死が二人を分かたない世界

ASK.R

文字の大きさ
78 / 191
魔界編:第4章 与太話

お触り禁止!

しおりを挟む
 まずはゆっくりスタートした、僕が軽くユキの手のひらにタッチするように拳を合わせると、ユキがそれを受ける。
 次は魔力で強化して合わせる、その次はユキが僕の魔力を相殺するから、すぐに解除された魔力の再装填をする。

 ユキが軽く僕に拳を出すのを受ける、次は魔力強化されたユキの拳の魔力を僕が解除する。

 そんな事を繰り返すうちに、だんだん役割があやふやになって、次第に速くなっていった。力を強化するより速さを高める強化を施すけれど、それはユキによって解除され……次にユキの拳を受けるのに急いで再装填する。

「まって! 速いよ!」
「まだこんなのは速いうちに入らないぞ?」
 かなり集中してないとユキの手が追えないレベルになってきた、しかもさっきからユキの手が僕の胸の中心部を狙ってきてて……!
 さっき"可愛がる"と言われた意味を理解した。

 ヌッと伸びるように僕の胸元に来た手を弾いて、ユキのもう片方の手に相殺させる為の魔力を打ち込んだ……つもりだったんだけど、焦って魔力量を誤った、これじゃ少ない! そう分かっていたのに、僕の手は止められなかった。
 パンッと手が弾かれて一瞬怯んだ隙に、ユキが僕の胸の中心を二回クリクリっと触って……!
「んぅっ!?」
 咄嗟に両腕で隠すように胸をおさえたけど、全然間に合わなかった! 悔しくてキッとユキを睨むと、嬉しそうな顔を返してくる。

「頑張らないと、もっといやらしく触るぞ?」
「まじめにやってよ!」
「真面目にしてるだろ?」
 背後をとられたかと思うと、僕のお尻を撫でていく。ブンッと腕を振ると軽く避けられて、冗談まじりに怖い怖いと言う……思ってもないくせに!

 ユキがノックでもするように手の甲で軽く打ってくる拳を、自分の手のひらの強度を上げて受け止める。ユキはかなり手加減してくれてるらしく、相殺するより確実に防御できるのだけど、そこから攻めに転じるのは難しい。
 綺麗に相殺して衝撃を発生させたところに打ち込む、もしくはユキの相殺を狙ってカウンター……それともここは避けるべきか? そんな判断を一瞬でしなければいけない。

 一瞬ユキの手が止まって、つられて僕も手を止めた。指をクイクイッとしてかかってこいと挑発されて、それに乗るように遠慮なく強化した拳を打ち込む。
 相殺されるか防御されるか……どっちにせよ大きな衝撃が生まれるように、かなり強めに強化した。もしこれがユキに当たってしまえばかなり痛いだろう……けど、今までのやり取りを見ただけでも、ユキがそんなヘマをするはずがなかった。
 思い切り振りかざした拳は相殺されず、受け止められることもせず、手首を掴まれて上に持ち上げられた……!
「隙あり」
「あっ……! やっ!」
 ユキが僕の内股を撫でて、そのままお尻を揉まれた! それもかなりいやらしく!!

「可愛い声、アイツらに聞こえるぞ?」
「もぅ……体を触るのはやめて」
 僕の腕を掴み上げたまま耳元で囁いてくる……言われた内容も恥ずかしくて、一気に顔が火照った。
「やめたら俺が楽しくないだろ? 真里にいやらしい事でもしないとやってられない」
 くそぅ……ユキに何か教えて貰うなら、セクハラは甘んじて受けなければいけないと言うことなのか……!?
 そもそも僕が失敗しなければいい話なんだけど、百戦錬磨のユキ相手に、失敗しないようにするのは至難の技だ。

 ユキの手首を狙って掴み返そうと腕を伸ばすと、拘束されていた僕の手首は解放された。楽しそうに笑って挑発してくるユキに向かって、そのまま連続でスピードを乗せて当てようとするけど、全て軽く受け流される。
 どうやってもユキを捕まえることも、一発入れることも出来る気がしない!
 流れる水のような動きは、いっそ芸術的な美しさを感じるほどのしなやかさだ……何をやってても美人なんて、天はユキに何物を与えているのだろうか。

 本来の目的を見失って、いっそユキの動きの艶やかさに見惚れてしまおうかと思った時……ユキが大振りの構えをした! 隙が見えた気がした、ずっと僕に対して弱めの強化しかしなかったユキが、しっかり手に魔力を乗せて振りかぶったんだ……これは決め手として繰り出されたものだ……これを相殺すれば隙が生まれるはずだと……!

