202 / 232
12歳《中等部》
98
しおりを挟む今僕が持ってる魔獣から作った服や布を広げてシモンが選んでる。儲けになるし好きにしてもらっていいけど…僕の服は引っ張りださなくていいと思う。
なにしたいんだろ。
「クーディ。私このマントが欲しい。同じ性能のもの。」
まぁいいよ。でもそれ、魔法防御のマントだから自分の皮膚に触れたら魔力落ちるけどいいのかな。
「いいけど僕の服荒らさないでよ。ちゃんと試作品の布は渡したでしょ。」
「形は見て見ないと分からないからね。」
また僕のジャケットを引っ張り出した。本当に…。それは特に魔法かけてないよ。
「…はぁ。色は白?」
「うん。お茶会で着るから早くね。」
無茶言うな。
そもそも倉庫の肥やしになってるやつ持ってきたら怒るくせに。はぁ。機能は変わらないんだから古くてもいいと思うけどなぁ。
「時間かかるから無理。」
「作ってるの回してもらっていいよ。もちろん売ってもらうのは新品ね。」
「はぁ。」
「お茶会の日はクーディが白で私が黒のマントを使おう。装飾品も逆。」
「…もう好きにしなよ。」
反論するのも疲れる。そんなに僕の婚約者って見せびらかさなきゃいけないほど命狙われてるのかな。
僕もシモンも今まで婚約者ってことをバラしたことはなかった。シモンは王になる障害になるから。僕はどうせ婚約破棄になるなら面倒な噂は広ませたくなかったから。
本当に何があったんだか。
「兄上…。」
僕のそばで黙って見てたテオ様が僕の心配をするように囁きかけてくれた。
可愛い。もうこれだけで僕は幸せになれる。
「シモン、僕あまり黒の装飾品ないから欲しいのあったら言って。テオ、気分転換に付き合って。」
仕方ない。シモンと出かけ時用の白の宝石でも買いに行こうか。どうせ婚約破棄になるし無駄使いは好まないけど…やらなくてシモンに愚痴愚痴言われるのは面倒くさい。要らなくなれば義母様か売ればいいしそうしようか。
それともルディと手合わせしに皇宮に行こうか。ルディも暇じゃないだろうけど。
「テオは宝石店と皇宮どっちが好き?」
「兄上、宝石店に行きましょう。ルディ様に迷惑をかけてはいけません。」
なんていい子なんだろう。ルディの用事なんて無視すればいいだけなのに…。良い子すぎて心配になる。
「途中で冒険者ギルドとカフェにでもよろうか。」
「はい。兄上。」
可愛いなぁ。
あ。そうだ。
シモンに聞かないといけないことがあったんだった。
「シモン、毒消しと致命傷を一撃防ぐ魔法具どっちがいい?」
アレでも僕の婚約者だからね。なにかプレゼントくらいは送るよ。今は一緒に暮らしてるわけだしね。
「私以外が着けると着けた人が死ぬ魔法具。」
またとんでもないものを…。はぁ。できなくはないけどさぁ。
「無茶言わないで。」
「それが持ってる剣に魔法を付与した鍛冶屋ならできるよ。」
テオ様の剣を指さした。
なんで知ってるの。テオ様の敵が触ったら自動的に刺すように設定してあるのに…。その魔法印を作るのめっちゃ大変だったんだから。
…もしかしてテオ様はシモンのこと味方扱いしてるの?こんな胡散臭いのに?大丈夫?
「…いつ見たの。」
「見せてもらったの。即答だったよ。」
本当にテオ様はいい子なんだから。
「テオ、行くよ。」
「は、はいっ!兄上!」
▽
▽
「テオ、シモンにあまり心を許しちゃダメだよ。いくら友好国の皇子でも敵になることもある。」
あまりテオ様を悪くは言いたくない。そこもテオ様の良いところだもん。なくなったら僕が嫌だ。それならテオ様がテオ様らしくいられなくしたシモンを殺す。
「申し訳ありません。兄上。」
謝らないで。本当に可愛いテオ様。
めんどうなことになった。できなくはない。テオ様に剣に掘るのにどれだけ練習したと思ってるの。余裕だよ。だけどそのまま外に出すのは後々面倒だ。また別の簡単な印を施そうか。
「今後気をつけてね。それにしても…面倒くさいことになっちゃったなぁ。」
面倒だなぁ。僕にもやること沢山あるのに。テオ様のためならなんでもするけどシモンのためとかやる気出ない。
「持ち主と他人の判定は簡単なんだけどね…。バレない毒か。」
「判定の方が難しくは無いですか?」
「んー?いや、簡単だよ。テオの剣に施してる方が難しいし、複雑だよ。」
「そんな凄いものなんですか?」
「今の僕がやれること全部詰め込んだ最高傑作だからね。そりゃあすごいよ。」
なんか剣を外し始めたテオ様。そっと僕に差し出してきた。
いや。返されても困るんだけど。
それにテオ様専用というか…剣そのものに主人をシルヴェスターって設定して印を掘ったからテオ様に使って欲しい。それに剣技使える人用に自己修復とか魔力通すとか機能つけたからテオ様にしか使いこなせないよ。
「来年はなにが欲しい?」
来年は何あげようかなぁ。剣は年単位で作ったやつだから数年はこれ以上のものはあげられない。
「兄上、これは返します。」
「いらないよ。僕には僕に合った剣があるからね。」
テオ様の剣の練習台になったやつが沢山ある。これ以上持っても使わないもん。
397
あなたにおすすめの小説
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?
詩河とんぼ
BL
前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる