8 / 65
【プチざまぁ回】第8話 ゴーレム技師、「勇者パーティーに戻ってくる気はないか?」と言われるがお断りする
しおりを挟む
アルカを改造した後、僕とアルカは買い物のために出かけた。
少し匂うけどゴミ処理場の近くの道を通る。こっちのほうが商店エリアへの近道なのだ。
あるいてると、ゴミ処理場の方から何やら聞き覚えのある声がする。
「あああああぁ! こんな紙切れに、こんな紙切れに金貨3枚と銀貨4枚も支払わされてしまった……!! 悔しい……! 悔しいっ……!!」
僕は目を疑った。
なんと、勇者ハロン様が、ゴミの山の上で手足をバタつかせているのだ。
近くには、キキとカカの兄弟もいる。
「そもそも私は勇者だぞ……?! 何故勇者である私がこんな無様なゴミ漁りなどせねばならんのだ……! そしてなぜあんな大金をこんな紙切れごときに使わされねばならないのだ……! どうして……! どうして……っ!! 私 が 何 を し た と い う ん だ ! !」
自分のことを勇者と言っていたし、勇者ハロン様で間違いないだろう。
「い、一体何を……!?」
3人はこちらに気付くと、ギクリ、と身体をこわばらせた。
「3人とも、一体何をしているんですか?」
勇者ハロン様が立ち上がり、いつもの凛々しい表情に戻る。が、目は真っ赤だし純白の鎧のあちらこちらにゴミが乗っていて台無しだ。
「ふん、見てわからないのかナットよ。まぁお前程度では分からないだろうな。いいだろう、特別に教えてやろう。私たちはな――ゴミ漁りをしているのだ」
「見たまんまですけれども」
体中ゴミにまみれなのに、勇者ハロン様は何故か得意げだ。
「お前には言っていなかったがな、私達は実はゴミ漁りが大好きなんだ。なぁ、2人とも」
「「お、おう! 勇者様の言うとおり、ゴミ漁りは楽しいぜ!」」
なんだか3人とも、表情がぎこちない。
「というわけで、決して私たちはゴミの中から何かを探しているわけではない。分かったらさっさとどこかへ消えろ、ナット」
「言われなくてもこんな臭いところに長居なんてしたくないですよ」
と言って、僕とアルカはさっさと歩き始める。
3人がゴミ漁りが趣味だなんて、初めて知ったなぁ。
もしかして、僕がパーティーから抜けたときに渡したゴーレムのメンテナンスの説明書が必要になって、ゴミの中を探しいるんじゃないかと思ったけど、そんなことはないらしい。
「ところでナット、『勇者様のパーティーに戻りたいな~』なんて思うことはないか? 今の私は機嫌がいい。どうしてもというなら、特別に、特別に戻ってくることを許してやっても――」
「戻る気はないです! 僕は、自分の力で冒険者になってダンジョン探索するので!」
もうあんなパーティーでダンジョン探索するのはごめんだ。
僕はこれ以上声をかけられないように足早に立ち去る。
少し匂うけどゴミ処理場の近くの道を通る。こっちのほうが商店エリアへの近道なのだ。
あるいてると、ゴミ処理場の方から何やら聞き覚えのある声がする。
「あああああぁ! こんな紙切れに、こんな紙切れに金貨3枚と銀貨4枚も支払わされてしまった……!! 悔しい……! 悔しいっ……!!」
僕は目を疑った。
なんと、勇者ハロン様が、ゴミの山の上で手足をバタつかせているのだ。
近くには、キキとカカの兄弟もいる。
「そもそも私は勇者だぞ……?! 何故勇者である私がこんな無様なゴミ漁りなどせねばならんのだ……! そしてなぜあんな大金をこんな紙切れごときに使わされねばならないのだ……! どうして……! どうして……っ!! 私 が 何 を し た と い う ん だ ! !」
自分のことを勇者と言っていたし、勇者ハロン様で間違いないだろう。
「い、一体何を……!?」
3人はこちらに気付くと、ギクリ、と身体をこわばらせた。
「3人とも、一体何をしているんですか?」
勇者ハロン様が立ち上がり、いつもの凛々しい表情に戻る。が、目は真っ赤だし純白の鎧のあちらこちらにゴミが乗っていて台無しだ。
「ふん、見てわからないのかナットよ。まぁお前程度では分からないだろうな。いいだろう、特別に教えてやろう。私たちはな――ゴミ漁りをしているのだ」
「見たまんまですけれども」
体中ゴミにまみれなのに、勇者ハロン様は何故か得意げだ。
「お前には言っていなかったがな、私達は実はゴミ漁りが大好きなんだ。なぁ、2人とも」
「「お、おう! 勇者様の言うとおり、ゴミ漁りは楽しいぜ!」」
なんだか3人とも、表情がぎこちない。
「というわけで、決して私たちはゴミの中から何かを探しているわけではない。分かったらさっさとどこかへ消えろ、ナット」
「言われなくてもこんな臭いところに長居なんてしたくないですよ」
と言って、僕とアルカはさっさと歩き始める。
3人がゴミ漁りが趣味だなんて、初めて知ったなぁ。
もしかして、僕がパーティーから抜けたときに渡したゴーレムのメンテナンスの説明書が必要になって、ゴミの中を探しいるんじゃないかと思ったけど、そんなことはないらしい。
「ところでナット、『勇者様のパーティーに戻りたいな~』なんて思うことはないか? 今の私は機嫌がいい。どうしてもというなら、特別に、特別に戻ってくることを許してやっても――」
「戻る気はないです! 僕は、自分の力で冒険者になってダンジョン探索するので!」
もうあんなパーティーでダンジョン探索するのはごめんだ。
僕はこれ以上声をかけられないように足早に立ち去る。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる