41 / 64
第二章 悪魔と妖精
焦燥
しおりを挟む
あれから一度も成功することなく、本日のコントロールの特訓は終了した。氷と熱の温度差で部屋の所々に亀裂が走ってしまっている。残り六日で、こんな状態からどう成功させるか…そう考えると、私は不安でいっぱいになった。
頭では分かっている…けど、どうすることも出来ない…。私はこのもどかしさがメチャクソ大嫌いだ。
ハクシさんは夕食の準備をするということなので、私は先に部屋に戻った。
魔力を出し続けたためか、身体中がじんじんするし、気だるい。そんな体を引きずり、私はベットに倒れ込んだ。相変わらずフカフカだ。
「そんなほいほい調子よく…全てが上手くいく訳では無いんだ…」
私は自分自身に言い聞かせるように呟いだ。
「…悔しい」
顔を白いシーツに押し付け、絞り出すように囁いた。こんなんじゃ、アルさんに顔向けできない。大丈夫です、安心してください。…どの口が言えた!!こんな…こんな有り様じゃ…
噛んでいた唇から鉄の味がした。
ダメだとわかっていても、気持ちがどんどん沈んでしまう。
すべて投げ出してしまいたい。
私はギョッとして飛び上がった。私がこんなことを考えるなんて…。私は自分のネガティブな思いにビックリするのと同時に怖くなった。こんなことを考えていると、いつか本当にそうなってしまうような気がしたからだ。
「私のバーーーカ!!!!!!」
バチーーン!!
私は両頬を思い切りビンタした。思いっきりビンタしたため、歯がジンジンと痛み、頬がヒリヒリ泣いていた。
痛いが、とてもスッキリした。
こんな弱い気持ちでいたら、あのマラハート神とやらに乗っ取られてしまう。人の体を器にだなんて、絶対…神でも邪神だ邪神!!
「あ~…お腹すいてきた…」
腹がねだる子犬のようにクゥ~ンと鳴いている。私はそんなお腹をさすりながら、固有魔法について考えた。
どうも、私は魔力の量が人並みより大きいらしい…常識に当てはめてしまうと、その常識から飛び出ている私は魔力をうまく放出することが出来ない。
…とどのつまり、決められたやり方から自分のやり方を見つけ出さなきゃいけないという事だ…。
私はハッと思ってゴロリと寝返り仰向けになった。
私は天井を見つめたまま考えを実行したくて疼いた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ハクシさんは私を慰めるかのように、とても豪華な夕食だった。私の弱い部分がチクッとしたが、私は魔力の使用でボロボロになった体を癒し、これからのキリオさんとの魔力指導に耐えるために有難く美味しくたくさん食べさせてもらった。
私はご飯を食べ終わったあと、昼の魔力使用の特訓で使われた部屋に向かった。流石に部屋を吹き飛ばしたらまずいので、壊れてもいいところでキリオさんに色々教えてもらおうと思う。
部屋についた私は早速準備した。
「…えっと、契約したから…確か名前を呼ぶだけでいいんだよね…?」
キリオさーん…キリオさーん…と私は心の中で叫んだ。
シーン…
反応がない…。あれ?と思い、私は呼び続けた。
すると、突然私の肩を誰かが叩いた。
「せっかくオベロンという名をくれたのに…まだキリオさんですか私は…」
というか私は契約された使い魔なんですから、敬語とかやめてくださいよ…
と、キリオさん…いや、オベロンは悲しそうな声で目をうるうるさせて訴えた。
「いや~…敬語から切り替えるのって難しくて…それに何百歳も年上の人を呼び捨て&タメ口なんて…」
と、私は抗議した。
「私の下の者達に示しがつかないんですよ…」
妖精の王様も色々と大変らしい…。
しょうがないと、私はため息をついて渋々承諾した。一度こうだ!って決めた後に変えたりすると、なんかムズムズするんだよね…。私は慣れるまでの道のりを考えて魂が抜けそうになった。
「…で?思ったより早く呼びましたね。主様は何をご所望ですかな?」
鋭くズバッと要件を聞いてきた。確かに、ダラダラこの件を引き伸ばしてもしょうがない。私はなるべく端的に今日のことを話し、魔力の調節についてオベロンに聞いた。
オベロンはうーん…と近くにあった椅子に座り、その上で考える人のポーズをとった。
「私も魔力は多い方ですけど…そこまでトリッキーな量は無いですね…。どんなにどんなに少ない量にしても結果は同じ…そんなの聞いたことないですね」
水の流れを少なくイメージしても…ダメなのだ。流れ出るものが水ではなく毒になって暴走してしまう。
調節もなにも出来ないのであれば、どんなにたくさん魔力があったって意味がない。
「私達一般の魔力の保持者は、水の流れと魔力の体内の流れを類似させて魔力を使ってきました。これは体内の全ての魔力を魔力を放出させる部位へ集中させるためにイメージしやすいように考えられた方法です。だけど、君の場合は魔力が多すぎるから流れを意識して集中させちゃダメなんですよ」
オベロンはなにか良い方法が思いついたらしい。饒舌になっている。少し興奮しているのかな?
