俺の学園ラブコメのヒロインは世界滅亡を目論むラスボスだった〜美少女たちによるハーレム異能恋愛バトル〜

セカイ

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第3章『全てを許す慈愛の抱擁』

第3話 水着姿の美少女たち ②

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 駅から歩いてすぐのとこにあるビーチに辿り着くと、女子陣はさっきまでのドタバタなど忘れてキャッキャと歓声を上げた。
 とはいっても流石に未琴先輩は普段通りの静かなものだったけれど、気持ち清々しそうにしているように見えた。

 早く来た甲斐もあってか、夏休みど真ん中でもまだ人の数は少なくて、砂浜での場所取りはそう苦労しなかった。
 安食あじきちゃんが持ってきてくれたデッカいシートを広げ、レンタルしたパラソルをぶっ刺せば、一気に海水浴感満載になって。
 みんなで準備をパパパッとすませると、女子陣はいそいそと着替えへと向かってしまった。

 一応俺たちはボランティア部の合宿として来ていて、メインは明日の清掃活動のはずなんだけど。
 海を目の前にしたみんなは、ただ今を遊ぶことしか考えられないでいるようだった。
 まぁ、でもそれは俺も同じだ。夏の一大イベントである海水浴を楽しまない手はない。
 それになにより、みんなの水着姿が楽しみなのだ。

「────お、お待たせしました」

 荷物番としてしばらく一人でシートで待っていると、安食ちゃんがトテトテとやって来た。
 少し小走りで砂の地面を蹴って、ご機嫌な様子で俺の前に飛び込んでくる。

「お一人で待たせてしまってすみませんでした。みなさんももうすぐ来ると思いますよ」
「いや、それは全然……」

 申し訳なさそうにそう言いながらも、ニコニコと朗らかな笑みを浮かべる安食ちゃん。
 シートに腰を下ろしている俺の視線に合わせるように、ちょこんとしゃがむその仕草が可愛らしい。
 気さくに大丈夫だよと返そうとした俺だけれど、そんな彼女の姿に思わず息を飲んでしまった。

 安食ちゃんが着ているのは、緑色のワンピースタイプの水着だった。
 慎ましく可憐なフォルムで、スカート部分のヒラヒラが愛らしい。
 小柄であどけない彼女ではあるけれど、決して子供っぽさのようなものはなく、つるんと剥き出しの肩周りはちょっぴり色っぽく思える。

 毛量の多いもふもふの髪は今は二つに結っていて、太めのおさげが首周りを開放的にして涼やかだ。
 そんな髪型の変化や水着という薄着もあって、いつもより無防備感があるその装いが、なんだかとてもグッときた。
 ちょっと失礼だとは思うけれど、普段の幼さが今は少し払拭されていて、大人っぽさが感じられてとても可愛いんだ。

「もぅ。そ、そんなジロジロ見られると、恥ずかしいですよぉ」
「────あ、ご、ごめん……! 似合ってたから、つい……」

 例の如くついつい見惚れてしまった俺に、安食ちゃんが身動ぎながら言った。
 膝を抱いてまるまりながら、でも見て欲しくもあるのか姿を隠そうとはしない。

「うっしー先輩にならいいですけどね。先輩に見てもらうために着てるっていうのもありますし。でも、もうちょっと気を使わなきゃダメですよ」
「ごめんごめん、気をつけるよ。圧倒されちゃってさ」
「それは、気に入って頂けたってことでいいですか?」
「う、うん。とっても似合ってて、その、可愛いよ」

 おずおずと窺う視線を向けてくる安食ちゃんに、俺は勇気を出してそう言った。
 俺の為に水着を着たとまで言ってくれているんだから、それくらい言えなきゃダメだと思って。
 事実可愛いのだし、思ったことはちゃんと伝えてあげるのが、その眩い姿を向けてもらえた俺の義務だし。

 けれどまだまだサラリと格好良く口にできるスキルのない俺の言い方は、ちょっとしどろもどろな感じで。
 でも安食ちゃんはパァッと笑顔を咲かせて、ピョンと立ち上がった。

