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第一章 爆速出世街道!蛮族を屠り、陰謀を砕き、巨人の王に認められるまで
第7話 令嬢の恋。四六時中、物理的に密着! 怪力娘を巡る愛の渋滞、ここから本番
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改めて確認したが、館には、レディ・ロザリアの他に生き残りはいなかった。
騎士カミーユは、衛兵と使用人たち、そして盗賊たちの遺体を集め、炎の魔法で荼毘に付した。
表で待っていた従者フローラにレディ・ロザリアを紹介すると、フローラは大慌てで馬から降り、平伏した。
「これからよろしくお願いしますね。フローラ」
ロザリアは微笑むと、フローラに立つように促した。
「従者フローラ。馬屋に行き、馬車と馬を連れてきなさい。私たちの馬は私が面倒を見ます」
「はい。かしこまりました。騎士カミーユ」
フローラは緊張した様子で、館の裏へと歩いて行った。
しばらくすると、立派な二頭立ての馬車が現れた。馬車には侯爵家の紋章が描かれている。御者台にはフローラが座っていた。
「レディ。どうか御身を馬車へ。私は並走し、周囲を警戒いたします」
カミーユに促され、ロザリアは馬車に乗り込む。
「フローラ。馬車で街道へ出て、王都へ向かいなさい」
カミーユは愛馬にまたがり、フローラの馬と、縄に繋いだ盗賊を連れ、常足で王都へ向けて出立した。
今からなら、陽の高いうちに王都に辿り着けるだろう。
凄惨な事件の後であったが、早春の爽やかな風が吹き抜けていった。
街道に戻ったカミーユは、馬車に気を配りながら道を行く。
王都に近づくにつれ、人通りが増え、罪人を連れたカミーユが立派な貴族の馬車を伴っている様子は、衆目を集めた。
人々は、騎士カミーユの凛々しく、堂々とした姿を見て、何か捕物があったのだろう、と想像し、安心した様子で隣を歩いてゆく。
カミーユは自身に手を振る子供に応えて手を振り返す。街道には王都の賑やかさが漏れてきていた。
そんな折、カミーユに対して呼ばわる声が聞こえる。
「そこの馬上の者。連れている者は何者か。また、何故侯爵家の馬車を先導する。中にどなたが乗っているのか」
衛兵の声である。二人組の衛兵が、カミーユを呼び止めたのだ。
「私はナイト・カミーユ・オヴ・クリン。ハイアン侯の御息女、レディ・ロザリアを先導しています。そして繋がれたこの者はレディ・ロザリアに狼藉をはたらいた者です。王都のハイアン侯の邸宅まで参ろうと思います」
衛兵は、カミーユの堂々とした振る舞いに理解を示した。そして、衛兵たちは館までの同行を申し出る。
カミーユはそれを受け入れ、人数の増えた一行は、市門をくぐり、王都へ入った。
市門を入ってすぐは、人の雑多な商区であり、馬車の通路も狭まる。
カミーユが王都に来るのは二回目のことだ。以前は幼く、訳も分からず、周囲を見渡す余裕もなかった。
しかし、今では分かる。
この王都モスカウは、今まさに繁栄を享受しており、その豊かさは北の寒村とは比べ物にならないものであると。
狭い街路に人が溢れ、馬も馬車も簡単には通れない。
幸い、衛兵たちが道を開けてくれて、馬車は安全に市街地を通り抜けることができた。
カミーユたち一行は、市街地を抜け、緩い上り坂を登ってゆく。左右の建物からは喧騒が薄まり、建物の大きさは段々と大きくなっていった。
王都は広く、時は夕刻になってきていた。
丘の上、王宮まであと僅かというところで、衛兵が足を止める。
「ハイアン侯のお屋敷だ。ここで良いな」
カミーユは勤勉な兵たちを見下ろす。
「はい。案内、本当にありがとうございました」
カミーユは、馬を降り、屋敷の門に正対する。
即座に門が開き、中から家来が姿を見せた。