「だから、君はこれから『流れ』を意識してはいけない。魔力を循環させてしまったら多すぎて溢れてしまう…だから、流れを意識するのをやめて、流れを『止める』ことだけ意識してください」
「…え?」
私は固まった。流石に教科書どうりにいかないからって…こんなに正常な方法から離れるとは思わなかった。『流れる』を『止める』に考えを交換するなんて、魔力の流れを止めてしまったら、固有魔法が使えないんじゃないだろうか…?
「魔力を出さないで、ひたすら魔力を止めることだけを意識する訓練をしよう。しばらくはそれオンリーですね。ハクシにも伝えておきます。しばらくは魔力を出すの禁止です」
魔力を使って、最終的には魔法を使わなきゃいけないのに…魔力を出さないなんて…
本当に私は一週間でアルさんの工房に戻ることが出来るのだろうか…
特別特訓一日目にして、私は不安しか感じられなかった。
頭では分かっている…けど、どうすることも出来ない…。私はこのもどかしさがメチャクソ大嫌いだ。
ハクシさんは夕食の準備をするということなので、私は先に部屋に戻った。
魔力を出し続けたためか、身体中がじんじんするし、気だるい。そんな体を引きずり、私はベットに倒れ込んだ。相変わらずフカフカだ。
「そんなほいほい調子よく…全てが上手くいく訳では無いんだ…」
私は自分自身に言い聞かせるように呟いだ。
「…悔しい」
顔を白いシーツに押し付け、絞り出すように囁いた。こんなんじゃ、アルさんに顔向けできない。大丈夫です、安心してください。…どの口が言えた!!こんな…こんな有り様じゃ…
噛んでいた唇から鉄の味がした。
ダメだとわかっていても、気持ちがどんどん沈んでしまう。
すべて投げ出してしまいたい。
私はギョッとして飛び上がった。私がこんなことを考えるなんて…。私は自分のネガティブな思いにビックリするのと同時に怖くなった。こんなことを考えていると、いつか本当にそうなってしまうような気がしたからだ。
「私のバーーーカ!!!!!!」
バチーーン!!
私は両頬を思い切りビンタした。思いっきりビンタしたため、歯がジンジンと痛み、頬がヒリヒリ泣いていた。
痛いが、とてもスッキリした。
こんな弱い気持ちでいたら、あのマラハート神とやらに乗っ取られてしまう。人の体を器にだなんて、絶対…神でも邪神だ邪神!!
