異世界召喚鍛冶師

蛇神

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第二章 悪魔と妖精

入口の試練

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「この石に魔力を注ぎ込んでみろ」

 渡された石は…色がなかった。石は透明だがそこだけ歪んで見えるため辛うじて、そこに『ある』ということが分かった。

「えっと、この石はなんなんですか?」
「質問はあとだ。グダグダいわずコレに魔力を注げ」

 心底めんどくさいという顔をされた。昨日私達がギャーギャーうるさくした時、ナルキス国王がものすごく不機嫌になった。ナルキス国王は自分の考えた手順通りに物事が進まないのがとても嫌いなのだと、その時セルニートさんがボソボソと耳打ちして教えてくれた。

 私も面倒ごとは嫌いなので大人しくナルキス国王に従うことにした。
 ナルキス国王からヘンテコな石を受け取り手で包んだ。

「こうですか?」

 先程、魔法を使う時に言われたように魔力の流れというものをイメージして、それが石を持つ手に溢れるよう意識した。

 じんわりと手のひらが暖かくなった。

 そして、私の手が石に吸い込まれるような感覚がした。

「ぐっ…!!」

 そこに手はある…けど、なんというか掃除機をそこに当てられているような、なんとも言えない気持ち悪い気分になる。

「ダメだ!まだちゃんと持て!!」

 震える手を見つめ、私は歯を食いしばった。

 いったいなんなんだ…!この石は!?

 辛い、怖い、気持ち悪い…グシャグシャといろんな感情が自分の中で絡まっていくのがわかる。

 突然肩をポンと叩かれた。

「ハッ…!!」

 さっきまでのグチャグチャした感情が無くなっていた。逆にスッキリしたかんじがする。

「上出来だ」

 ナルキス国王が私の頭をガシッと掴みワシャワシャと撫で回した。

「魔力増量の訓練を受けずに、入口の試練に合格するとは…なかなかの奴だな!!」

 ワシャワシャしながらナルキス国王は嬉しそうに言った。私はわけがわからなかった。

「この石は自分の固有魔法を解放する石なんだ。魔法使いや魔術師を目指す奴らは、まず5年ほどかけて魔力を練り、自分の魔力上限を上げていく。そして、この試練を受け…気を失ったり、石に変化がなかった場合は不合格で1からまたやり直さなきゃいけない…。これに合格すれば、やっと魔法や魔術ついて学べる…、というわけだ。」

 おめでとう!とナルキス国王はやっとワシャワシャを止めて、手を叩いて祝福してくれた。随分とこの試練とやらは合格すると、素晴らしいらしい。

「はぁ…ありがとうございます…?」

 わけも分からず一応感謝を言葉にすると、お前はこの合格の価値が分からんのだな、とヤレヤレとため息をつかれてしまった。

 …なんかムカツク。

 私はほっぺを膨らまして最大限にイラつきを表現した。

「石見てみろよ、この色と同じ本を探して見ろ」

 私は石を見た。先ほどと同じ透明のままかと思いきや…

 美しい、白く輝く石が私の手のひらに包まれていた。

「白!!」

 ほれほれ、早く本を探せ~、とナルキス国王はヒラヒラ手を振った。

 絶対分かってるこの人…

 私はナルキス国王の言う通りにした。目の前に広がるカラフルな本の山から石と同じ『白い』本を探した。

「…!!見つけた!!」

 私は埃のかぶった薄汚れた白い本を手に取った。表紙には何も書いてなかった。

「表紙をめくってみろ」

 ナルキス国王がすかさず指示を出す。

 パラリ…

 

『白き輝く全てを凍らす氷の魔法』



「氷…」

 私はじっとその言葉を見つめ続けた。

「ユキだけに氷なんだな、つまんね」

 この人は本当に人を怒らすのが得意なようだ。私はフーと息を吐いて怒りを鎮めた。

「あの…気になってたんですけど…固有魔法って?なんか氷の魔法って妖精や悪魔に働きかければ使えそうな気が…」

 そっか、お前は固有魔法知らないのか、と少し私達はカルチャーショックを受けた。

「固有魔法は自分が備え持つ『個性』だ。人には向き不向きがあるだろう?その固有魔法を解放できたやつは、自分に無意識のうちに掛けてたリミッターが外れて更に魔力が増加するんだ。そして、固有魔法は妖精や悪魔の力を借りるより、うんと少ない魔力で使えることが出来てコントロールしやすいんだ」

 なるほど…

「この世界では入口の試練を突破したものを候補人と呼ぶ。まぁ、まだ魔法魔術の専攻は決まってないだろうが、魔法使い魔術師の仲間入りってことになるんだ」

 ナルキス国王はフッとクールに笑って手を差し伸べてきた。

 私はそれが何の意味を示すのか分からず首をかしげた。

「おめでとう」

 そこで私はハッとその意味を理解した。

 握手だ。私は慌てて手を取りギュッと握った。ナルキス国王は満足そうにギュッと握り返した。なんか、やっぱり国王とか言って大人のような振る舞いを強いられているらしいいるけど…やっぱりこの人は私と同い年なんだと再認識した。

「もうお前は『こちら側』の世界に入ってしまった。もう後戻りはできない。その力でこれから自分を守らなきゃいけない、もしかしたら人を殺めなければ行けなくなるかもしれない…けど、奪うと同時に…何か与えるかもしれない。魔力ってのはそういうもんだ。出来るだけ、その力を与える側になって、いろんな人を助けてやってくれ」

 ナルキス国王は苦しそうに、切なそうに、祈るように…そう言葉をかけた。

 この人も今まで大変だったんだろうな…

 私は何も知らない…この力も全然把握出来てない…だから、私はこれから学ばなきゃいけない。何をって?…異世界をだよ。

「わかりました…私、約束します。人は出来るだけってゆうか絶対殺したりしたくないですけど…この力で…困っている人を助けたいです」

 私は繋がれた手に力を込めた。そして、これから私を導いてくれるこの『白い本』をギュッと胸に抱いた。
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