「突然の来訪、申し訳ありません。ナイト・カミーユ・オヴ・クリンと申します。ご令嬢であるレディ・ロザリアが危難に遭われていたので、お助けし、お連れいたしました」
使用人は値踏みするようにカミーユを見やる。
「確かに我が家の家紋の入った馬車ですな。ロザリア様は中にいらっしゃるか」
「はい。中にいらっしゃいます」
カミーユがうなずくと、屋敷から出てきた侯爵家の私兵たちが、馬車の扉を開け、ロザリアを担ぎ出した。
その乱暴な様子に、カミーユの目は険しくなる。
「カミーユ卿。どうか一緒に」
ロザリアはカミーユに手を伸ばす。
カミーユは、ロザリアの手を力強く握る。
「私、騎士カミーユは、ロザリア様の剣となり盾となると、ロザリア様に誓いました。失礼ながら、お屋敷に入らせていただきます」
カミーユはそういうと、館の私兵からロザリアを奪い取り、横抱きに抱き上げた。
侯爵の私兵たちは、カミーユの行いに驚き激昂するが、カミーユが一瞥すると、皆大人しくなった。
「それと、そこの者はレディ・ロザリアのいらっしゃる館を襲撃した主犯です。お屋敷でお取り調べが必要かと思い、連れて参りました。どうぞ、ご自由になさってください」
カミーユは、盗賊のリーダーを侯爵家の私兵に引き渡した。
「レディ・ロザリア、私の従者であるフローラも連れて行ってもよろしいでしょうか」
カミーユは顔を寄せ、貴婦人に向かって話しかけた。
「ええ、構いません。カミーユ卿。部屋を用意させます」
ロザリアは、カミーユに抱き上げられ、顔を赤らめていた。
「ありがとうございます。あと、馬屋も貸していただけますか。私の愛馬たちも休ませたいのです」
ロザリアは頷くと、使用人に馬屋までの案内を命じた。
「フローラ、あなたは馬をお願いします。この子達にも休養が必要です」
カミーユは、愛馬たちを見て従者に告げた。
「わかりました。カミーユ様。レディ・ロザリアを、よろしく、お願いします」
フローラは後ろ髪を引かれながら、馬屋へ向かった。
「レディ。お部屋までの道を教えて下さい」
カミーユは優しく囁く。
「はい。こちらです。よろしくお願いします。カミーユ卿」
ロザリアはカミーユに抱かれたまま、指を指す。
使用人たちは、カミーユとロザリアを遠巻きにして立ちすくんでいる。
二人の親しい様子に、声をかける機会を失っているのだ。
カミーユとロザリアは、ロザリアの部屋の前にたどり着く。
カミーユは片手でロザリアを抱いたまま、もう一方の手でノブを回す。
ロザリアは、カミーユが自身を片手で軽く抱く様子に驚き、更に深くカミーユに抱きついた。
「レディ・ロザリア。お部屋に到着いたしました」
ロザリアは、館がもっと広ければよかったのにと思う。
カミーユは部屋の中に入る。
見渡すと、豪華なベッドと書き物用のデスク、一人がけのソファとテーブルがあるシンプルな部屋だった。奥の扉は侍女の詰める部屋であろうか。
「レディ。お部屋につきました。ソファでよろしいですか」
「嫌。このままで、あなたが座って」
ロザリアは、部屋に戻って緊張が解けたのか、くだけた口調になる。
カミーユは微笑み、ロザリアを抱いたままソファに座る。
「これでよろしいでしょうか。レディ」
ロザリアはカミーユの首に抱きつく。
「ロザリアと呼んで、カミーユ」
「わかりました。ロザリア様」
カミーユも改めて、しっかりとロザリアを抱きしめる。
「カミーユ。私が襲われたということは、この館には裏切り者がいるわ」
ロザリアは首筋に抱きついたまま、小声でささやく。
「そのようなお話。私にされてもよろしいのでしょうか」
ロザリアはカミーユの瞳を見つめる。近くによると、彼女の長い睫毛に気がついた。
「あなたの人柄は、見ていればわかるわ。私を守ってくれるのでしょう」
ロザリアは悪戯な視線でカミーユを見つめる。
「はい。お守りいたします。ロザリア様」
カミーユはロザリアが落ち着くまで抱きしめ続けた。
