地味な僕が女の子になれる皮を手に入れたら、大学のイケメンな先輩に本気で恋されてしまって正体がバレないか不安です

ひびきの

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第二話  第二の皮膚、最初の快楽

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僕はゆっくりと、自分の新しい身体を検分し始めた。

指で髪をすけば、そのサラサラとした感触にため息が漏れる。僕のゴワゴワした髪とは違う、シルクのような手触り。一本一本が光を反射して、天使の輪を作っている。

視線を下ろせば、華奢な鎖骨が緩やかな窪みを描いていた。指先でそっと、その骨のラインをなぞる。僕の身体にあった無骨さはどこにもない。そこから肩にかけての、なだらかで丸みを帯びた曲線。

あまりの繊細さに、自分の身体でありながら、壊れ物を扱うように触れてしまう。

そして、恐る恐る、胸のふくらみに手を置いた。
柔らかく、温かい。その控えめながらも確かな重みが、僕の意識に、私が「女」であることを何よりも雄弁に物語っていた。心臓の鼓動に合わせて、その柔らかな塊が微かに震える。

僕は、導かれるように、自分の手でその胸を揉んだ。指が、柔肉に沈み込む。
むにゅり、とした生々しい感触。

その感覚に、ぞくぞくとした震えが身体を駆け抜ける。

この身体は、紛れもなく僕の身体だ。なのに、全く別物のように感じられた。
そして、僕の身体だからこそ、その感覚の違いを強く感じることができるのだ。

「んっ……」

吐息を漏らしながら、僕は両手でその双丘を愛撫していく。
僕の身体だからだろうか、その感覚は現実感に満ちている。そのことに、僕はひどく興奮していた。

僕は夢中で、その柔肉を弄び続けた。
やがて、胸への愛撫を続けながら、その先端をいじくり始める。

「あっ……んぅっ……」

指先で軽くつまむと、それは僕の意図に応えるように、きゅっと硬く尖った。男の身体では経験したことのない、鋭く、それでいて甘美な感覚が、背筋から脳天へと駆け抜ける。

まるで電気じかけのスイッチを押されたかのように、身体がびくりと跳ねた。

「な……んだ、これ……」

息が上がる。視界が白く霞み、思考が快感に塗りつぶされていく。
僕の指が、僕の知らない快感の在り処を的確に探り当てていく。それは、自分で自分を慰めているという倒錯した状況でありながら、同時に、全く知らない他人の身体を貪るような、未知の興奮に満ちていた。

指を離し、ぜえぜえと荒い呼吸を繰り返す。シーツに広がる栗色の髪が、汗で首筋に張り付いていた。
しばらく放心していたが、やがて好奇心が再び鎌首をもたげる。

まだ、知らない場所があるはずだ。
僕が男だった頃には存在しなかった、女性だけの、聖域が。

おそるおそる、自分の手を下腹部へと滑らせる。平坦で、柔らかなお腹。その感触にさえ、いちいち感動してしまう。
そして、さらにその先へ。太ももの付け根の、温かく湿った場所へ。

指先が、その中心にある、小さな割れ目に触れた。

瞬間、さっきとは比べ物にならないほどの衝撃が、全身を貫いた。

「……っ、ぁ、ぅ……!」

声にならない声が漏れる。そこは、信じられないほど敏感だった。軽く触れただけで、身体の奥から熱いものが込み上げてくる。

僕は、夢中になってその割れ目をなぞり上げた。

「あっ! はぁっ……! あぁっ……!」

電流が走ったかのような刺激が、頭蓋を直撃する。あまりの快感に、身体がビクビクと震える。

「あ……あぁっ……!」

割れ目をなぞりながら、僕はもう片方の指で乳首をこねる。

「んぁ……あぁんっ……!」

両方の感覚が同時に襲いかかってきた。
これが、この身体の核心。僕が男である限り、決して手に入れることのできなかった場所。

僕は、まるで聖なる泉に触れる巡礼者のように、震える指でその場所をそっと撫でた。

ぬるりとした生々しい感触。僕の指の動きに合わせて、身体が勝手に腰を揺らす。
もう、思考は完全に麻痺していた。

ただひたすらに快感を貪るだけ。その快楽が、やがて絶頂へと昇華されるまで、僕は狂ったように自らの秘所をいじり続けた。

「……っ……はぁ……はぁ……!」

やがて、全身から力が抜け落ちた。
呼吸が荒い。全身汗ばんでいる。そして、股間はぐっしょりと濡れていた。

「……はっ……ぁ……!」

ただ、快感という名の奔流に、身を任せるだけ。
自分が「相沢悠真」であることも忘れ、ただひたすらに、自分の理想を模した存在を、その身体の隅々まで味わい尽くしていた。

