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第二章 悪魔と妖精
焦燥
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あれから一度も成功することなく、本日のコントロールの特訓は終了した。氷と熱の温度差で部屋の所々に亀裂が走ってしまっている。残り六日で、こんな状態からどう成功させるか…そう考えると、私は不安でいっぱいになった。
頭では分かっている…けど、どうすることも出来ない…。私はこのもどかしさがメチャクソ大嫌いだ。
ハクシさんは夕食の準備をするということなので、私は先に部屋に戻った。
魔力を出し続けたためか、身体中がじんじんするし、気だるい。そんな体を引きずり、私はベットに倒れ込んだ。相変わらずフカフカだ。
「そんなほいほい調子よく…全てが上手くいく訳では無いんだ…」
私は自分自身に言い聞かせるように呟いだ。
「…悔しい」
顔を白いシーツに押し付け、絞り出すように囁いた。こんなんじゃ、アルさんに顔向けできない。大丈夫です、安心してください。…どの口が言えた!!こんな…こんな有り様じゃ…
噛んでいた唇から鉄の味がした。
ダメだとわかっていても、気持ちがどんどん沈んでしまう。
すべて投げ出してしまいたい。
私はギョッとして飛び上がった。私がこんなことを考えるなんて…。私は自分のネガティブな思いにビックリするのと同時に怖くなった。こんなことを考えていると、いつか本当にそうなってしまうような気がしたからだ。
「私のバーーーカ!!!!!!」
バチーーン!!
私は両頬を思い切りビンタした。思いっきりビンタしたため、歯がジンジンと痛み、頬がヒリヒリ泣いていた。
痛いが、とてもスッキリした。
こんな弱い気持ちでいたら、あのマラハート神とやらに乗っ取られてしまう。人の体を器にだなんて、絶対…神でも邪神だ邪神!!
「あ~…お腹すいてきた…」
腹がねだる子犬のようにクゥ~ンと鳴いている。私はそんなお腹をさすりながら、固有魔法について考えた。
どうも、私は魔力の量が人並みより大きいらしい…常識に当てはめてしまうと、その常識から飛び出ている私は魔力をうまく放出することが出来ない。
…とどのつまり、決められたやり方から自分のやり方を見つけ出さなきゃいけないという事だ…。
私はハッと思ってゴロリと寝返り仰向けになった。
私は天井を見つめたまま考えを実行したくて疼いた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ハクシさんは私を慰めるかのように、とても豪華な夕食だった。私の弱い部分がチクッとしたが、私は魔力の使用でボロボロになった体を癒し、これからのキリオさんとの魔力指導に耐えるために有難く美味しくたくさん食べさせてもらった。
私はご飯を食べ終わったあと、昼の魔力使用の特訓で使われた部屋に向かった。流石に部屋を吹き飛ばしたらまずいので、壊れてもいいところでキリオさんに色々教えてもらおうと思う。
部屋についた私は早速準備した。
「…えっと、契約したから…確か名前を呼ぶだけでいいんだよね…?」
キリオさーん…キリオさーん…と私は心の中で叫んだ。
シーン…
反応がない…。あれ?と思い、私は呼び続けた。
すると、突然私の肩を誰かが叩いた。
「せっかくオベロンという名をくれたのに…まだキリオさんですか私は…」
というか私は契約された使い魔なんですから、敬語とかやめてくださいよ…
と、キリオさん…いや、オベロンは悲しそうな声で目をうるうるさせて訴えた。
「いや~…敬語から切り替えるのって難しくて…それに何百歳も年上の人を呼び捨て&タメ口なんて…」
と、私は抗議した。