「ありがとうございます! 頑張って可愛いのを選んだ甲斐がありましたぁ~」

 えへへと屈託なく笑う姿に、俺もつられてニコニコと笑みを浮かべてしまう。
 これは断じて、水着姿の可愛い女子を前にデレデレしているわけじゃない。
 愛らしくはしゃぐ安食ちゃんに、俺の心が温まっただけなのだ。

「おっとうっしーくん。デレデレするのはまだ早いんだからねぇ~」
「そうだぞぉ。アタシたちだって水着着てんだかんねー!」

 そうこうしていると、姫野先輩とあさひが連れ立ってやってきた。
 安食ちゃんとは違い二人ともビキニタイプで、けれどその二人もまた装いはかなり違う。

 姫野先輩はトップスの黒い布地がクロスして包んでいるような形で、その破壊力抜群のお胸をぎゅっと扇情的に締め上げている。
 しかもショーツ部分も腰回りにラインが交差した色っぽいデザインで、全体的にセクシー全開だ。
 女性として文句のつけようのない圧倒的なプロポーションを、惜しげもなく晒した視覚的暴力が凄まじい、大変お美しく艶めかしい水着姿だ。

 対してあさひはといえば、トップスは黄色のヒラヒラなレースが包んでいるようなデザインで、しかし姫野先輩までとはいえずとも豊満な胸の谷間をしっかりと見せつけている。
 色っぽさとともにキュートさも含んでいて、エネルギッシュな彼女にちょうどよく似合っている。
 また彼女の健康的な薄褐色の肌が、淡い感じの色合いの生地といいコントラストになっていて、とても眩しい姿が出来上がっている。

「お、お二人とも……流石です……」

 強烈な魅力を放つ姫野先輩とあさひに、安食ちゃんが俺よりも早くそうこぼした。
 そして自分の水着姿を見下ろして、どこか不安そうに眉を寄せた。

 確かに二人は小柄な安食ちゃんと比べると大分発育が良くて、簡単にいうと女子的迫力がある。
 それは決して否定できないんだけれど、でも俺は安食ちゃんが劣っているとは全く思わなかった。
 体型的な差異はあったとしても、水着姿はみんなそれぞれ違った魅力を放っている。

「うん。二人もすっごい似合ってる。正直ドキッとした……。三人とも、みんな可愛いよ。俺にはもったいないくらい」

 自分でもちょっと歯が浮くセリフだと思いながら、俺は正直な言葉を口にした。
 みんなそれぞれめちゃくちゃ可愛くて、色っぽくて、見ているだけで目が焼けてしまいそうだ。
 眼福なんて、そんな簡単な言葉では済ませないくらい、見ているだけで幸せな気分になる。

「でしょでしょ~。でもうっしーくん、それじゃまだまだ足りないよぉ。もっと褒めてくれないと。ほら、いーっぱい見ていいからっ」
「そーだようっしー! うっしーのために着てんだからさ、もっと死ぬほど可愛いって言えー!」

 姫野先輩とあさひはそうキャッキャと騒ぎ立てて、ドタドタと俺ににじり寄ってきた。
 見ているだけでかなり刺激が強い二人に身を寄せられて、自分の顔がカーッと熱くなっていくのがわかった。
 二人はそそくさとシートに飛び込んできて両脇から引っ付いてくるものだから、究極的な薄着によって直に与えられる柔らかさな肌の感覚がものすごく滑らかに感じられて。
 俺は一瞬で理性がオーバーヒートしそうになった。

「ほ、ほら、うっしー先輩も着替えてこないと」

 そんな俺に、安食ちゃんは手を伸ばして立ち上がらせることで助け舟を出してくれた。
 小さな体からは想像できないスムーズな手引きで俺をぐいっと引き上げ、ガシッと受け止めてくれて。
 ヨタヨタと立ち上がった俺を見上げながらニコッと笑う。

