ合流できていない。
だが、落ち込むのは彼女らしくなかった。
するめん
「大丈夫だよね、スラちゃん。仲間のみんなも、
絶対どこかで頑張ってるはずだもん。」
スライムが再び跳ねて答えたように見えたのが、
少しだけ心を軽くしてくれる。
道中、彼女は木の根元に生えていた
小さなキノコに目を留めた。
何気なく摘み取ると、
スキル「鑑定」を発動させる。
――――――――――――――――――
【鑑定結果】
青苔キノコ
分類: 食材
効果: 食用。体力をわずかに回復するが、
加熱することで効果が向上する。
――――――――――――――――――
するめん
「おお、これ使えそうじゃん!食材ゲット!」
軽くガッツポーズを取りながら、
キノコをポケットに入れた。
その時、不意に茂みが揺れた音が聞こえる。
するめん
「……今の、何の音?」
スライムがするめんの足元で縮こまり、
警戒心を示している。彼女もそれに倣い、
茂みの方をじっと見つめた。
やがて姿を現したのは、
小さなモンスターだった。
鼠に似たフォルムと鋭い牙――
フィールドラットだ。しかも、2匹いる。
するめん
「うわ、フィールドラットかぁ……
結構怖い見た目してるじゃん。」
スライムがするめんの前に出て、
彼女を守ろうとするかのように跳ねた。
その健気な行動に、
するめんは少しだけ勇気をもらう。
するめん
「ありがとう、スラちゃん。
でも、ここは私も頑張らなきゃだよね……!」
ポケットに手を入れ、
何か役立つものがないか探るが、
手元にあるのは先ほど摘んだキノコと
数個の丸石だけだった。
するめん
「うーん、これはマズいかも。
でも、試してみる価値はあるかな。」
丸石を手に持ち、モンスターを見据えた。
だが、その時スライムが大きく跳ね、
茂みの中へ向かって突進していった。
するめん
「ちょ、スラちゃん!?
待って待って、危ないって!」
するめんが追いかけようとすると、
スライムが突然大きく膨らみ、
モンスターたちに向かって
放物線を描くように体当たりをした。
フィールドラットは
その勢いに驚いて飛び退き、距離を取る。
するめん
「え、スラちゃん、
そんなことできるの!? すごっ!」
スライムの行動に驚きつつ、
するめんはその間に丸石を構えた。
モンスターたちは少しずつ間合いを詰めてきている。
するめん
「これはマジでピンチだね……どうする?」
スライムはするめんの横に戻り、
再び膨らむ仕草を見せた。
まるで「もう一度やる」と言っているかのようだ。
するめん
「スラちゃん、
ちょっと待ってよ……でも、頼もしいね!」
フィールドラットたちは鋭い牙を見せながら、
するめんとスライムをじわじわと追い詰めていた。
数は2匹。スライムが
健気に身を投げ出しているものの、
するめんは完全に防戦一方だった。
するめん
「これ、マジでヤバいんじゃない……?」
焦る気持ちを抑えつつ、
するめんはもう一度丸石を握り直した。
するめん
「えーと、たしか、頭部を狙うといいとか……?」
彼女はフィールドラットの動きをじっと観察した。
2匹は互いに間合いを詰めながら、
次の動きを見定めている。
するめん
「……いけるかも。」
決意を固めたするめんが丸石を構えたその時、
スライムが再び前に出た。
そして、思い切り膨らむと同時に、
高く飛び上がった。
するめん
「スラちゃん!? 何してるの!?」
スライムは空中から
1匹のフィールドラットに向かって急降下する。
フィールドラットは驚いて飛び退いたものの、
スライムの体当たりを受けて地面に転がった。
するめん
「ナイス!その調子だよ!」
彼女はスライムが作った隙を逃さず、
丸石をもう1匹のフィールドラットに向かって投げた。
だが、狙いはわずかに逸れ、
石はモンスターの横を通り過ぎるだけだった。
するめん
「……あちゃー、やっぱり難しいな。」
スライムが地面で跳ねながらするめんの横に戻る。
その仕草は「次はどうする?」とでも
言っているかのようだった。
するめん
「えっとね、もう一回やろっか。
でも、無理はしないでよ?」
その時、茂みの奥から軽い足音が聞こえた。
するめんはスライムを抱えながら振り返ると、
一人の女性が姿を現した。
緑色のローブをまとい、
腰には小さな短剣を帯びている。
美しい金髪に尖った耳――
彼女は明らかにエルフだった。
エルフの女性
「危ないわよ、あなたたち。」
するめん
「えっ……え、エルフ!? えっと、
助けに来てくれた感じですか?」
エルフの女性は冷静な表情を崩さず、
スルリと短剣を抜いた。
エルフの女性
「まあ、放っておくわけにはいかないからね。」
フィールドラットたちに向き直り、
彼女は的確な動きで短剣を構えた。
その姿には迷いがなかった。
するめん
「すごい……本当に戦えるんだ。」
エルフの女性はあっという間に
一匹のフィールドラットを仕留め、
もう一匹も追い払った。
わずかな時間で戦いは終わり、
森は再び静けさを取り戻した。
エルフの女性
「これで大丈夫よ。あなた、大丈夫?」
するめん
「わぁ、すっごい!ありがとう!助かったよ!」
スライムもするめんの横でピョンと跳ね、
まるで感謝を伝えるような仕草を見せた。
エルフの女性はため息をつきながら短剣を収めた。
エルフの女性
「いいえ。けど、こんな森で一人で何してるの?
それに、そのスライム……どうして飼ってるの?」
するめん
「えっとね、スラちゃんは私の大事な仲間なんだ!
ほら、かわいいでしょ?」
エルフの女性
「……まあ、そうね。とりあえず、
安全な場所まで案内するわ。このままだと
また何かに襲われるかもしれないから。」
するめん
「助かるよー!えっと、名前聞いてもいい?」
エルフの女性は少し間を置いて答えた。
エルフの女性
「リューシャよ。あなたは?」
するめん
「私はするめん!スラちゃんと一緒に冒険中!」
リューシャ
「するめん……変わった名前ね。
まあいいわ、さあ、行きましょう。」
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