異世界召喚鍛冶師

蛇神

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第二章 悪魔と妖精

同郷人

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 私は部屋に戻った。アルさんやキルさんが作っている私に関する書類を手伝ったらトップりと日が暮れてしまった。ナルキス国王は私をアルさんのところへ連れていった後にどこかへ行ってしまった。モフモフ君は夜に活動できない種類の妖精らしく、日が沈んだ瞬間にポンと消えてしまった。

 私はふかふかベットにトウッ!と寝っ転がった。

「はぁ~…気持ちい~!!」

 今日も今日で濃厚な一日だった。ものすごい勢いで物事が進んでいった…。

 私はゴロンとうつ伏せから仰向けに寝返り両腕で顔を覆った。
 
これがいい方向へ進んでほしい…。

 私はふと、さっきの偽文書作りの時を思い出した。アルさんキルさんとの三人でアレコレ考えて作った。

「…楽しかったな」

 二人とも笑っていた。私はそれが嬉しくて笑顔になった。部屋に入った時、アルさんがすごく機嫌が悪くて、寂しそうだったから…つい、手を握ってしまった。やってしまったと思ったけど、アルさんは握り返してくれた。

「…早く工房に戻りたい」

 ボソッと私は呟いた。

 コンコン

 私は恥ずかしさのあまり飛び起きてベットの上で正座をした。なんでこんなに慌てるんだ私は…!?

 ドックンドックンと激しく暴れる心臓を抑えながら平常心を心がけ、ノックに答えた。

「は…はい!!」
「おくつろぎのところ失礼します、夕食の準備が整いました…」

 私より少し年上ぐらいの若いメイドさんがやって来た。彼女は私がおくつろぎになっていると思ったのだろう、正座をしてじーっと見ていたため、少し面食らっていた。

「えーと…ハッ!!」

 素の彼女が出てきたようだ。彼女は慌ててこほんと咳払いし、先程出てしまった素の自分を隠してメイドに戻った。…私、絶対変人って思われた…?

「アル様、キル様、リン様が一緒に夕食を召し上がりたいそうです。一部屋貸し切って食べると仰っていたのですが…どういたしますか?」
「行く行く!!一緒に食べたい!」

 ニコリとメイドさんは目を細めて微笑んだ。クスクスとなんか凄く女性らしい…!!まさに理想の女性像しかもメイド!!

「では、そうお伝えしてきます。もう準備が出来ておりますので、楽しんでくださいね」

 そういうと彼女はスカートの端をつまんでちょこんとお辞儀した。ふぐぅ…!か、かわいい!女である私もドギマギしてしまった。

 彼女はそのまま部屋を出ていった。私はもう少しゴロゴロしてから行こうと思い、正座を崩してベットにふにゃりと沈んだ。と、そこで私はたいへん大きな問題に気がついた。

 部屋の場所と名前…教えてもらえなかった。

 メイドさん…多分言い忘れたんだろうな…。あれに天然要素を搭載しているとか…女神か…!!

「いやしかし…こまったなー、アルさん今日で帰っちゃうのに…」

 私は体を起こしてあぐらをかいた。うーんと腕を組み案を考える。

「しょーがない!前みたいに自分の運を信じて探そ!!」

 そう言って私はピョンとベットを飛び降りて部屋を出た。部屋を貸し切るって言ってるからそこそこ大きい部屋かな?料理とか運ぶし…多分調理室の近くだよね?

 私はこのバカでかいお城をチョロチョロ歩き回った。早くつかないと、みんな食べ終わっちゃう…!私は早歩きでいそいそ探し回った…が、全然見つからない…。

 匂いとかも全然しないし…それに…ここどこだかも分からない…。私はキョロキョロ周りを見渡した。

 ああー!どうしよー!と私は頭をかかえた。

「何かお困りのようだね」

 私の後ろで誰か囁いた。私はビックリして声のする方へ振り返った。私のすぐ後ろに、二十代後半かな?アルさんより年上っぽい人が立っていた。ここは長い廊下の一本道。さっき周りを見渡した時、後ろには…誰もいなかった…。

 私は固まった。誰だろうこの人、急に現れたけど…人…だよね?幽霊じゃないよ…ね?