「ロザリア様。お命を狙われるほどのこと、お心あたりはございますか」
ロザリアは首を振る。
「私にはお兄様もお姉様も大勢いるし、跡目争いに関係しているとは思えないわ。けれども、お母様は末娘の私を気に入ってくださっているから、お母様に対する私怨や脅しかもしれないわね」
カミーユは尋ねた。
「ハイアン侯爵は、今は何処に」
「お母様は今は領地にいらっしゃるわ。ただ、騎士に対する褒賞の式典のため、まもなく王都にいらっしゃると聞いているわ」
カミーユは、褒賞と聞き、もしや自らの褒賞の話であろうかと思う。
「ロザリア様。私は王宮へゆかねばなりません。私は王宮にて褒賞を賜るために、王都へ参ったのです」
「まあ、それでしたら、褒賞のお話は、カミーユ卿の事かもしれませんね。何か武勲を挙げられたのですか」
カミーユは、思索する。
「そうですね。私の領地は北方の辺境にございます。長年、蛮族と争っておりました。その蛮族の反乱を鎮圧したことが、賞されたのかもしれません」
「そうでしたのね。カミーユ卿はとってもお強いのね」
カミーユは遠慮がちに微笑む。
「辺境の蛮族や魔物を倒したことがある程度で、王都の騎士様たちとは比ぶべくもありません」
カミーユは、正直に答えた。実際、辺境で戦った経験があるだけで、戦に招集されたことは未だにないのだ。客観的な自らの強さなど、わかるはずがなかった。
「そうなのね。でも、私はカミーユ卿、あなたが気に入りました。お母様がいらっしゃるまで、この屋敷にいてくれますか」
カミーユは微笑んで、この少女のわがままな願いに答える。
「王宮までのご使者をたてていただけますか。私の到着と、居場所を王宮へ知らせねばなりません。そして、王宮へ招聘されるまでは、ここにいて貴女をお守りします」
カミーユの言葉を聞き、ロザリアは喜びを爆発させた。
「そうなのね。じゃあ、それまでずっと一緒よ。眠るときも一緒にいてね。カミーユ」
こうして、カミーユはロザリアの護衛として、侯爵家の館に逗留することとなった。
それは、レディ・ロザリアとの甘い生活の始まりであった。
騎士カミーユは、衛兵と使用人たち、そして盗賊たちの遺体を集め、炎の魔法で荼毘に付した。
表で待っていた従者フローラにレディ・ロザリアを紹介すると、フローラは大慌てで馬から降り、平伏した。
「これからよろしくお願いしますね。フローラ」
ロザリアは微笑むと、フローラに立つように促した。
「従者フローラ。馬屋に行き、馬車と馬を連れてきなさい。私たちの馬は私が面倒を見ます」
「はい。かしこまりました。騎士カミーユ」
フローラは緊張した様子で、館の裏へと歩いて行った。
しばらくすると、立派な二頭立ての馬車が現れた。馬車には侯爵家の紋章が描かれている。御者台にはフローラが座っていた。
「レディ。どうか御身を馬車へ。私は並走し、周囲を警戒いたします」
カミーユに促され、ロザリアは馬車に乗り込む。
「フローラ。馬車で街道へ出て、王都へ向かいなさい」
カミーユは愛馬にまたがり、フローラの馬と、縄に繋いだ盗賊を連れ、常足で王都へ向けて出立した。
今からなら、陽の高いうちに王都に辿り着けるだろう。
凄惨な事件の後であったが、早春の爽やかな風が吹き抜けていった。
街道に戻ったカミーユは、馬車に気を配りながら道を行く。
王都に近づくにつれ、人通りが増え、罪人を連れたカミーユが立派な貴族の馬車を伴っている様子は、衆目を集めた。
人々は、騎士カミーユの凛々しく、堂々とした姿を見て、何か捕物があったのだろう、と想像し、安心した様子で隣を歩いてゆく。
カミーユは自身に手を振る子供に応えて手を振り返す。街道には王都の賑やかさが漏れてきていた。
そんな折、カミーユに対して呼ばわる声が聞こえる。
「そこの馬上の者。連れている者は何者か。また、何故侯爵家の馬車を先導する。中にどなたが乗っているのか」