「私の下の者達に示しがつかないんですよ…」
妖精の王様も色々と大変らしい…。
しょうがないと、私はため息をついて渋々承諾した。一度こうだ!って決めた後に変えたりすると、なんかムズムズするんだよね…。私は慣れるまでの道のりを考えて魂が抜けそうになった。
「…で?思ったより早く呼びましたね。主様は何をご所望ですかな?」
鋭くズバッと要件を聞いてきた。確かに、ダラダラこの件を引き伸ばしてもしょうがない。私はなるべく端的に今日のことを話し、魔力の調節についてオベロンに聞いた。
オベロンはうーん…と近くにあった椅子に座り、その上で考える人のポーズをとった。
「私も魔力は多い方ですけど…そこまでトリッキーな量は無いですね…。どんなにどんなに少ない量にしても結果は同じ…そんなの聞いたことないですね」
水の流れを少なくイメージしても…ダメなのだ。流れ出るものが水ではなく毒になって暴走してしまう。
調節もなにも出来ないのであれば、どんなにたくさん魔力があったって意味がない。
「私達一般の魔力の保持者は、水の流れと魔力の体内の流れを類似させて魔力を使ってきました。これは体内の全ての魔力を魔力を放出させる部位へ集中させるためにイメージしやすいように考えられた方法です。だけど、君の場合は魔力が多すぎるから流れを意識して集中させちゃダメなんですよ」
オベロンはなにか良い方法が思いついたらしい。饒舌になっている。少し興奮しているのかな?
「だから、君はこれから『流れ』を意識してはいけない。魔力を循環させてしまったら多すぎて溢れてしまう…だから、流れを意識するのをやめて、流れを『止める』ことだけ意識してください」
「…え?」
私は固まった。流石に教科書どうりにいかないからって…こんなに正常な方法から離れるとは思わなかった。『流れる』を『止める』に考えを交換するなんて、魔力の流れを止めてしまったら、固有魔法が使えないんじゃないだろうか…?
「魔力を出さないで、ひたすら魔力を止めることだけを意識する訓練をしよう。しばらくはそれオンリーですね。ハクシにも伝えておきます。しばらくは魔力を出すの禁止です」
魔力を使って、最終的には魔法を使わなきゃいけないのに…魔力を出さないなんて…
本当に私は一週間でアルさんの工房に戻ることが出来るのだろうか…
特別特訓一日目にして、私は不安しか感じられなかった。
頭では分かっている…けど、どうすることも出来ない…。私はこのもどかしさがメチャクソ大嫌いだ。
ハクシさんは夕食の準備をするということなので、私は先に部屋に戻った。
魔力を出し続けたためか、身体中がじんじんするし、気だるい。そんな体を引きずり、私はベットに倒れ込んだ。相変わらずフカフカだ。
「そんなほいほい調子よく…全てが上手くいく訳では無いんだ…」
私は自分自身に言い聞かせるように呟いだ。
「…悔しい」
顔を白いシーツに押し付け、絞り出すように囁いた。こんなんじゃ、アルさんに顔向けできない。大丈夫です、安心してください。…どの口が言えた!!こんな…こんな有り様じゃ…
噛んでいた唇から鉄の味がした。
ダメだとわかっていても、気持ちがどんどん沈んでしまう。
すべて投げ出してしまいたい。
私はギョッとして飛び上がった。私がこんなことを考えるなんて…。私は自分のネガティブな思いにビックリするのと同時に怖くなった。こんなことを考えていると、いつか本当にそうなってしまうような気がしたからだ。
「私のバーーーカ!!!!!!」
バチーーン!!
私は両頬を思い切りビンタした。思いっきりビンタしたため、歯がジンジンと痛み、頬がヒリヒリ泣いていた。
痛いが、とてもスッキリした。
こんな弱い気持ちでいたら、あのマラハート神とやらに乗っ取られてしまう。人の体を器にだなんて、絶対…神でも邪神だ邪神!!