 足はある。私はゆっくり後ずさりして距離をとった。が、そろりそろりと後ろへ下がると、ズンズン近寄ってきた。

「あの…誰ですか?」

 私は顔を強ばらせて聞いた。笑顔になろうとするが、変に引きつってしまう。

「おや、別にとって食おうって思ってないですよ。うーん…君が怖がったままだと話が進まなそうだ…めんどくさいなー…お!そうか、『怖い』って感情を取ってしまいましょう!」

 そういうと、謎の男はパチンと指を鳴らした。

 スーと気持ちが落ち着くのがわかる。鳴り響いていた心臓の音が聞こえない。自分でも驚くくらい冷静になった。

 私の様子を見て満足そうに男は手をパンパンと払った。ここで初めて私は男をしっかりと見た。

 男は黒く長い髪を無造作にまとめお団子にしており、顔も中性的で、声が低く背が高くガッチリとした体型ではなかったら…男とは分からなかっただろう…。そして、男の服装に私は驚いた。高校の日本史で見たアイヌの民族衣装にそっくりなものを着ていたのだ。

「えと…あなたは?」

 そういえば自己紹介まだだったね、と男は握手を求めてきた。仕方がなく握手をする。

「私はキリオというもので、君と同じニホンから来ました。風の坊やから君のことを聞いてね、気になっちゃって王宮に侵入してきちゃいました」

 キリオさんはぺろっと舌を出して首をすくめた。王宮の侵入者!?それはやばくないですか!?
 やばいと思いつつも、私はキリオさんがニホンという単語を口にしたことに驚いた。

「ニホンって、日本のことですか!?というか、その服って…!?」

 私は一気に疑問が頭の中で爆発した。もう、何がなんだかわからない!!

「んー…説明ながくなっちゃいますよ?何か急ぎの用事があるのでは?」
「あ!そうだ!夕食!!」

 私は夕食の場所を探していたのだ…すっかり忘れていた!!

「場所がわからないのか…この城で働いているシルキーを呼んであげます。その子に聞いて案内してもらってくださいな」

 シルキーって、あの物語とかに出てくるシルキー!?そうか、シルキーって妖精か…!!

 キリオさんは目をぐっと閉じた。その途端、私の目の前にキラキラとした粉が降ってきた。そして、その粉がどんどん集まって固まり…人になった。

 目の前には、クセのある金髪を頭の上でクルクルとまとめた耳のとんがった美しいメイドがいた。

「シルキー種よ、彼女に夕食の場所とヤラを教えてあげておくれな」
「かしこまりました」

 彼女はテキパキとお辞儀をして、私についてきてくださいとロボットのように喋った。

「私の秘密を後で教えてあげましょう。もし、あなたが私を受けいらなければそれでもいいです。あなたが来て欲しいと願えば私は行きましょう…」

 そういうとパキパキとキリオさんは砂のように崩れ落ちて…消えた。

「では、ユキ様ですよね?うちのマルの説明不足で申し訳ありません…。もう皆様お待ちです、参りましょう」

 うちのマルとは、さっきの天然メイドのとこかな?だとしたら、すごくこの後この人にしごかれるんだろうな…。

 私達は無言で向かっている。はっきりいって、さっきのことで頭がいっぱいで、いつもなら私から話しかけるのだが、そんな余裕が私にはなかった。
 
 私はこの短時間で起きた出来事が忘れられず、夕食会についてワクワクするどころでは無かった。

 だが、割り切らなければ。アルさんは明日いなくなってしまう。朝早くに行くと言っていた…。不安そうな顔じゃなくて、笑顔で送ってあげないと…!!

 そして、あのキリオって人がどういう人なのか…見定めてやる!

 私は金髪メイドの後ろで歩きながらフンスーと鼻息荒く、決意を固めた。
  
 
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