衛兵の声である。二人組の衛兵が、カミーユを呼び止めたのだ。
「私はナイト・カミーユ・オヴ・クリン。ハイアン侯の御息女、レディ・ロザリアを先導しています。そして繋がれたこの者はレディ・ロザリアに狼藉をはたらいた者です。王都のハイアン侯の邸宅まで参ろうと思います」
衛兵は、カミーユの堂々とした振る舞いに理解を示した。そして、衛兵たちは館までの同行を申し出る。
カミーユはそれを受け入れ、人数の増えた一行は、市門をくぐり、王都へ入った。
市門を入ってすぐは、人の雑多な商区であり、馬車の通路も狭まる。
カミーユが王都に来るのは二回目のことだ。以前は幼く、訳も分からず、周囲を見渡す余裕もなかった。
しかし、今では分かる。
この王都モスカウは、今まさに繁栄を享受しており、その豊かさは北の寒村とは比べ物にならないものであると。
狭い街路に人が溢れ、馬も馬車も簡単には通れない。
幸い、衛兵たちが道を開けてくれて、馬車は安全に市街地を通り抜けることができた。
カミーユたち一行は、市街地を抜け、緩い上り坂を登ってゆく。左右の建物からは喧騒が薄まり、建物の大きさは段々と大きくなっていった。
王都は広く、時は夕刻になってきていた。
丘の上、王宮まであと僅かというところで、衛兵が足を止める。
「ハイアン侯のお屋敷だ。ここで良いな」
カミーユは勤勉な兵たちを見下ろす。
「はい。案内、本当にありがとうございました」
カミーユは、馬を降り、屋敷の門に正対する。
即座に門が開き、中から家来が姿を見せた。
「突然の来訪、申し訳ありません。ナイト・カミーユ・オヴ・クリンと申します。ご令嬢であるレディ・ロザリアが危難に遭われていたので、お助けし、お連れいたしました」
使用人は値踏みするようにカミーユを見やる。
「確かに我が家の家紋の入った馬車ですな。ロザリア様は中にいらっしゃるか」
「はい。中にいらっしゃいます」
カミーユがうなずくと、屋敷から出てきた侯爵家の私兵たちが、馬車の扉を開け、ロザリアを担ぎ出した。
その乱暴な様子に、カミーユの目は険しくなる。
「カミーユ卿。どうか一緒に」
ロザリアはカミーユに手を伸ばす。
カミーユは、ロザリアの手を力強く握る。
「私、騎士カミーユは、ロザリア様の剣となり盾となると、ロザリア様に誓いました。失礼ながら、お屋敷に入らせていただきます」
カミーユはそういうと、館の私兵からロザリアを奪い取り、横抱きに抱き上げた。
侯爵の私兵たちは、カミーユの行いに驚き激昂するが、カミーユが一瞥すると、皆大人しくなった。
「それと、そこの者はレディ・ロザリアのいらっしゃる館を襲撃した主犯です。お屋敷でお取り調べが必要かと思い、連れて参りました。どうぞ、ご自由になさってください」
カミーユは、盗賊のリーダーを侯爵家の私兵に引き渡した。
「レディ・ロザリア、私の従者であるフローラも連れて行ってもよろしいでしょうか」
カミーユは顔を寄せ、貴婦人に向かって話しかけた。
「ええ、構いません。カミーユ卿。部屋を用意させます」
ロザリアは、カミーユに抱き上げられ、顔を赤らめていた。
「ありがとうございます。あと、馬屋も貸していただけますか。私の愛馬たちも休ませたいのです」
ロザリアは頷くと、使用人に馬屋までの案内を命じた。
「フローラ、あなたは馬をお願いします。この子達にも休養が必要です」
カミーユは、愛馬たちを見て従者に告げた。
「わかりました。カミーユ様。レディ・ロザリアを、よろしく、お願いします」
フローラは後ろ髪を引かれながら、馬屋へ向かった。
「レディ。お部屋までの道を教えて下さい」
カミーユは優しく囁く。
「はい。こちらです。よろしくお願いします。カミーユ卿」
ロザリアはカミーユに抱かれたまま、指を指す。
使用人たちは、カミーユとロザリアを遠巻きにして立ちすくんでいる。
