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第1章『多角的落恋地点の収束』
第21話 多角的落恋地点の収束 ③ 45901
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バタバタと、三つの足音が慌ただしく駆け込んでくる。
すぐに扉の方へと顔を向けると、見知った女子生徒たちの姿がそこにはあった。
「はい、うっしー回収っと!」
燦々と陽気に有友がそう声を上げ、そして同時に腕を空でぐいっと引く。
すると突然俺の体が自分の意思とは関係なく動き、未琴先輩の手を放してズズズと後退った。
「か、確保しました!」
そうやって退がった俺の背中を、安食ちゃんがその小さな体で抱き留めた。
小柄故にその全身で俺を受け止めていて、顔が背中に埋もれてしまっている。
「尊くん……!」
未琴先輩がすぐさま声を上げて、俺へと手を伸ばす。
珍しくその表情はやや焦って見えた。
「はいはーい、乱暴はんたーい!」
未琴先輩の雰囲気が暗んだその瞬間、姫野先輩がポーンと明るい声を上げた。
その瞬間、未琴先輩の顔も手も彼女の方へとぐいっと引かれるように向けられ、俺もまた何が何んだかわからないまま視線を姫野先輩に引き寄せられた。
怒涛の展開から、一瞬で静寂に移り変わる。
そこでようやく俺は、今ここにボランティア部の三人が集結しているのだということを理解した。
今まで俺にとんでも話を聞かせていた三人だ。
有友、安食ちゃん、そして姫野先輩が屋上へと駆けつけ、そして俺を未琴先輩から引き剥がした。
「やっほー、うっしー。大丈夫?」
何が何だかわかっていない俺に、有友がキラキラと笑顔を浮かべながら声を掛けてきた。
いつものエネルギッシュな有友だ。クラスでキャッキャと絡んでくるのとまるで変わらないテンション。
そのいつも通りがありがたくもあり、同時に疑問を募らせた。
戸惑う俺をよそに、有友を始めボランティア部の三人が俺を囲む。
その様子を、未琴先輩は落ち着いた様子で眺めていた。
「……あなたたち、ここまであからさまに私の邪魔をするんだね」
「するよ。流石に見過ごせないもんね」
聞いたことのない未琴先輩の低い声。
笑みがそのままだから余計に恐ろしいその言葉に答えたのは、さりげなく俺の右腕に自分の腕を絡めた姫野先輩だった。
「こんちには、神楽坂さん。といっても今日ずっと同じクラスにいたけど」
「…………」
ニコニコと話す姫野先輩に、未琴先輩は無言で重い視線を向ける。
一見穏やかに見えなくもないけれど、内面では一触即発だろうことは明らかだった。
「本当はもうしばらく静観しよーって話してたんだけどさ。でもついさっきよーやく、時間が繰り返されてる違和感に気付いてね。だから慌てて突入してきたってわけ!」
有友が陽気にそう続け、俺の左腕に絡み付いた。
未琴先輩の重々しさが一段と増す。
「今まで確証を得られなかった違和感未満のもが一気に形になって、不可解の原因がわかりました。だからこれ以上事態を悪化させないために、こうして乗り込ませてもらいました」
安食ちゃんは俺を後ろから抱き留めたまま、有友との隙間からひょっこりと顔を覗かせてそう言った。
何故だか俺は今、女子三人から猛烈に密着されている。
ますます現状が理解できなかった。
「ホント、私たちもびっくりだったよ。まさか、時間を巻き戻すなんていう大規模な力を、今まで私たちに全く気取られずに繰り返してたなんてね。今でもちょっと信じられないくらい」
その愛らしさを崩さずに、けれど真剣な眼差しで未琴先輩を見据える姫野先輩。
