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12歳《中等部》
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しおりを挟むいつも通りの朝。
アルがいつも通り紅茶を入れてくれるのをベットの上で眺めてる。いい香り。
「アル、朝一に父様と話するから執務室に父様好みのものを準備して。それとちょっとストレス発散がてら魔獣狩りに行く。」
「かしこまりました。仕事はディータ様にお渡し致します。」
「僕の確認だけのやつ多いからそのままでいいよ。帰ってきてからやる。」
「承知致しました。」
サッと渡されたちょうどいい温度の紅茶。匂いもいい。さすがアルフレート。
起きるかなぁ。あんまり眠れてないしパーティの疲れが取れてないけど情けないところテオ様に見られたくないし。
「こういう大規模パーティの次の日は休みになるのが貴族が多い学校のいい所だね。」
「そうですね。」
「まぁ祝日だと思えばこんなものか。ゆっくりしたいなぁ。」
「テオ様は剣術の素振りが終わりお風呂に行かれましたよ。」
「じゃあ次はご飯かぁ。一緒に食べたいから起きようかな。」
「その方がよろしいかと。」
テキパキと僕に暖かい顔を拭く用の布を渡したり、服を準備したり。朝から忙しそう。
「ネヴィルは?」
「獣人が部屋に向かっているのを見かけましたので朝食は一緒になるかと。」
「そう。あの子細いよね。食べさせないといけないね。」
前世の僕に似てるよ。
まぁあそこまで元気なかったけど。
「徐々にですね。食べすぎてしまうと戻してしまいますから。」
たしかに。経験あるけどあれは胃が小さかったからなんだ。体が弱いからだと思ってた。
「難儀だね。」
シャツに手を通してボタンを止める。昔はアルが手伝ってくれてたけどさすがにボタン求められないような大人になりたくない。だから数年前に止めさせた。
ほかの貴族はどうなんだろ。やらせてんのかな。
「どう?」
「最高の着こなしかと。」
よし。じゃあ行こうか。僕のストレス源が集まる昼食の場に。
ストレス源と一緒に唯一の癒しであるテオ様がいるから行けるんだよ。
▽
▽
朝食の場には義母様はおらず他の男勢が勢揃い。みんな顔はいいからむさくるしくはないけど、雰囲気最悪。義母様が部屋で食べる理由も分かるくらいには静まり返ってる。
義母様の場合昨日のパーティーで疲れたって言うのもあると思うよ。あんな重いドレスに高いヒール。よくやるよ。
僕が疲労回復の魔法薬渡しても目の前で叩き割られるからなぁ。理由聞いたら『毒でも入れてるんじゃないの?』って言われた。酷いよ。そんなもの家族に渡さないって。
…はぁ。後でテオ様にでも渡すように頼んどこうか。
「ネヴィル、食が欲しい子が食べすぎると体に悪いと聞いたけど大丈夫?残してもいいからね。」
「兄上。甘やかしすぎです。」
「でも食べられないなら仕方ないよ。好き嫌いは良くないけど胃が受け付けないなら仕方ない。」
「それもそうだな。」
僕も辛さは分かる。美味しくてもその後が怖いよね。それに消化って体力使うからさ、しんどいんだよ。
でも残して捨てるのも問題だよね。食べ残しをスラムに配るわけにもいかないし。
「残飯処理用の犬でも飼う?」
豚でもいいけど。豚ならトンカツって名前にしよ。
育ったらトンカツにして食べるんだ。
「ドーベルマンが良いです。俺が躾ていいですか?」
「まぁいいけど…怪我しないようにね。」
犬?犬かぁ。
豚とか牛なら食料だし死んだら食べられるって思えるからそんな気を使わなくてもいいけど。
いぬか。犬は食糧とは思えないな…。僕に愛玩動物を可愛がれるかな。
それに…犬かぁ。あんまり好きじゃない。というか、テオ様の時間を犬に取られると思ったら腹立たしいんだけど。
「テオとの時間が減るのは嫌だな。」
「兄上も一緒に訓練しますか?」
そんな嬉しそうに言われても。
犬の訓練って何?散歩?
まともに動物とか変わったことないからわかんない。魔獣とか変わったことはあるけどあれは実験とか討伐用だしな。言葉も通じないし…ペットって扱い方が分かんないな。
「死んでもいい魔獣とかの扱いは分かるけどペットか…。難しいな。」
「テオやネヴィルに絶しているようにすればいいのではないか?」
「テオとネヴィルは僕の弟ですよ。言葉も通じますし。愛玩動物と同列にするのは…もっと犬猫の方を甘やかせば良いのでしょうか。」
「使い物にならなくなるだろ。」
「生き物とは難しいものですね。」
「魔花を育てていると聞いたがそれは別か?」
「アレらは枯れてもいいものなので。代用品はいくらでもありますから。弟の代用品などありませんし。」
「自分の代わりもいないことを覚えておけ。」
「僕の代わりはテオがいるので問題ありません。実際母様の代わりは僕と義母様がいましたし。どうにかなるものですよ。」
「息子としてだ。」
頭のどこかがプチンと切れた。
即座に光魔法で治してナプキンを手に取る。脳卒中とかで倒れたら笑えないし。
「…理解できませんね。ポンポンとどこかから産まれてくる息子達に思い入れがあったとは。」
口周りをナプキンで拭いて立ち上がる。ここにいたら父様に手を出しかねない。何が息子としてだ。いけしゃあしゃあと。どれだけテオ様が苦労したと思ってるんだ。父様がいないせいでテオ様は愛されてない子って影で言われてたんだからな。ほんと許せない。テオ様と血が繋がってなかったらどこかに殺して捨ててたよ。
それに僕の両親は前世の両親だけ。
こんなのを正直父とも呼びたくない。
「僕はこれで。執務室でお待ちしております。父様。」
はぁ。イライラする。
僕たちが大切なら何もしないで隠居してくれればいいのに。
種無しになる薬さっさと飲ませなきゃ。
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