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伝言2
12 猫、ときどき女の子
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ある日の昼下がり。
昼休憩を終えた一ノ瀬はそろそろ昼休みが終わりそうなので、缶コーヒーを買って戻ろうかと思い、市役所のロビーを通りかかっていた。
「今週は月締めだから、例のごとく課長から残業させられるんだろうなあ……」
自分は公務員であるため、本来なら"残業"というものとは無縁なはずであるのに。どうも伝言課ではそう言った一般常識的なものは皆無らしい。
(まあ、あの人に仕事任しちゃ前みたいな羽目になるから、帰るに帰れないんだが)
この件に関しては移動したばかりだった4月に経験済みであるため、手の打ちようがないのは一ノ瀬も十二分に分かっている。
本当にあの時は大変だった。てか、良く今まで課が回ってたなと思ったし、同時に課に人が寄り付かない理由も、少し分かった気がする。
まあ、この話はまた後日にするとしよう。
所のロビーを出た所で、ふと視線を外に向けた。すると、1人の女の子がロビーの植木の前に座り込んでいたのが目に映った。
(あれ、親御さんはいないのかな?…あ、市役所に用があって待ってるとか?)
少し心配ではあったが、市役所前は人通りも多いし、所員もどうやら様子を伺っているようだった。
まあ、自分が気にするまでもないかとその日はそこを後にした。
だが次の日。はたして、あの女の子はまた植木の前に座り込んでいた。どうやら親御さんを待っているのではないらしい。さすがに心配になったので、「どうしたの?」と声を掛けた。
「お母さんかお父さんはどこかな?」
そう声をかけたが、女の子はジッと黙ったままこちらを見つめている。
「昨日もいたよね?俺、この建物の人なんだけど…」
気持ち優しめな声で、少し身をかがめてそう声を掛けたのだが……
「おじさん、ストーカー!」
「へっ?」
そう言いすてると、女の子はバッと突然立ち上がり、走り去ってしまった。
一方一ノ瀬はというと、今しがた起こった一瞬の出来事に対し、何が何だか分からない状態で一ノ瀬は頭にハテナを浮かべたまま、一時動けないでいた。
(え、てか"おじさん"て言った?言ったよね?…俺、おじさんなの!?)
軽くショックを受けた、いや、大きなショックを受けた一ノ瀬は、少しめまいを覚えながら、所の中にフラフラと入る。
まさか、あんな小さな子に「ストーカー」といわれ、おまけにおじさんとまで言われてしまった。
あれくらいの子から見て、30の俺はもう"おじさん"の部類なんだ……
「そんなに老けたのかな……?」
所内に戻って、市役所1階の隅にある伝言課の扉を開いた。
今はやけに入り口から伝言課までが遠く感じる。
何度目か分からない、大きなため息を吐きながら室内に入ると、三井が書類を片手に持ったままこちらを向いて、にんまりとした表情をしていた。
一ノ瀬は気づかない振りをして(相手にするほど暇ではない)、午後の業務のために、コーヒーを淹れてデスクに戻る。
が、10分近くそのままの状況に我慢ならず、三井の方に振り返る。
さっきから、三井の視線がイタイ。
「なんですか…ニヤニヤして。昼休みはとっくに終わりましたよ」
「はいはい、分かりましたよ。お仕事しましょうかね、"おじさん"」
「っな、なんでそれを……!」
そう言うと、クスクスと笑いながら三井は奥の部屋に消えて行った。
なぜ課長がその事を知っているんだ。てか、それを気にしていたのバレバレだったのか。
一ノ瀬は赤面しているであろう顔を右手で覆い、三井を振り返ったままの体勢で固まっていた。
恥ずかしすぎて、言葉もでない。
「昼休みおわってるよー」という三井の声でハッとし、お前に言われたくない、と内心毒吐きながら、午後の作業に取り掛かりはじめた。
昼休憩を終えた一ノ瀬はそろそろ昼休みが終わりそうなので、缶コーヒーを買って戻ろうかと思い、市役所のロビーを通りかかっていた。
「今週は月締めだから、例のごとく課長から残業させられるんだろうなあ……」
自分は公務員であるため、本来なら"残業"というものとは無縁なはずであるのに。どうも伝言課ではそう言った一般常識的なものは皆無らしい。
(まあ、あの人に仕事任しちゃ前みたいな羽目になるから、帰るに帰れないんだが)
この件に関しては移動したばかりだった4月に経験済みであるため、手の打ちようがないのは一ノ瀬も十二分に分かっている。
本当にあの時は大変だった。てか、良く今まで課が回ってたなと思ったし、同時に課に人が寄り付かない理由も、少し分かった気がする。
まあ、この話はまた後日にするとしよう。
所のロビーを出た所で、ふと視線を外に向けた。すると、1人の女の子がロビーの植木の前に座り込んでいたのが目に映った。
(あれ、親御さんはいないのかな?…あ、市役所に用があって待ってるとか?)
少し心配ではあったが、市役所前は人通りも多いし、所員もどうやら様子を伺っているようだった。
まあ、自分が気にするまでもないかとその日はそこを後にした。
だが次の日。はたして、あの女の子はまた植木の前に座り込んでいた。どうやら親御さんを待っているのではないらしい。さすがに心配になったので、「どうしたの?」と声を掛けた。
「お母さんかお父さんはどこかな?」
そう声をかけたが、女の子はジッと黙ったままこちらを見つめている。
「昨日もいたよね?俺、この建物の人なんだけど…」
気持ち優しめな声で、少し身をかがめてそう声を掛けたのだが……
「おじさん、ストーカー!」
「へっ?」
そう言いすてると、女の子はバッと突然立ち上がり、走り去ってしまった。
一方一ノ瀬はというと、今しがた起こった一瞬の出来事に対し、何が何だか分からない状態で一ノ瀬は頭にハテナを浮かべたまま、一時動けないでいた。
(え、てか"おじさん"て言った?言ったよね?…俺、おじさんなの!?)
軽くショックを受けた、いや、大きなショックを受けた一ノ瀬は、少しめまいを覚えながら、所の中にフラフラと入る。
まさか、あんな小さな子に「ストーカー」といわれ、おまけにおじさんとまで言われてしまった。
あれくらいの子から見て、30の俺はもう"おじさん"の部類なんだ……
「そんなに老けたのかな……?」
所内に戻って、市役所1階の隅にある伝言課の扉を開いた。
今はやけに入り口から伝言課までが遠く感じる。
何度目か分からない、大きなため息を吐きながら室内に入ると、三井が書類を片手に持ったままこちらを向いて、にんまりとした表情をしていた。
一ノ瀬は気づかない振りをして(相手にするほど暇ではない)、午後の業務のために、コーヒーを淹れてデスクに戻る。
が、10分近くそのままの状況に我慢ならず、三井の方に振り返る。
さっきから、三井の視線がイタイ。
「なんですか…ニヤニヤして。昼休みはとっくに終わりましたよ」
「はいはい、分かりましたよ。お仕事しましょうかね、"おじさん"」
「っな、なんでそれを……!」
そう言うと、クスクスと笑いながら三井は奥の部屋に消えて行った。
なぜ課長がその事を知っているんだ。てか、それを気にしていたのバレバレだったのか。
一ノ瀬は赤面しているであろう顔を右手で覆い、三井を振り返ったままの体勢で固まっていた。
恥ずかしすぎて、言葉もでない。
「昼休みおわってるよー」という三井の声でハッとし、お前に言われたくない、と内心毒吐きながら、午後の作業に取り掛かりはじめた。
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