推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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12歳《中等部》

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ご飯の場。いつも静まり返ってるだけなのに珍しく義母様が口を開いた。

「私からもなにかあげるわ。なにが欲しいの?」

珍しい。やっぱり腹を痛めて産んだ子は別枠なのかな。
テオ様はなに欲しいんだろ。僕も参考にしたい。


「特にはございません。」

謙虚~。
ほんとかわいい。そこもテオ様の美徳だよね。本当にいい子。でもワガママなテオ様もきっと可愛いよね。僕だけにワガママ言って欲しい。

「行きたいところとかは?旅行もいいんじゃない?僕は南か北に行きたいな。」

「あなたのことは聞いてないわよ。」

相変わらず口悪いし酷いことを言ってくれる。

「兄上が一緒ならどこでもいいですよ。」

え~。そうなの。僕もテオ様いるならなんでもいいよ。
海に行くにも雪と触れ合うにもテオ様の写真取りたい。どうにか作れないかな。この魔獣狩りが終わったら暫くは平和になるから北の錬金術師に作るように命じるのもありかも。


「テオは無欲すぎるよ。なにかないの?義母様もそう言ってるんだし強請ってみたら?」

「…少し考えてみます。」

「そうしようか。テオは朝も早いしゴロゴロするってのもいいかもね。」

テオ様のゴロゴロしてるの見てたいな。
あんまり想像できない。

「兄上もダラダラしてないのに俺がする訳には…。」

え。
僕してるけど…。

アルフレートを少し見たら目を合わせてくれなかった。お前心の中で爆笑してるでしょ。そういうの分かるんだよ。いつも命令するより早く動くくせにこういう時だけ黙るなんて都合がよすぎる。

そもそもゴロゴロしてたら起こしてくるのテオ様だからね。ゴロゴロしてるだけなのに体調の心配されるし。

僕基本ゴロゴロダラダラタイプだよ。
前世はずっとベットの上だったから体を動かすのは嫌いじゃないけどダラダラするのには慣れてるから得意。

「僕もダラダラしてる日はあるよ。あまり気を張ってると疲れるからテオも適度に休もうね。」

アルフレート、いらないこと言うなよ。


「テオ、約束は守るよ。明日のお茶会で契約の話もしようね。」


テオ様可愛いけど真面目な話もしなきゃね。
大変だ。


「なんの約束?」

「西の魔獣討伐にテオを連れていきます。テオは僕が死んだ時点もしくは致命傷をおった時点で転移させます。ですので跡継ぎはテオと言うことで遺書にも残してありますからご心配なさらず。」

テオ様を殺さないための準備は揃ってる。なにかあってもテオ様だけは死なないようにする。これは僕の命にかけてでも守るから。


「アル、今回の大会で僕の魔法薬の効果は実証された。死ぬ前くらいなら治る。転移場所はアルフレートにしてるからすぐに助けること。」

「かしこまりました。」

大量に準備できなかったから僕とテオ。あと転移先に選んでるアルに2本渡してある。


「ダメよ。テオは置いていきなさい。」

「契約書も作ってありますから僕にはどうにもできません。テオに言ってください。僕だって連れていきたくはないんですから。」

契約者同士が許可すれば契約は破棄できる。でもテオ様がきっとしてくれないんだよね。

「アンタならテオに睡眠薬でもなんでも盛れたでしょ。白々しい。」

思いつくことが悪役なんだけど…。
デデ二ーの魔女でもめざしてるの?

さすがに人の飲み物になにか盛るなんてしないよ。テオ様の信用失いたくないし。

「そこまでしてテオの信用を失いたくはなかったので。それに勝つつもりでしたし。」

「テオ、契約を取り消して。」

「嫌です。母上。さっきの望みです。母上、口を出さないでください。」

あーあー。義母様と似た顔でテオ様まで睨み始めた。
こっわい。この2人目元がキツイ美人さんだから怖いのなんのって。気も強いしね。

「テオ。ダメだよ。家族なんだから柔らかくね。」

にっこり笑ってテオ様にふわっとした温風を送る。

テオ様も落ち着いなのかフゥと息を吐いた。ほんといい子。


「母上、俺のことは俺に任せてください。」

「テオは死なす気ないから安心してください。義母様。」


テオ様だけは死なせない。そこだけは安心してもらっていいよ。








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