 同量の魔力を貯めて、打ち消すつもりで合わせにいった、触れる瞬間……ユキの魔力がキュッと一気に小さくなった! ハメられた!
 パァンッとかなり強烈な衝撃に、後ろにバランスを崩して倒れそうになる。
「おっと、危ない」
 思わず目をギュッと瞑ったところを、ふわっと両腕に優しく抱き留められた。

 腰を抱き留めた手は、そのまま僕のお尻の割れ目をなぞって、その中心を服の上から擦ってきて……!
「ふあぁぁっ!?」
 ビクビクっと体が反応して、上擦った声が広い空間に響いた……。

 咄嗟に両手を口に当てて塞いだけど、恐る恐る遠くにいる二人を見ると……少し興奮気味な顔をした聖華と、若干呆れ気味のカズヤさんが視界に入った。

 ううぅ……恥ずかしすぎて泣きたい。

「よく響いたな!」
「もう……やめてって言ったのに……」
 口元を隠した手をそのまま上に上げて、熱くてたまらない顔を隠した。

「辱めを受けたくないなら、本気で来い」
 その場で立たされてまたユキが距離を取る……なんで今日はこんなに執拗に意地悪なんだろうか。

「真里が1番速いと思うスピードで連続で打ってこい、全部解除してやるから、怯まず再装填できるな?」
「分かった……」
 それとスパルタだ、こうして直々に相手してくれるのは嬉しいんだけど……。

 恥ずかしさを誤魔化す様に、ユキに向かって全身を強化した状態で突っ込んだ。僕が空いていると思った所に打ち込んでも、もれなくユキの手が受け止めにきて魔力を解除される。
 リズミカルにパンパンッと魔力が相殺解除される音が響いて、だんだんユキも受けるだけじゃなく打ち込んでくるようになる。ユキに釣られてそれを相殺すると、今度は相殺解除の応酬になる……スピードが速くて気が抜けない!

「慣れてくるとこういう打ち合いに発展する事はよくある」
 解除して受けたはずのユキの手が、手のひらを返して僕の胸元をサラッと撫でていく。
「——っ!」
「次に隙が見えたら直に触ろうかな」
「絶対いやだ!」
 今日は本当に意地悪だ! 何なんだ!?
 少し頭にきつつ奥歯を噛み締めて対応してると、感情に精度を乱されて相殺に失敗した、パンッとユキの手に弾かれて、まずいと思った瞬間には床に押し倒されていた。

「それともアイツらに見せ付けたいのか?」
「そんなわけないだろ!」
 押し除けるように腕を払うと、ユキが上から飛び退いた。その言い草が頭にきて、いい加減にしろって感情が表に出てくるように、背中から熱いものが湧き出すのを感じた。

「やれば出来るじゃないか」
 嬉しそうに笑ったユキに、もしかして僕を怒らせようとわざと……? そんな事を思ったら、一瞬気が抜けそうになる。

「そのままだ、維持できなければ次は脱がす」
 また意地悪な顔で煽られて、指先で挑発される。そんな挑発に釣られるように背中の熱いものが増して、僕は俯いて拳を強く握り込んだ。

「ヴゥゥゥ……」
「——っ!?」
 低い唸り声と共にズンッと寒気がするほどの重いプレッシャーに体が竦んだ。体が金縛りにでもあったみたい動かない……!
 完全に制止した体で恐る恐る顔を上げると、ユキの肩から人間の2倍はあるような大きな黒い犬が、身を乗り出すようにして牙を向いていた。

 これはもしかして、ユキを守る"犬神"……?
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

一軍男子と兄弟になりました

しょうがやき
BL
親の再婚で一軍男子と兄弟になった、平凡男子の話。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

処理中です...