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Chapter.3
気付く2
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カランコロンとベルが鳴る。疲れたーとテーブルに突っ伏した私を、芦屋くんがギョッとした目で見る。
「お前……、」
「何?」
「元気そうだな」
疲れ切った私を見てその感想?最近また仕事が忙しい。久しぶりに芦屋くんのお店に来れた……。
「お酒飲みたい」
「いや、あのさ……」
「何?」
「見てねーの?ワイドショーとか……」
「あー、見た。結婚するんだって?三木村さん」
「いや、あれは……!」
「嘘でしょ?どうせ」
珍しく感情的になっている芦屋くんは、珍しく、本当に珍しく私を心配してくれているようだ。私の言葉を聞いて、目を丸くしている。今日は本当に珍しい顔が見られるな。
さすがに、あんなに毎日毎日熱烈なメッセージを送ってこられて、会う度「大好きだよ」とか「可愛い」とか「全部食べたい」とか言われてるのに、他の人と結婚するなんて信じない。勝手に決め付けたりせずに、ちゃんと三木村博也という人と向き合うって決めたんだから。
「でも連絡が来ないのは気になるんだよね……」
「は?来てねーの?」
「うん……。忙しいんだろうね」
自分からしてもいいんだけど、もし仕事が忙しかったら迷惑だろうなと思ってあまりできない。ちょうど取材中なんかに電話をしてしまって、マスコミの人に見られたら大変そうだし。
何杯か飲んで、芦屋くんのバーを出た。明日も仕事。明後日も仕事。明明後日も仕事。仕事仕事仕事。
「はー、会いたいな……」
出会う前は一人で平気だったのに、会いたいな、寂しいな、疲れたからぎゅってしてほしいな、なんて考える。連絡、してみようかな……。
少し立ち止まって、鞄から携帯を取り出す。画面は真っ暗。やっぱり何も来てないか……。電源ボタンを押す。
「……ん?」
つかない。充電がないのかな?いつ切れたんだろう。長押ししてみる。あ、ついた。
「……え?」
電話とメッセージアプリに夥しい数の通知が来ている。私、もしかして電源切ってた……?
『奈子ちゃん、結婚なんて嘘だからね!』
『俺が好きなのは奈子ちゃんだけだから!』
『ちゃんと説明したい』
『奈子ちゃん会いたい』
『俺のこと嫌いになっちゃった……?』
『会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい』
どんどん悲痛に、そして不気味になっていくメッセージ。やばい、やばいやばいやばい。慌てて電話をかけようとした時だった。
「北山奈子さん、ですか?」
スーツ姿の眼鏡をかけた真面目そうな男の人に名前を呼ばれたのだった。
「お前……、」
「何?」
「元気そうだな」
疲れ切った私を見てその感想?最近また仕事が忙しい。久しぶりに芦屋くんのお店に来れた……。
「お酒飲みたい」
「いや、あのさ……」
「何?」
「見てねーの?ワイドショーとか……」
「あー、見た。結婚するんだって?三木村さん」
「いや、あれは……!」
「嘘でしょ?どうせ」
珍しく感情的になっている芦屋くんは、珍しく、本当に珍しく私を心配してくれているようだ。私の言葉を聞いて、目を丸くしている。今日は本当に珍しい顔が見られるな。
さすがに、あんなに毎日毎日熱烈なメッセージを送ってこられて、会う度「大好きだよ」とか「可愛い」とか「全部食べたい」とか言われてるのに、他の人と結婚するなんて信じない。勝手に決め付けたりせずに、ちゃんと三木村博也という人と向き合うって決めたんだから。
「でも連絡が来ないのは気になるんだよね……」
「は?来てねーの?」
「うん……。忙しいんだろうね」
自分からしてもいいんだけど、もし仕事が忙しかったら迷惑だろうなと思ってあまりできない。ちょうど取材中なんかに電話をしてしまって、マスコミの人に見られたら大変そうだし。
何杯か飲んで、芦屋くんのバーを出た。明日も仕事。明後日も仕事。明明後日も仕事。仕事仕事仕事。
「はー、会いたいな……」
出会う前は一人で平気だったのに、会いたいな、寂しいな、疲れたからぎゅってしてほしいな、なんて考える。連絡、してみようかな……。
少し立ち止まって、鞄から携帯を取り出す。画面は真っ暗。やっぱり何も来てないか……。電源ボタンを押す。
「……ん?」
つかない。充電がないのかな?いつ切れたんだろう。長押ししてみる。あ、ついた。
「……え?」
電話とメッセージアプリに夥しい数の通知が来ている。私、もしかして電源切ってた……?
『奈子ちゃん、結婚なんて嘘だからね!』
『俺が好きなのは奈子ちゃんだけだから!』
『ちゃんと説明したい』
『奈子ちゃん会いたい』
『俺のこと嫌いになっちゃった……?』
『会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい』
どんどん悲痛に、そして不気味になっていくメッセージ。やばい、やばいやばいやばい。慌てて電話をかけようとした時だった。
「北山奈子さん、ですか?」
スーツ姿の眼鏡をかけた真面目そうな男の人に名前を呼ばれたのだった。
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