今はどちらかといえば、頼りになるお姉さんモードだ。
まるで大切なものを守ろうとしているかの様に、その腕の力を強める。
「でも、やっと気付けた。それはきっと、うっしーくんがこうなるルートに辿り着いてくれたから。だから私たちもこうして、ギリギリのところであなたの邪魔をすることができたんだよ」
能力者である三人は、本来『感傷的心象の影響力』による影響を敏感に察知することができる、という話だった。
でもそんな彼女たちでも、この数日間がぐるぐると巡らされていることにずっと気付けなかった。
けれど俺すらも気付ける段階まで来たことで、状況を察知してこうして飛び込んできたんだ。
世界が滅びる段階までいっていなくても、世界を狂わす様なことが起きていると。
そしてそれが、今また起きそうになっていたことを。
「……そう。けど、お生憎様。私は今ちょうど尊くんに止められたところなの。あなたたちの出番はないかな」
「そっか、流石うっしー! でも、それはそれで出番はあるんだなー!」
落ち着いたトーンで、しかしピシャリと反応する未琴先輩。
そんな彼女に有友が元気よく首を横に振った。
「今まで何度も繰り返されてたっぽい、時間を戻す能力が使われないのはラッキーだよ。でもアタシたちはそもそも、アンタの世界破壊を止めるのが目的だからさ」
「…………」
「今更お互いしらばっくれてらんないっしょ? いいじゃん、みんなでぶっちゃけよーよ」
ハキハキと言葉を飛ばす有友と、静かにどっしりと構える未琴先輩は、とても対照的だった。
けれどお互いが自分の土俵に立っているからこそ、辛うじて向かい合えている様な気がした。
「私たちは、これだけの力を簡単に振るえるあなたに、これ以上うっしー先輩を好きにさせられないと、そう判断しました。他人の人間関係のことだと、もう静観はできません……!」
「……じゃああなたたちは、私から尊くんを奪おうとしてるって、そういうこと」
「いいえ、違います。流石にそこまではできません。私たちが真っ向からあなたに挑んでも、必ず負けますから」
安食ちゃんは少しぷるぷると震えながらも、しっかりと真っ向から未琴先輩に言い放った。
その嫋やかな威圧感を受けても尚、決して目を背けたりはしていない。
今までは俺に対して、単に未琴先輩に気をつけてとしか言わなかった三人。
けれど彼女が、もう既に大きな力でこの世界に影響を及ぼしていると知って、スタンスが大きく変わったんだ。
でも安食ちゃんが言う通り、未琴先輩に対して完全に敵対したら、三人が敵うとは思えない。
そう感じる圧倒的な存在感を、今の未琴先輩からは感じる。
「そこでアタシたちからの提案があんだよね!」
「提案?」
「そ! 神楽坂 未琴先輩。私たちと勝負をしよーよ」
どんどんと穏やかな不機嫌が膨れ上がる未琴先輩に対し、有友は怯むことなく言う。
完全に蚊帳の外の俺は、みんなのやり取りを見ていることしかできないでいた。
「誰が一番最初にコイツのハートを射止めるかって勝負。女子っぽくてよくない?」
「は?」
有友が放ったとんでもない言葉に、思わず俺が反応してしまった。
何を言っているんだコイツは。何がどうなればそうなるんだ。
呆気に取られている俺をよそに、未琴先輩は案外平然としていた。
「私と恋愛バトルをしようってこと?」
「そうそう! 女子高生らしく平和にねっ。ドンパチな血みどろバトルじゃなくて、ラブラブ恋愛バトル!」
有友の言うことに対し、未琴先輩は僅かに目を細める。
よくわからないとんでもないことを言ってるのに、どうしてそんなに冷静なんだ……!?
