彼は私の泣き顔が好きだと言う

拓海のり

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12 護衛と侍女

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 その晩、殿下は私を裸にしてじっくりと身体を見る。
「きれいだよ、セラフィ」
 どうしよう。この方が怖い。
「君はさ、こっちの方がいいだろうと思ってね」
 そう言ってロープを取り出して、今度は本格的に私の身体を縛り上げ始める。
でも、とても、ものすごい格好なので受け入れられない。

 抵抗すると殿下は脅して来た。
「ねえセラフィ、あの部屋に行きたいかい?」
「い、いやです」
「じゃあ私のするままにしておいで。君を傷つけたくないんだ。暴れて傷がついたらいけないからね」
 暴れるようなことをするんだろうか。いや、この縛り方は十分暴れたくなる。
「大丈夫。気持ちいい事しかしないから」
 それは主観の相違ではないだろうか。私の手は後ろ手に縛られ、乳首を掠めて走るロープは膝を折って縛られ大股開きにして、股間も走ってひどい格好になってゆくのだけれど。

「その内もっと、上手く出来るようになるからね」
 こんな事が上手くなったら、どうなるというのだ。
「いや……、恥ずかしいです、殿下……」
「きれいだよ」
 殿下と私の感想は相容れない。
「こんな格好で交わるなんて」
「私は綺麗な君がこんな風に縛られて、私に犯されていると思うと興奮するんだ」

 殿下が私の身体を弄る。時々縄を引っ張って、思いもかけない所に当たる。
「んんっっくっ!」
 イヤだと思うのに変な声が出る。
「やあっ!はあん」
「なかなか感じるものなんだね」
 私の秘芽に舌を這わせて嬉しそうに言う。
 この人は何処に行こうとしているのだろう。不安が山のように押し寄せる。

「あなたは私をマリカのようにしたいの?」
「まさか。私は君を愛している」
「愛していたら、こんな事をしないんじゃないの」
「君を愛している。お願いだから私を嫌いにならないでくれ」
「誰でもあなたに服従するでしょうに」
「そんなものはいらないんだ。私は君を好きにしたいんだ」
 よく分からない。私と他の人との間にどれ程の差があるというのだ。

 黙った私を見て、殿下はまた私の股間に顔を埋める。
 冷めようとした熱が戻って来る。
「ん……やっ、いや」
 舐めて啜って指も埋めてきてぐちゃぐちゃにされる。
「ああん……や、そこ、あああん、ダメぇ……」
「こんなに蜜を零して、君はこんな事をされるのが好きなんだ」
 その言葉がさらに私を煽る。
「ああん……や、いやあっ……」
 否定の言葉を口にするけれど弱い。強く拒めない。

 ああ……、殿下の滾ったモノがわたしの中に入って来る、それが愛おしい。
「で、殿下……」
 ぐいぐいと肉襞を突き上げられて、私の身体はとめどなく愛液を溢れさせる。
「名前で呼んで」
 こんな風に動きを封じられて、彼に好きに攻められる。
「オ―リさまぁ……ああ、おーりさまぁ……、ああ」
 体の向きを変えられ、ロープを動かされ、胸を弄られ、太ももの内側を撫でて、敏感な突起を嬲られる。
「セラフィ、愛しているよ」
 殿下は私の身体を嬲りながら耳に囁く。
「ああ、オ―リさまぁ……、わたしも……ああん」
 彼が好き。愛している。でも、こんな風にされるのは嫌というか怖い。でも、私の身体は……、何度も絶頂を迎えて、こんなにドロドロに蕩けてしまう。

 マリカの話を聞いたことも、あの部屋を見たことも、私の心のストッパーとなる筈なのに彼を拒絶できない。拒絶できなくて気持ち良くなってしまって、こんなに蕩けてしまって、私はどうしたらいいんだろう。
 このままじゃきっとあの部屋に行く事になるだろう。マリカの二の舞になるだろう。こんな風になってしまってはいけないという気持ちがあるのに、ぐずぐずになってしまう。

 どこまで行くのか、どうなってしまうのか怖い。
 彼も怖いのだろうか。分からない。
 分からなくていいのか、分かった方がいいのか、分からない──。

   * * *

 新婚旅行が終わって、王宮に戻るとベルタとロザリアがいたのでびっくりした。ベルタは私の護衛として、ロザリアは侍女として私に仕えるという。

 どうもベルタは最初から殿下に依頼されて、私の護衛をしていたらしい。
 途中からロザリアも巻き込んだという。ロザリアのダヴィードに対する怖いという感想が、ベルタが彼女を抜擢する理由らしい。

「ロザリアは勘がいいのですわ」
「そうなの、ロザリアはオルランド殿下が怖くは無いの?」
「なんでですか? とてもお優しそうで、セラフィーナ様もお幸せそうで、お似合いですわ」
 そうなのか。ロザリアの勘を信じたい私がいる。

「わたくしたちも王宮に勤めることが出来て、それが王太子宮だなんて、嬉しいですわ」
「とても幸運だったと両親も喜んでおりますの」
 ベルタとロザリアが口々に言う。

 私もダヴィードとの婚約が壊れた時は、これからどうしようと、どん底に突き落とされたような気持だった。王宮勤務もありかとも思ったけれど、私はのんびりしているから向かないかもしれないし。
「そうなの、よかったわ。二人ともよろしくお願いしますね」
 そう言うと二人そろってにっこり笑って頭を下げた。
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