二人の親しい様子に、声をかける機会を失っているのだ。
カミーユとロザリアは、ロザリアの部屋の前にたどり着く。
カミーユは片手でロザリアを抱いたまま、もう一方の手でノブを回す。
ロザリアは、カミーユが自身を片手で軽く抱く様子に驚き、更に深くカミーユに抱きついた。
「レディ・ロザリア。お部屋に到着いたしました」
ロザリアは、館がもっと広ければよかったのにと思う。
カミーユは部屋の中に入る。
見渡すと、豪華なベッドと書き物用のデスク、一人がけのソファとテーブルがあるシンプルな部屋だった。奥の扉は侍女の詰める部屋であろうか。
「レディ。お部屋につきました。ソファでよろしいですか」
「嫌。このままで、あなたが座って」
ロザリアは、部屋に戻って緊張が解けたのか、くだけた口調になる。
カミーユは微笑み、ロザリアを抱いたままソファに座る。
「これでよろしいでしょうか。レディ」
ロザリアはカミーユの首に抱きつく。
「ロザリアと呼んで、カミーユ」
「わかりました。ロザリア様」
カミーユも改めて、しっかりとロザリアを抱きしめる。
「カミーユ。私が襲われたということは、この館には裏切り者がいるわ」
ロザリアは首筋に抱きついたまま、小声でささやく。
「そのようなお話。私にされてもよろしいのでしょうか」
ロザリアはカミーユの瞳を見つめる。近くによると、彼女の長い睫毛に気がついた。
「あなたの人柄は、見ていればわかるわ。私を守ってくれるのでしょう」
ロザリアは悪戯な視線でカミーユを見つめる。
「はい。お守りいたします。ロザリア様」
カミーユはロザリアが落ち着くまで抱きしめ続けた。
「ロザリア様。お命を狙われるほどのこと、お心あたりはございますか」
ロザリアは首を振る。
「私にはお兄様もお姉様も大勢いるし、跡目争いに関係しているとは思えないわ。けれども、お母様は末娘の私を気に入ってくださっているから、お母様に対する私怨や脅しかもしれないわね」
カミーユは尋ねた。
「ハイアン侯爵は、今は何処に」
「お母様は今は領地にいらっしゃるわ。ただ、騎士に対する褒賞の式典のため、まもなく王都にいらっしゃると聞いているわ」
カミーユは、褒賞と聞き、もしや自らの褒賞の話であろうかと思う。
「ロザリア様。私は王宮へゆかねばなりません。私は王宮にて褒賞を賜るために、王都へ参ったのです」
「まあ、それでしたら、褒賞のお話は、カミーユ卿の事かもしれませんね。何か武勲を挙げられたのですか」
カミーユは、思索する。
「そうですね。私の領地は北方の辺境にございます。長年、蛮族と争っておりました。その蛮族の反乱を鎮圧したことが、賞されたのかもしれません」
「そうでしたのね。カミーユ卿はとってもお強いのね」
カミーユは遠慮がちに微笑む。
「辺境の蛮族や魔物を倒したことがある程度で、王都の騎士様たちとは比ぶべくもありません」
カミーユは、正直に答えた。実際、辺境で戦った経験があるだけで、戦に招集されたことは未だにないのだ。客観的な自らの強さなど、わかるはずがなかった。
「そうなのね。でも、私はカミーユ卿、あなたが気に入りました。お母様がいらっしゃるまで、この屋敷にいてくれますか」
カミーユは微笑んで、この少女のわがままな願いに答える。
「王宮までのご使者をたてていただけますか。私の到着と、居場所を王宮へ知らせねばなりません。そして、王宮へ招聘されるまでは、ここにいて貴女をお守りします」
カミーユの言葉を聞き、ロザリアは喜びを爆発させた。
「そうなのね。じゃあ、それまでずっと一緒よ。眠るときも一緒にいてね。カミーユ」
こうして、カミーユはロザリアの護衛として、侯爵家の館に逗留することとなった。
それは、レディ・ロザリアとの甘い生活の始まりであった。
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