誰かツッコまないのかと思っていると、姫野先輩が口を開いた。
「今まで何にも興味を示さなくて、これといってアクションを起こさなかったあなたが、初めて自ら求めたのが彼。あなたがそうそううっしーくんを諦めないことは、今回のことでよくわかった。あなたは、彼を落とすまでは絶対に世界を滅ぼしたりなんかしない」
「……そうかもしれないね。けれど、そんなまどろっこしいことをしなくても、今ここであなたたちを消すことなんて簡単だよ?」
強気な姫野先輩に対し、未琴先輩はそう言って、
「────尊くんから離れなさい────」
そう、静かに威圧的に言い放った。
瞬間、俺に巻き付いていた三人の腕が勢いよく解けて、みんな俺から数歩離れた。
けれどそれは彼女たちの意思の様ではなく、何か強い強制力によって、そうさせられた様に見えた。
未琴先輩の言葉が、そこまでの影響力を持っていたということなんだろうか。
「おっとびっくり。うん、確かにあなたは恐ろしく強くて、私たちを殺すことなんて簡単だよね。でも今のあなたにそれはできないよ」
一瞬の焦りをすぐに落ち着けて、姫野先輩は気圧されることなく続ける。
「私たちというライバルを消し去れば、確かにあなたの恋を邪魔するものはないかもね。でも、それで本当にあなたが彼のハートを射止めたことになるのかな? 消去法で選ばれただけかもしれないよ? あなたはね、正々堂々と私たちと競い合って、普通の女の子みたいにうっしーくんをものにするしか、勝ちを得られないんだよ」
「…………」
とんでもない乱暴な理論だ。けれど、未琴先輩はすぐには言い返さない。
彼女たちが名乗りを上げて参入した時点で、俺がそっちに傾く可能性がゼロじゃなくなる。
その後に不戦勝を得ても、それは本来未琴先輩が得たかったものとは違うかもしれない。
言葉の上の、本当に乱暴なことではあるけれど、一応牽制に足りる理屈にはなってる。
でも、いやだからって……。
「……まさか、こういう形で邪魔をしてくるとは思わなかった」
少しして、未琴先輩は静かにそう口を開いた。
不機嫌そうなオーラは相変わらずだけれど、でも殺気立つような威圧感は、少しだけ抑えられているような気がした。
「いいよ、面白いね。あなたたちの口車に乗ってあげる」
そして未琴先輩は、まさかの肯定を口にした。
すぐに扉の方へと顔を向けると、見知った女子生徒たちの姿がそこにはあった。
「はい、うっしー回収っと!」
燦々と陽気に有友がそう声を上げ、そして同時に腕を空でぐいっと引く。
すると突然俺の体が自分の意思とは関係なく動き、未琴先輩の手を放してズズズと後退った。
「か、確保しました!」
そうやって退がった俺の背中を、安食ちゃんがその小さな体で抱き留めた。
小柄故にその全身で俺を受け止めていて、顔が背中に埋もれてしまっている。
「尊くん……!」
未琴先輩がすぐさま声を上げて、俺へと手を伸ばす。
珍しくその表情はやや焦って見えた。
「はいはーい、乱暴はんたーい!」
未琴先輩の雰囲気が暗んだその瞬間、姫野先輩がポーンと明るい声を上げた。
その瞬間、未琴先輩の顔も手も彼女の方へとぐいっと引かれるように向けられ、俺もまた何が何んだかわからないまま視線を姫野先輩に引き寄せられた。
怒涛の展開から、一瞬で静寂に移り変わる。
そこでようやく俺は、今ここにボランティア部の三人が集結しているのだということを理解した。
今まで俺にとんでも話を聞かせていた三人だ。
有友、安食ちゃん、そして姫野先輩が屋上へと駆けつけ、そして俺を未琴先輩から引き剥がした。
「やっほー、うっしー。大丈夫?」
何が何だかわかっていない俺に、有友がキラキラと笑顔を浮かべながら声を掛けてきた。
いつものエネルギッシュな有友だ。クラスでキャッキャと絡んでくるのとまるで変わらないテンション。
そのいつも通りがありがたくもあり、同時に疑問を募らせた。
