2 / 65
第2話 美少女化したゴーレム、ゴーレム技師に忠誠を誓う&圧倒的パワーとスピードで強力なモンスターを瞬殺する
しおりを挟む
何が起きたのか、僕にもわからない。ゴーレムが意思を持ち、喋るなんてこんなことはこれまで一度もなかった。
まして女の子の姿になるだなんて、考えてもみなかった。
でも今はそんなことはどうでもいい。とりあえず、まずは……
「まず、服を着て欲しい!」
さっきまでの土人形型のゴーレムに服なんて着せていなかった。それが突然女の子の姿になったものだから、当たり前だけど裸の状態な訳で。
すぐに目を逸らしたものだけど、……少しだけ、見えてしまった。
ゴーレムは特にそんなことを気にしていない様子で、僕の渡した服を着た。
改めてゴーレムの姿を見る。
歳は僕と同じくらい。肩まで伸びた青く艶やかな髪。陶器のように白い肌。
胸は豊満で、僕が渡した男物の服がはちきれそうだ。
どれだけじっくりみても、普通の人間(ただしめちゃくちゃかわいい)にしか見えない。
「どうしてゴーレムが自分の意思を持って、女の子の姿になったの?」
「それは、私にもわかりません。私がわかるのは、あなたが私のマスターである事だけです。よろしくお願いします、マスター」
アルカが僕の前で膝をつく。
「よ、よろしく……」
これまで人に命令されることはあっても、人に命令する立場になんてなったことがない。
こういう時、どんな態度を取るのが正解なのだろう。
「そうだ、君の名前は決めてあるんだ。“アルカ”っていう名前なんだけど……どうだろう」
「アルカ、ですね。……気に入りました。このアルカ、いつどんな時でもマスターの命令に従うと誓いましょう」
そう言ってアルカは笑って僕の手を握る。
柔らかい。
本物の女の子の手を握った事なんてないのだが、きっと本物もこれぐらい柔らかいのだろう。ゴーレムだとわかっていても心拍数が上がってしまう。
その時だった。
“ドゴオオオオオォ!!”
窓の外から凄まじい破壊音が聞こえてきた。
「大変だ、街にモンスターが現れたぞ!」
逃げ惑う街の人たちの悲鳴が聞こえる。冒険者を目指すものとして、この事態を見逃すわけにはいかない。街をモンスターの脅威から守るのも、冒険者の仕事の一つだ。
僕はアルカの方を見る。
「もちろん、私はいつでも戦闘可能です」
アルカがうなずいた。
「よし、行こう!」
――――――――――
僕とアルカは、モンスター襲撃の現場である広場に到着する。
そこには、想像以上に強大なモンスターが鎮座していた。
フレアウルフ。炎を纏う、巨大な狼だ。四足歩行だというのに、頭の位置が大人の背丈より高いところにある。
フレアウルフの身体から発せられる熱によって、広場の露店や植え込みが燃えている。
このモンスターに対処するには、精鋭のゴールドランク冒険者を連れてくる必要がある。
対して、アルカの装備は剣一本。僕が勇者パーティーにいた頃に、自分の身を守るために使っていた安物だ。防具に至ってはただの服。フレアウルフを相手にするにはあまりに頼りない装備だ。
――普通なら。
アルカが、僕が設計した通りのスピードとパワーが出せるなら、この貧相な装備でも勝てる。
フレアウルフが息を吸い込み、獄炎の息を吐こうとする。その先には、一般市民。
「頼んだぞ、アルカ!」
「お任せください!」
アルカが走り出す。風より早く駆けつける。そして、剣で横薙ぎの一撃を繰り出す。
「やぁ!」
アルカの一一閃が、炎を切り裂いた。
フレアウルフも予想外の事態に混乱しているらしく、一瞬硬直する。
しかも、アルカのパワーはまだまだ上がる。
「ギアチェンジ、ボディをパワー重視に切り替えます」
ゴーレムの体を作っている土は、魔力の流し方によってパワー重視かスピード重視かに切り替えることができる。
普段はスピード重視だが、ここ一番というところではパワー重視に切り替えることで普段の何倍ものパワーを出すことができるのだ。
「やああああああぁ!!」
アルカが渾身の一撃をフレアウルフに叩き込む。
強靭なフレアウルフの毛皮を、筋肉を、内臓を、骨を、鮮やかに両断した。
フレアウルフだったものが地面に落ちる。