「あ~…お腹すいてきた…」
腹がねだる子犬のようにクゥ~ンと鳴いている。私はそんなお腹をさすりながら、固有魔法について考えた。
どうも、私は魔力の量が人並みより大きいらしい…常識に当てはめてしまうと、その常識から飛び出ている私は魔力をうまく放出することが出来ない。
…とどのつまり、決められたやり方から自分のやり方を見つけ出さなきゃいけないという事だ…。
私はハッと思ってゴロリと寝返り仰向けになった。
私は天井を見つめたまま考えを実行したくて疼いた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ハクシさんは私を慰めるかのように、とても豪華な夕食だった。私の弱い部分がチクッとしたが、私は魔力の使用でボロボロになった体を癒し、これからのキリオさんとの魔力指導に耐えるために有難く美味しくたくさん食べさせてもらった。
私はご飯を食べ終わったあと、昼の魔力使用の特訓で使われた部屋に向かった。流石に部屋を吹き飛ばしたらまずいので、壊れてもいいところでキリオさんに色々教えてもらおうと思う。
部屋についた私は早速準備した。
「…えっと、契約したから…確か名前を呼ぶだけでいいんだよね…?」
キリオさーん…キリオさーん…と私は心の中で叫んだ。
シーン…
反応がない…。あれ?と思い、私は呼び続けた。
すると、突然私の肩を誰かが叩いた。
「せっかくオベロンという名をくれたのに…まだキリオさんですか私は…」
というか私は契約された使い魔なんですから、敬語とかやめてくださいよ…
と、キリオさん…いや、オベロンは悲しそうな声で目をうるうるさせて訴えた。
「いや~…敬語から切り替えるのって難しくて…それに何百歳も年上の人を呼び捨て&タメ口なんて…」
と、私は抗議した。
「私の下の者達に示しがつかないんですよ…」
妖精の王様も色々と大変らしい…。
しょうがないと、私はため息をついて渋々承諾した。一度こうだ!って決めた後に変えたりすると、なんかムズムズするんだよね…。私は慣れるまでの道のりを考えて魂が抜けそうになった。
「…で?思ったより早く呼びましたね。主様は何をご所望ですかな?」
鋭くズバッと要件を聞いてきた。確かに、ダラダラこの件を引き伸ばしてもしょうがない。私はなるべく端的に今日のことを話し、魔力の調節についてオベロンに聞いた。
オベロンはうーん…と近くにあった椅子に座り、その上で考える人のポーズをとった。
「私も魔力は多い方ですけど…そこまでトリッキーな量は無いですね…。どんなにどんなに少ない量にしても結果は同じ…そんなの聞いたことないですね」
水の流れを少なくイメージしても…ダメなのだ。流れ出るものが水ではなく毒になって暴走してしまう。
調節もなにも出来ないのであれば、どんなにたくさん魔力があったって意味がない。
「私達一般の魔力の保持者は、水の流れと魔力の体内の流れを類似させて魔力を使ってきました。これは体内の全ての魔力を魔力を放出させる部位へ集中させるためにイメージしやすいように考えられた方法です。だけど、君の場合は魔力が多すぎるから流れを意識して集中させちゃダメなんですよ」
オベロンはなにか良い方法が思いついたらしい。饒舌になっている。少し興奮しているのかな?
「だから、君はこれから『流れ』を意識してはいけない。魔力を循環させてしまったら多すぎて溢れてしまう…だから、流れを意識するのをやめて、流れを『止める』ことだけ意識してください」
「…え?」
私は固まった。流石に教科書どうりにいかないからって…こんなに正常な方法から離れるとは思わなかった。『流れる』を『止める』に考えを交換するなんて、魔力の流れを止めてしまったら、固有魔法が使えないんじゃないだろうか…?
「魔力を出さないで、ひたすら魔力を止めることだけを意識する訓練をしよう。しばらくはそれオンリーですね。ハクシにも伝えておきます。しばらくは魔力を出すの禁止です」
魔力を使って、最終的には魔法を使わなきゃいけないのに…魔力を出さないなんて…
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