異世界召喚鍛冶師

蛇神

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第二章 悪魔と妖精

悪魔②

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 ギギギギィィ………

 第一研究室と書かれた魔術の研究室…。そこの黒くい大きな扉を開けた。少し錆び付いていたためか重く、体全部の体重を扉に押し付けながら開けた。

「暗い…なんか一人で来なければよかった…」

 明かりをつけても薄暗く、網棚の方には何やら動物の目玉やら血液やらが瓶に詰められていた。ゴクリと唾を飲みゆっくりと扉を閉めて部屋へ入った。

 ドキドキと耳にまで聴こえてくる自分の心臓の心音が帰れと警告するかのように、どんどん大きくなっていく。

「いやいや、ここまで来たんだ。あとになんて引けない!」

 オベロン曰く、妖精や悪魔は魔力が大好きとのこと…。というわけで、今日の経験を生かして、魔力をちょびっと垂れ流しにして悪魔をおびき寄せようと思う。

 バクバク激しく叫びまくっている心臓をどうにか大人しくさせ、スーハーと大きく深呼吸した。

 準備は整った。

「あんまし怖いのは出てこないでね…!!」

 私は目をつぶって少しずつ魔力を流し始めた。

 しばらくその状態でいて、少したったら目を開けてキョロキョロと周りを見渡した。

 いない…

「いや…でも、視線を感じる…」

 私はもう一度あたりを見回した。

 いない…。

「き、今日はこのくらいにして…あ、ああ明日がんばろう!そうし…」

ガチャン!!

「へ?」

 扉の方から音がした。私は嫌な予感がして慌ててグッと力をいれて扉を開けようとしたが、さっきは動いた扉はピクリとも動かなかった。

「う…うそ…!?鍵かかってる!?」

 私はバンバンと扉を叩いて人呼んだ。が、こんな遅い時間…しかも、地下の研究室に人が来るはずもない。

「どこか出口…」

 私はあたりを見回した。

 つけた明かりがとても頼りなく、部屋の端々の暗闇が今にも蠢いて来そうにかんじてしまう。

 ふと、何個かあるうちの一つの棚に目を向けた。

「ひっ!?」

 私はあわわと腰を抜かしてしまった。

 棚に並べられている瓶詰めの目玉がすべて私を見ていたのだ。標本も壁にかけられた首だけの動物も…全てが私を捉えていた…。

「な、何これ…」

 私は恐怖で声が震えた。

 「あぁ…俺の可愛い娘…。恐れおののく姿、声…全てが愛おしい!!」

 突然聞き覚えのない声が部屋に響き渡った。

「だ、誰だ!!」

 私は必死に声の主を探した。気配を探した。ここに閉じ込めた犯人はきっとこの声の人だ。

「そう慌てるなよ。」

 ザザザザザザ

 部屋の中央に端々に散りばめられていた暗闇が集まって来た。それがモコモコ膨らみ、人の形となり暗闇は弾け散った。

「…悪魔」

 真黒い長いストレートの髪に、貴族のきらびやかな衣装を漆黒に染め、ニッ笑う口の隙間からは白い牙がチラチラ見え隠れしていた。耳はエルフの人…ほどまではいかないが少しとんがっていた。

 …そして、黒い細い牛のような尻尾がお尻の方から伸びていた。

「そう、俺は悪魔だ。お前に望まれてきた。さぁ、俺をどうしたいんだ!?」

 悪魔はズイと私に音も無く近づいた。動きが滑らかすぎて思わず足の所在を確認してしまった。そんな私を見て悪魔はカチンと動きを止めた。

「ん?お前、俺の姿が見えるのか…!?」

 悪魔にとっても見える力を持つ者は珍しいらしく、ベタベタと私の体をあちこち触り、ジトーっと頭の先からつま先まで舐めるように見つめ、首をかしげた。

「はい…なんかそういう風に出来てるみたいです」

 はへーと間の抜けた声をあげ、感心したように私の頭をポンポンと叩いた。そして、ハッと何か気づいたかのように驚いて「うぇっふん」と咳払いした。

「さぁ、お前は何を望む!?」

 いきなりさっきの続きを始めた。切り替えが早すぎて逆にちょっと感心してしまうではないか。

「えと、ま、魔力を吸い取る方法を教えてください」
「…は?」

 悪魔は目を見開いて、ほうけた顔をした。なんだこいつ、馬鹿じゃねーの?という声が聞こえてきそうなほどのほうけづらだ。

「…え?誰かを恨んでないのか?殺したい人は?呪い殺したい人は?」

 悪魔は慌てて私の肩をムンズと掴み吠えた。

 どうやら私のお願い事は悪魔の理に反しているらしい。

「いや、今はそういう風に思う人いないんだよね…純粋に教えて欲しいんだよね…」

 ガクンガクンと悪魔は私を揺さぶった。

「だーかーらー!話聞いてる!?俺の望むのは人間の醜い部分だからー!!」

 悪魔の祝福があるからと言って何でもかんでも従ってくれる訳でも無いらしい。

 ガクンガクンと頭が前後に運動し脳みそが動く感じがして気持ち悪い。

「おぇ…ちょ、ストップ…。吐きそう…酔った酔った!!…うぷ」

 おぉ、すまない。と悪魔は素直に手を離してくれた。だが、悪魔の手に体重を預けていたため、離された瞬間にバランスを崩し、バターンと倒れてしまった。私は顔を歪めて、最後の念を押した。

「…これだけじゃ、ダメですかね…?」
「ダメだ!!」

 悪魔は手ごわい。

 うーん。と私は腕を組み、脳細胞全てを働かせじっっっくり考えた。

「おい、いい加減にしろ。いつまで俺を待たせる」
「あとちょっとだけ!!」

 そう言って悪魔はすんなり黙った。何気に素直な悪魔だ。素直な悪魔とは変な感じだな…。

 悪魔にはちょっとドロドロしたものが必要なのか…言い方変えて願いも少し大きくしてしまえばいいのか?

「よし!じゃあ…私に力を貸して。私ね、本当はこの世界じゃなくて別の世界から召喚されてしまったらしいんだ…。あなたには私が元の世界に戻れるまで…この世界で生き残れるように…機会があれば私の晴れのキャンパスライフを奪った奴に一矢報えるよう…あなたを私の為に利用させて!!」

「生き残る術…一矢報える…利用…」

 悪魔は目を細めニヤリと笑った。口が大きく裂け、そこから鋭い牙が見える。

 素直だとか、優しいとか思ってたけど…やっぱりこの人は…悪魔なんだ。

 私は悪魔の笑顔を見て、心臓が凍りつくのを感じた。
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