「あ、ありがとう。助かったよ」
「いえ、こちらこそありがとうございます」

 そう首を振った安食ちゃんの表情には、もう不安や憂いの色はなかった。
 あの二人に気負う気持ちがなくなったのならよかった。

「じゃあうっしーくん、着替えながら誰の水着姿が一番か考えといてね~」
「────それは当然私だよね、たけるくん」

 俺が逃れたことに口をすぼめながら、けれど自信たっぷりに姫野先輩がそう言った時、鋭くクールな声が飛んできて未琴先輩が颯爽と姿を表した。
 その余裕たっぷりの振る舞いに、俺たちは全員目を引き寄せられる。

 未琴先輩もまたビキニだけれど、姫野先輩やあさひとはまた毛色が違った。
 何が一番目立つって、ヒラヒラと足元までたなびく淡い水色のパレオだ。彼女のすらりと流線的な美脚をそうやって覆うことで、通常よりも色っぽさが跳ね上がっている。
 白いトップスはタンクトップのようなタイプで、胸周りをスッポリと包んでいて、けれど肩や背中はガッツリ空いているから露出度は決して他と劣っていない。

 全体的に未琴先輩のスレンダーな体型を生かした流麗なスタイルにまとめられていて、美しさが天元突破している。
 安食ちゃんが可愛い系で、あさひが健康的なセクシー系、姫野先輩が大人なグラマラス系とすれば、未琴先輩は圧倒的な美麗系だった。
 人魚姫が人間の脚を手に入れていらしたんですか、というくらいの麗しさを放っている。

 俺だけではなくみんながポカンとしているのに満足したのか、未琴先輩は小さく口の端を上げた。
 相変わらずの穏やかかつ凄みのある笑みの中に、静かなご機嫌の色が窺える。
 悠然とした態度で現れた未琴先輩は、そんな余裕を持った振る舞いで俺の目の前までやってくると、腰に手を当てて俺を見つめた。

「でしょ?」

 はい、と思わず即答しそうになってギリギリのところで思いとどまる。
 未琴先輩のあまりにも麗しい水着姿に目を奪われたのは事実だけれど、今ここではっきりと優劣を口にするわけにはいかない。
 未琴先輩でなくとも、誰を一番だと言っても角が立つ。ここは、みんながみんなそれぞれ良いと、その段階に留めておきたいところだ。

 そんな俺の姑息な考えなどお見通しなのか、未琴先輩はその深淵の瞳で俺を突き刺すように眺めてくる。
 熱烈な視線のようで、しかし獲物を捕らえて放さないような迫力を思わせる彼女の瞳。
 少しでも気を抜けばあっという間にとって食われてしまいそうだ。

 俺はそれに呑まれまいと自分に喝を入れて、努めて平然と口を開いた。

「未琴先輩もすごく素敵ですよ。綺麗すぎてびっくりしました。それにみんな、それぞれとっても似合ってて……」
「ちゃんと正直に私の水着が一番いいって言えたら、このパレオをちょっと解いて見せてあげてもいいけど?」
「ッ…………!」

 いい感じにはぐらかそうとしたところで、未琴先輩はヒラヒラとパレオ揺らしてみせて、その白い脚をチラッと見せつけてきた。
 その眩い御御足おみあしに、思いっきり息を飲んでしまった。みんなの視線が痛い。
 いやだって、剥き出しの脚もいいけれど、パレオによって薄っすら隠されているのが色っぽさを倍増させていて、それを更にまたチラッとはだけさせるなんて、そんなの見たくなるに決まってるじゃないか……!

 ただ、今その誘惑に負けてしまったら後が怖い。
 未琴先輩の誘惑を断るのもまたある意味では怖いけれど、この合宿を楽しく過ごすためには、全体の空気を保つのも大切だ。
 俺はブンブンと首を振って煩悩を吹き飛ばし、意を決して答えを言葉にした。

「みんな最高に可愛いので、俺には選べません……!」

 思い切った。俺にしてははっきりと言った。
 だからもういいだろうと、俺はみんなの答えを聞く前に着替えへと走って逃げた。
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