どれほどの時間が経ったのか。

絶頂の波が引き、ぐったりとベッドに沈み込んだ僕の意識は、朦朧としていた。

しかし、その中で一つだけ、はっきりと思ったことがある。

もう、戻れない。
この快感を知ってしまったら、もう、あの惨めな「相沢悠真」として生きていくことなんて、できそうにない。

それで、いい。

僕は、僕を捨てる覚悟を決めた。

ゆっくりと身体を起こし、再び鏡の前に立つ。
そこには、頬を上気させ、潤んだ瞳でこちらを見つめる、一人の美しい少女がいた。

栗色の髪がふわりと肩口に揺れる。その髪からは甘い匂いが漂ってくる。
僕の目の中に映っているのは、僕自身の姿だ。それなのに、どうしてこんなに別人のように見えるんだろう。

まるで、夢を見ているようだ。

その姿に、僕は名前を与える。

「結月(ゆづき)」

僕が理想とする「少女」の名。
その名前を口にしたとき、不思議な確信を抱いた。
僕はこの名前こそが、「僕」の本当の名だ、と。

「……ふふっ」

鏡に映る「結月」が、嬉しそうに微笑む。
その姿があまりにも魅力的だった。

僕は夢中で、彼女の髪をすいた。

プラスチックの安物の櫛が、シルクの繊維を解きほぐしていく。サリ、サリ、という微かな音だけが、静まり返った部屋に響いていた。

それは僕にとって、初めて聴く子守唄のようでもあり、新しい世界の始まりを告げるファンファーレのようでもあった。

一櫛ごとに、髪は艶を増し、光の輪がくっきりと浮かび上がる。僕はまるで、至高の芸術品を仕上げる職人のように、一心不乱にその作業に没頭した。

これは儀式だ。「相沢悠真」の残滓を払い落とし、完璧な「結月」を完成させるための、神聖な儀式。

ふと、一つの疑問が浮かんだ。
この「皮」は、手入れが必要なのだろうか。

箱の中身を思い出す。皮本体の他に、小さなボトルが一本、緩衝材に埋もれていたはずだ。僕は立ち上がり、空になった段ボール箱を漁る。あった。手のひらサイズのシンプルなボトル。ラベルには『Skin Refresher』とだけ印字されている。

キャップを捻ると、甘く、どこか無機質な香りがした。中には、乳白色の液体が満たされている。僕はそれを数滴、結月の手の甲に垂らしてみた。
ひんやりとした液体が、肌の上を滑る。それを指で優しく塗り広げると、液体はまるで肌に溶け込むように、すうっと吸収されていった。

そして、驚くべき変化が起きた。
液体を塗った部分だけ、肌の透明感が一段増し、血色が良く、より「生きた」肌になったのだ。

「……すごい」

これは、結月を生かすための「栄養」なのだ。

僕は、いてもたってもいられなくなり、その乳白色の液体を身体中に塗りたくり始めた。

足の指先から、しなやかな脹脛へ。丸みを帯びた膝小僧、そして柔らかな太ももへ。液体を塗り込むたびに、肌が喜んでいるかのような、微かな震えが皮越しに伝わってくる。
自分の身体を、まるで愛しいペットか、あるいは神聖な偶像でも扱うかのように、慈しみ、磨き上げていく。

下腹部、腰のくびれ、そして先ほどあれほど僕を狂わせた胸のふくらみにも、たっぷりと液体を塗り込んだ。先端は再び硬く尖り、僕を誘う。
だが、今は性的欲求よりも、この身体を完璧な状態に保ちたいという、創造主としての欲求が勝っていた。

全身にリフレッシャーを塗り終えた頃には、鏡の中の結月は、先ほどよりもさらに輝きを増していた。それはもはや、生身の人間というより、生命を吹き込まれた最高級のビスクドール。

僕だけの、芸術品。

満たされたため息をつき、僕は改めて鏡の中の自分を見つめた。
完璧な身体は手に入れた。

だが、まだ足りない。圧倒的に、足りないものがある。

「服……化粧……仕草……」

この完璧な身体に、相応しい服を。
この完璧な容姿に、相応しい化粧を。
この完璧な存在に、相応しい振る舞いを。

そうだ。僕はただ、結月になっただけじゃない。

僕は、結月の「プロデューサー」になったんだ。

相沢悠真は死んだ。今はただ、結月という最高の作品を世に送り出すための、創造主がいるだけだ。
その第一歩として、何をすべきか。答えは決まっている。

「……まずは、この身体に似合う、最高に可愛い服を、手に入れなくちゃ」

鏡の中の結月が、自信に満ちた、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
部屋に閉じこもる時間は終わりだ。

僕と結月の、本当の挑戦が、今まさに始まろうとしていた。

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