そしてアルカは晴れやかな笑みで、僕にこう言うのだった。
「勝ちましたよ、マスター!」
まして女の子の姿になるだなんて、考えてもみなかった。
でも今はそんなことはどうでもいい。とりあえず、まずは……
「まず、服を着て欲しい!」
さっきまでの土人形型のゴーレムに服なんて着せていなかった。それが突然女の子の姿になったものだから、当たり前だけど裸の状態な訳で。
すぐに目を逸らしたものだけど、……少しだけ、見えてしまった。
ゴーレムは特にそんなことを気にしていない様子で、僕の渡した服を着た。
改めてゴーレムの姿を見る。
歳は僕と同じくらい。肩まで伸びた青く艶やかな髪。陶器のように白い肌。
胸は豊満で、僕が渡した男物の服がはちきれそうだ。
どれだけじっくりみても、普通の人間(ただしめちゃくちゃかわいい)にしか見えない。
「どうしてゴーレムが自分の意思を持って、女の子の姿になったの?」
「それは、私にもわかりません。私がわかるのは、あなたが私のマスターである事だけです。よろしくお願いします、マスター」
アルカが僕の前で膝をつく。
「よ、よろしく……」
これまで人に命令されることはあっても、人に命令する立場になんてなったことがない。
こういう時、どんな態度を取るのが正解なのだろう。
「そうだ、君の名前は決めてあるんだ。“アルカ”っていう名前なんだけど……どうだろう」
「アルカ、ですね。……気に入りました。このアルカ、いつどんな時でもマスターの命令に従うと誓いましょう」
そう言ってアルカは笑って僕の手を握る。
柔らかい。
本物の女の子の手を握った事なんてないのだが、きっと本物もこれぐらい柔らかいのだろう。ゴーレムだとわかっていても心拍数が上がってしまう。
その時だった。
“ドゴオオオオオォ!!”
窓の外から凄まじい破壊音が聞こえてきた。
「大変だ、街にモンスターが現れたぞ!」
逃げ惑う街の人たちの悲鳴が聞こえる。冒険者を目指すものとして、この事態を見逃すわけにはいかない。街をモンスターの脅威から守るのも、冒険者の仕事の一つだ。
僕はアルカの方を見る。
「もちろん、私はいつでも戦闘可能です」
アルカがうなずいた。
「よし、行こう!」
――――――――――
僕とアルカは、モンスター襲撃の現場である広場に到着する。
そこには、想像以上に強大なモンスターが鎮座していた。
フレアウルフ。炎を纏う、巨大な狼だ。四足歩行だというのに、頭の位置が大人の背丈より高いところにある。
フレアウルフの身体から発せられる熱によって、広場の露店や植え込みが燃えている。
このモンスターに対処するには、精鋭のゴールドランク冒険者を連れてくる必要がある。
対して、アルカの装備は剣一本。僕が勇者パーティーにいた頃に、自分の身を守るために使っていた安物だ。防具に至ってはただの服。フレアウルフを相手にするにはあまりに頼りない装備だ。
――普通なら。
アルカが、僕が設計した通りのスピードとパワーが出せるなら、この貧相な装備でも勝てる。
フレアウルフが息を吸い込み、獄炎の息を吐こうとする。その先には、一般市民。
「頼んだぞ、アルカ!」
「お任せください!」
アルカが走り出す。風より早く駆けつける。そして、剣で横薙ぎの一撃を繰り出す。
「やぁ!」
アルカの一一閃が、炎を切り裂いた。
フレアウルフも予想外の事態に混乱しているらしく、一瞬硬直する。
しかも、アルカのパワーはまだまだ上がる。
「ギアチェンジ、ボディをパワー重視に切り替えます」
ゴーレムの体を作っている土は、魔力の流し方によってパワー重視かスピード重視かに切り替えることができる。
普段はスピード重視だが、ここ一番というところではパワー重視に切り替えることで普段の何倍ものパワーを出すことができるのだ。
「やああああああぁ!!」
アルカが渾身の一撃をフレアウルフに叩き込む。
強靭なフレアウルフの毛皮を、筋肉を、内臓を、骨を、鮮やかに両断した。
フレアウルフだったものが地面に落ちる。
そしてアルカは晴れやかな笑みで、僕にこう言うのだった。
「勝ちましたよ、マスター!」
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる