異世界召喚鍛冶師

蛇神

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第二章 悪魔と妖精

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『ほら、見てください?これ…なんだと思います?これね、あなたの足なんですよ~』

 私の目の前には地獄があった。ここは暗い独房のようなところで、真ん中に若い青年が椅子に括られていた。その青年はボロボロで、綺麗な顔も半分がひどく抉られて、皮膚が裂け、肉が血と一緒に溢れていた。そして、手足には至る所にガラスの破片なようなものが刺さっていた。

 そんなボロ雑巾のようになってしまった青年には…片足がなかった。青年の切り取られたらしい太ももあたりからは血がドバドバと溢れ、青年は蒼白な顔でグッタリと自分の太ももを見ていた。

 青年から出た血が床一面を覆って、一つの絨毯のようになっていた。私は自分の足元を見た。青年の血が足に絡みついて、不快感を足に与え続けた。

 私はその場で吐いた。気持ち悪いとかではない。大きな恐怖から私は吐いた。

 これは一体どういうことだ?何で私はこんな所に…

『おや…?あなたはアマノザキユキ…、何故ここへ?』

 いつぞやの一つ目のドラゴンの仮面を被ったマラハート神の信者が青年の脇に立っていた。青年の片足を嬉しそうに抱えて。

「そ、そ…れ…」

『これ?これはこの子のものでして、少し不都合があったので、もいだものです。不思議なんだよね、もう心臓と繋がってないってのに…ドクンドクンって、うごいてんですよ!あー!気持ち悪い!!』

 と、仮面男は嬉嬉として青年の足を抱きしめた。

 相変わらずのタメ語と敬語のごっちゃになった喋り方で、逆にそれが、不気味に見えた。

 私は口元を拭い目だけで出口を探した。運悪く、仮面男の真後ろにあった。

 というか、何でこんなことになったんだ?私、寝てたはずじゃ…

『しかし、二回波長を合わせて接触しただけで…もう体がなれてしまったんですね…。夢を見る事にこちらへ飛ばされるのは少し可愛そうですね…』

 何だか訳の分からないことをブツブツ言っている。とやかく、出口から外へ出る方法を考えなくちゃ。

『ま、ユキさんに会えるのなら願ったり叶ったりか』

 パチンと仮面男は指を鳴らして体を嬉しそうにユサユサした。

 そういうと仮面男は青年の足でプラプラ遊びながらズンズンと近ずいてきた。近づくにつれ、足の断面が鮮明になっていき、私は頭痛がした。

 吐き気をこらえ、私は青年を見た。青年も私に気づいたようだ。虚ろな目で私を見つめている。口をダラーと半開きにしてヨダレが出ている。意識が朦朧としているのであろう。よく見ると手足が痙攣しているのがわかる。

「あの…あの人は…死ぬんですか?」

 私の質問にピタリと仮面男は足を止めた。そして、チラリと青年を一瞥するとスーと空気が変わった。

 私は息苦しくなる空気の中、地雷を踏んでしまったことに気づいた。

『コイツ…ですか…。コイツは私の下についてるものでして…全くの出来損ないで買い被っていた私が馬鹿でした。正直まだ使えるけど…私的にもう入りませんし、ユキさんが死ぬように見えるなら、いっそ殺してしおうか』

 仮面の奥にある顔はひどく歪んでいるような気がした。私はゾクリと背中を縮め、青年を見た。

「……痛い…。俺を殺すのか…いいぜ、一層の事殺してくれ、あんたに付くなら死んだ方がましだ」

 その瞬間、仮面男は目にも留まらぬ速さで青年を蹴り上げた。

「ぐはぁ!!」

 青年は顔を歪め、血を吐き出した。

「ひっ!!」

 私は引きつった声が出た。

 仮面男は青年の髪を鷲掴みにし、グッタリとする青年を無理やり起こした。

『殺すの…やめにします。お前らには苦しんでもらわないと。こういうのはどうだ?治癒の魔法や魔術で傷を治して、ずーっと痛めつけつづけるっていうのは!!』

 仮面男は体をそらして声高々に、青年にとって残酷なことを言った。私はヒューヒューと肺がうまく息を吸ってくれなくて、目眩がした。むわっとした血の香りが鼻腔を撫で回している。

「…お前らはいつか、この俺をこんな風にしたことを後悔するだろう…!!寝首をかいてやる!」

 青年は血を吐き出しながら、ボコボコの顔でしっかりした目で仮面男を見つめ、叫んだ。
 そして、青年は私の方に向き直った。

「こいつらに関わるな…まだ死にたくなきゃ、何が何でも逃げろ……わかったか?…ぎゃぁあ!!」

 仮面男がガラスがたくさん刺さった太ももを思い切り踏んずけた。ガラスが太ももにくい込んで、肉片や血液が飛び散った。仮面男はそこでグリグリと楽しそうに踏み続ける。

『馬鹿だなぁ、ユキさんを殺すわけないじゃないか~!!』

 私は腰が抜けた。こんな、映画のような光景…平和ボケした日本で育った私にはとてもキツかった。

『すぐに治してあげますからね~!では、まず一本』

 そういうと、仮面男は青年の指を一本一本引きちぎり始めた。

 私はその光景を見て、頭が真っ白になった。ちぎる度に見える、赤い血に、細い糸のような血管、そして粉々に砕けた骨ぼね。

 私は青年の左手の指が、すべてなくなるのを見る届け、意識がフェードアウトしていった。

 
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