「あ~…お腹すいてきた…」
腹がねだる子犬のようにクゥ~ンと鳴いている。私はそんなお腹をさすりながら、固有魔法について考えた。
どうも、私は魔力の量が人並みより大きいらしい…常識に当てはめてしまうと、その常識から飛び出ている私は魔力をうまく放出することが出来ない。
…とどのつまり、決められたやり方から自分のやり方を見つけ出さなきゃいけないという事だ…。
私はハッと思ってゴロリと寝返り仰向けになった。
私は天井を見つめたまま考えを実行したくて疼いた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ハクシさんは私を慰めるかのように、とても豪華な夕食だった。私の弱い部分がチクッとしたが、私は魔力の使用でボロボロになった体を癒し、これからのキリオさんとの魔力指導に耐えるために有難く美味しくたくさん食べさせてもらった。
私はご飯を食べ終わったあと、昼の魔力使用の特訓で使われた部屋に向かった。流石に部屋を吹き飛ばしたらまずいので、壊れてもいいところでキリオさんに色々教えてもらおうと思う。
部屋についた私は早速準備した。
「…えっと、契約したから…確か名前を呼ぶだけでいいんだよね…?」
キリオさーん…キリオさーん…と私は心の中で叫んだ。
シーン…
反応がない…。あれ?と思い、私は呼び続けた。
すると、突然私の肩を誰かが叩いた。
「せっかくオベロンという名をくれたのに…まだキリオさんですか私は…」
というか私は契約された使い魔なんですから、敬語とかやめてくださいよ…
と、キリオさん…いや、オベロンは悲しそうな声で目をうるうるさせて訴えた。
「いや~…敬語から切り替えるのって難しくて…それに何百歳も年上の人を呼び捨て&タメ口なんて…」
と、私は抗議した。
「私の下の者達に示しがつかないんですよ…」
妖精の王様も色々と大変らしい…。
しょうがないと、私はため息をついて渋々承諾した。一度こうだ!って決めた後に変えたりすると、なんかムズムズするんだよね…。私は慣れるまでの道のりを考えて魂が抜けそうになった。
「…で?思ったより早く呼びましたね。主様は何をご所望ですかな?」
鋭くズバッと要件を聞いてきた。確かに、ダラダラこの件を引き伸ばしてもしょうがない。私はなるべく端的に今日のことを話し、魔力の調節についてオベロンに聞いた。
オベロンはうーん…と近くにあった椅子に座り、その上で考える人のポーズをとった。
「私も魔力は多い方ですけど…そこまでトリッキーな量は無いですね…。どんなにどんなに少ない量にしても結果は同じ…そんなの聞いたことないですね」
水の流れを少なくイメージしても…ダメなのだ。流れ出るものが水ではなく毒になって暴走してしまう。
調節もなにも出来ないのであれば、どんなにたくさん魔力があったって意味がない。
「私達一般の魔力の保持者は、水の流れと魔力の体内の流れを類似させて魔力を使ってきました。これは体内の全ての魔力を魔力を放出させる部位へ集中させるためにイメージしやすいように考えられた方法です。だけど、君の場合は魔力が多すぎるから流れを意識して集中させちゃダメなんですよ」
オベロンはなにか良い方法が思いついたらしい。饒舌になっている。少し興奮しているのかな?
「だから、君はこれから『流れ』を意識してはいけない。魔力を循環させてしまったら多すぎて溢れてしまう…だから、流れを意識するのをやめて、流れを『止める』ことだけ意識してください」
「…え?」
私は固まった。流石に教科書どうりにいかないからって…こんなに正常な方法から離れるとは思わなかった。『流れる』を『止める』に考えを交換するなんて、魔力の流れを止めてしまったら、固有魔法が使えないんじゃないだろうか…?
「魔力を出さないで、ひたすら魔力を止めることだけを意識する訓練をしよう。しばらくはそれオンリーですね。ハクシにも伝えておきます。しばらくは魔力を出すの禁止です」
魔力を使って、最終的には魔法を使わなきゃいけないのに…魔力を出さないなんて…
本当に私は一週間でアルさんの工房に戻ることが出来るのだろうか…
特別特訓一日目にして、私は不安しか感じられなかった。
0
あなたにおすすめの小説
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした
楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。
仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。
◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪
◇全三話予約投稿済みです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる