【2章完結】超古代技術【ゴーレム】を扱える世界唯一の少年、不当に勇者パーティを追放されるが、戦闘も農業も全自動化し、世界最強に成りあがる!!

音速炒飯

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【ざまぁ回】第35話 勇者、ゴーレム技師の邪魔をする&落とし穴にはまって抜けなくなる

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 僕は、用意していた小型インスタントゴーレムを起動する。大きさは僕の腰ほどまでしかない。身体は赤く塗装してある。

 ミニゴーレムに命令して、ブロンズアームグリズリーに突撃させる。

 この赤いミニゴーレムこそが、僕の切り札だ。

 ブロンズアームグリズリーがまた落とし穴から抜け出す。そして、再び僕ら向かって突進を再開する。

 ブロンズアームグリズリーはミニゴーレムなどまるで気に留めない。当然だろう、こんな大きさの人形など、ブロンズアームグリズリーにとってはなんの脅威でもない。普通はそう考える。

 しかしその判断は間違いだ。

「今だ! 行け、ミニゴーレム!」

 ミニゴーレムがブロンズアームグリズリーの頭に飛びつく。

 そして、

”ドッカアアアアァン!!!” 

 盛大に爆発した。

 あらかじめ指示しておいた通り、前衛系のメンバーが爆風の余波から後衛を庇う。僕とアルカのファンだと言っていたパラディンさんもしっかり仲間をかばっている。

 爆炎が晴れると、地面にすり鉢状の穴が開いていた。

 人間が巻き込まれたら間違いなく木っ端みじんだっただろう。

 赤いミニゴーレムは、身体に爆薬をぎっちり詰め込んでおいた。そして、命令すると自分で点火する。

「あれってつまり、爆弾が自分から歩いてくるようなもんだろ? モンスターからしたらたまったもんじゃねぇ……」
「凄いこと考えるぜ、流石ナットさん!」

 ゼロ距離で爆発を喰らったブロンズアームグリズリーは地面に倒れている。

 まだ生きているが、衝撃から立ち直れないらしい。

 頭の甲殻はひび割れて、一部穴が開いている。

「爆弾ミニゴーレムはもう1体いる! これでとどめだ!」

 ミニゴーレムがブロンズアームグリズリーめがけて走っていく。

 これで決着がつく。

 誰もがそう思った時だった。

「待たせたなシルバーランク諸君! 私が来たからにはもう大丈夫だ!」

 自信に満ちた声とともに、勇者ハロンが現れた。

 きっと遅れて冒険者ギルドに来て、緊急クエストの話を聞いて参戦しに来たのだろう。

 勇者ハロンの魔法の火力と剣技は勇者の名に恥じないだけの威力があり、戦力としては申し分ない。

 だがなぜだろう、すごく嫌な予感がする。

「今からこの場の指揮は、勇者である私が執る。文句は言わせん。行くぞ、全員突撃! 私に続けぇ!」

「待って下さい勇者様、そこには落とし穴が――」

「フン、相変わらず愚かだなナット! この私が、そんなものに引っかかると思うか!」

 勇者ハロンが聖剣を抜いてブロンズアームグリズリーに突進する。

 そして、落とし穴を踏んだ。

「おワアアアアアアアアァ!?」

 颯爽と聖剣を構えたポーズのまま、勇者ハロンが穴の底まで落ちていく。

「なんだこれは!? ナット、これは貴様の仕業か?! ひどいではないか!」

「だから落とし穴があるって言ったじゃないですか!」

 全身土まみれになって、勇者ハロンが落とし穴から這い出てくる。

「おのれナット……! こんな罠を使ってまで私に手柄を取られるのを阻止したいというのか……!」

「違います。勇者様が勝手にはまっただけです」

 勇者ハロンが再び剣を構える。

「ナット、君には失望した。もう私1人で決着をつける」

 失望したのはこちらなのですが。

「貴様の落とし穴はもう見切った。土の色が微妙に違うところを飛び越えていけば落とし穴にははまらない!」

 勇者ハロンが目の前の落とし穴を勢いよく飛び越える。

 ――そして、着地した先も落とし穴だった。

「なにいいいいいいいいいいィ!?」

 運の悪いことに、空中で姿勢を崩したのか、上半身から穴に突っ込んでしまった。

 しかも突っ込んだのは掘りかけの小さい落とし穴だったので、上半身だけがぴったりはまる。

 つまり、下半身だけが地面から生えているような姿だ。

「なるほど、二段仕掛けの罠ということだな。ナット、貴様にしては頭を使ったな。だが、勇者である私がこの程度で……!」

「だからその落とし穴はブロンズアームグリズリー用に設置したものですって」

 相変わらず人の話を聞かない人だなぁ。

 多分激怒しているのだろうが、穴から脚だけ出ている格好なので全然すごみがない。

 と、そうこうしているうちにブロンズアームグリズリーが起き上がってきた。

「――まずい、今爆弾ミニゴーレムを爆発させたら、勇者様も巻き込んでしまう!」

「いいんじゃないスか? 話を聞かずに勝手に突っ込んでくるあのアホ勇者が悪いスよ。派手にドカーンといっちゃいましょう!」
「この状況なら、事故ってことにできるぜェ。あのアホ勇者身体は頑丈そうだし、死にはしないだろ」

 例のモンクの女の子とパラディンさんが悪魔のように囁きかけてくるが、そんなことはしない。

 ……正直、ほんの一瞬『それもいいな』と思ってしまったが。

 頭を振って邪念を振り払う。

「アルカ、とどめを頼む!」

「了解です!」

 再びフレアカノンモードに切り替えたアルカが、落とし穴を華麗に避けながらブロンズアームグリズリーに迫る。

 そして、ミニゴーレムの爆発で空いた、ブロンズアームグリズリーの頭の甲殻の穴から火炎魔法を叩き込む!

”ゴオオオオオオオオォ!!”

 業火がブロンズアームグリズリーの本体を黒焦げにする。

 ブロンズアームグリズリーだったものが、地響きをあげて地面に倒れる。

「……やったな、アルカ!」
「はい! やりましたね、マスター!」

「「「やった、勝ったぞおおおおおおぉ!!」」」
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