戸惑う俺をよそに、有友を始めボランティア部の三人が俺を囲む。
その様子を、未琴先輩は落ち着いた様子で眺めていた。
「……あなたたち、ここまであからさまに私の邪魔をするんだね」
「するよ。流石に見過ごせないもんね」
聞いたことのない未琴先輩の低い声。
笑みがそのままだから余計に恐ろしいその言葉に答えたのは、さりげなく俺の右腕に自分の腕を絡めた姫野先輩だった。
「こんちには、神楽坂さん。といっても今日ずっと同じクラスにいたけど」
「…………」
ニコニコと話す姫野先輩に、未琴先輩は無言で重い視線を向ける。
一見穏やかに見えなくもないけれど、内面では一触即発だろうことは明らかだった。
「本当はもうしばらく静観しよーって話してたんだけどさ。でもついさっきよーやく、時間が繰り返されてる違和感に気付いてね。だから慌てて突入してきたってわけ!」
有友が陽気にそう続け、俺の左腕に絡み付いた。
未琴先輩の重々しさが一段と増す。
「今まで確証を得られなかった違和感未満のもが一気に形になって、不可解の原因がわかりました。だからこれ以上事態を悪化させないために、こうして乗り込ませてもらいました」
安食ちゃんは俺を後ろから抱き留めたまま、有友との隙間からひょっこりと顔を覗かせてそう言った。
何故だか俺は今、女子三人から猛烈に密着されている。
ますます現状が理解できなかった。
「ホント、私たちもびっくりだったよ。まさか、時間を巻き戻すなんていう大規模な力を、今まで私たちに全く気取られずに繰り返してたなんてね。今でもちょっと信じられないくらい」
その愛らしさを崩さずに、けれど真剣な眼差しで未琴先輩を見据える姫野先輩。
今はどちらかといえば、頼りになるお姉さんモードだ。
まるで大切なものを守ろうとしているかの様に、その腕の力を強める。
「でも、やっと気付けた。それはきっと、うっしーくんがこうなるルートに辿り着いてくれたから。だから私たちもこうして、ギリギリのところであなたの邪魔をすることができたんだよ」
能力者である三人は、本来『感傷的心象の影響力』による影響を敏感に察知することができる、という話だった。
でもそんな彼女たちでも、この数日間がぐるぐると巡らされていることにずっと気付けなかった。
けれど俺すらも気付ける段階まで来たことで、状況を察知してこうして飛び込んできたんだ。
世界が滅びる段階までいっていなくても、世界を狂わす様なことが起きていると。
そしてそれが、今また起きそうになっていたことを。
「……そう。けど、お生憎様。私は今ちょうど尊くんに止められたところなの。あなたたちの出番はないかな」
「そっか、流石うっしー! でも、それはそれで出番はあるんだなー!」
落ち着いたトーンで、しかしピシャリと反応する未琴先輩。
そんな彼女に有友が元気よく首を横に振った。
「今まで何度も繰り返されてたっぽい、時間を戻す能力が使われないのはラッキーだよ。でもアタシたちはそもそも、アンタの世界破壊を止めるのが目的だからさ」
「…………」
「今更お互いしらばっくれてらんないっしょ? いいじゃん、みんなでぶっちゃけよーよ」
ハキハキと言葉を飛ばす有友と、静かにどっしりと構える未琴先輩は、とても対照的だった。
けれどお互いが自分の土俵に立っているからこそ、辛うじて向かい合えている様な気がした。
「私たちは、これだけの力を簡単に振るえるあなたに、これ以上うっしー先輩を好きにさせられないと、そう判断しました。他人の人間関係のことだと、もう静観はできません……!」
「……じゃああなたたちは、私から尊くんを奪おうとしてるって、そういうこと」
「いいえ、違います。流石にそこまではできません。私たちが真っ向からあなたに挑んでも、必ず負けますから」
安食ちゃんは少しぷるぷると震えながらも、しっかりと真っ向から未琴先輩に言い放った。
その嫋やかな威圧感を受けても尚、決して目を背けたりはしていない。
今までは俺に対して、単に未琴先輩に気をつけてとしか言わなかった三人。
けれど彼女が、もう既に大きな力でこの世界に影響を及ぼしていると知って、スタンスが大きく変わったんだ。
でも安食ちゃんが言う通り、未琴先輩に対して完全に敵対したら、三人が敵うとは思えない。
そう感じる圧倒的な存在感を、今の未琴先輩からは感じる。
「そこでアタシたちからの提案があんだよね!」
「提案?」
「そ! 神楽坂 未琴先輩。私たちと勝負をしよーよ」
どんどんと穏やかな不機嫌が膨れ上がる未琴先輩に対し、有友は怯むことなく言う。
完全に蚊帳の外の俺は、みんなのやり取りを見ていることしかできないでいた。
「誰が一番最初にコイツのハートを射止めるかって勝負。女子っぽくてよくない?」
「は?」
有友が放ったとんでもない言葉に、思わず俺が反応してしまった。
何を言っているんだコイツは。何がどうなればそうなるんだ。
呆気に取られている俺をよそに、未琴先輩は案外平然としていた。
「私と恋愛バトルをしようってこと?」
「そうそう! 女子高生らしく平和にねっ。ドンパチな血みどろバトルじゃなくて、ラブラブ恋愛バトル!」
有友の言うことに対し、未琴先輩は僅かに目を細める。
よくわからないとんでもないことを言ってるのに、どうしてそんなに冷静なんだ……!?
誰かツッコまないのかと思っていると、姫野先輩が口を開いた。
「今まで何にも興味を示さなくて、これといってアクションを起こさなかったあなたが、初めて自ら求めたのが彼。あなたがそうそううっしーくんを諦めないことは、今回のことでよくわかった。あなたは、彼を落とすまでは絶対に世界を滅ぼしたりなんかしない」
「……そうかもしれないね。けれど、そんなまどろっこしいことをしなくても、今ここであなたたちを消すことなんて簡単だよ?」
強気な姫野先輩に対し、未琴先輩はそう言って、
「────尊くんから離れなさい────」
そう、静かに威圧的に言い放った。
瞬間、俺に巻き付いていた三人の腕が勢いよく解けて、みんな俺から数歩離れた。
けれどそれは彼女たちの意思の様ではなく、何か強い強制力によって、そうさせられた様に見えた。
未琴先輩の言葉が、そこまでの影響力を持っていたということなんだろうか。
「おっとびっくり。うん、確かにあなたは恐ろしく強くて、私たちを殺すことなんて簡単だよね。でも今のあなたにそれはできないよ」
一瞬の焦りをすぐに落ち着けて、姫野先輩は気圧されることなく続ける。
「私たちというライバルを消し去れば、確かにあなたの恋を邪魔するものはないかもね。でも、それで本当にあなたが彼のハートを射止めたことになるのかな? 消去法で選ばれただけかもしれないよ? あなたはね、正々堂々と私たちと競い合って、普通の女の子みたいにうっしーくんをものにするしか、勝ちを得られないんだよ」
「…………」
とんでもない乱暴な理論だ。けれど、未琴先輩はすぐには言い返さない。
彼女たちが名乗りを上げて参入した時点で、俺がそっちに傾く可能性がゼロじゃなくなる。
その後に不戦勝を得ても、それは本来未琴先輩が得たかったものとは違うかもしれない。
言葉の上の、本当に乱暴なことではあるけれど、一応牽制に足りる理屈にはなってる。
でも、いやだからって……。
「……まさか、こういう形で邪魔をしてくるとは思わなかった」
少しして、未琴先輩は静かにそう口を開いた。
不機嫌そうなオーラは相変わらずだけれど、でも殺気立つような威圧感は、少しだけ抑えられているような気がした。
「いいよ、面白いね。あなたたちの口車に乗ってあげる」
そして未琴先輩は、まさかの肯定を口にした。
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