悪役ですが、死にたくないので死ぬ気で頑張ります!!!

モツシャケ太郎

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第二章 乙女ゲーム?

逃走中

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街灯でほんのり明るい街中を、駆け走る。 

追手などはいないが、立ち止まるのがなんだか恐ろしくて、止まることができない。
だが、俺の気持ちとは裏腹に、俺の足は限界だったのか、転んで地面に突っ込んでしまった。


ヒューッヒューッと、自分の喉から変な音が出てくるし、涙も止まらなくなる。


もう真夜中で、本来の7歳児なら寝る時間だ。
でも、いつもの俺ならば、自室で勉学書を読んでいる頃だろう。
そして、いつもならば、ヴァルカンにもうご就寝の時間ですよと、怒られるんだ。 

いつもならば。


───でも、恐らく俺はその"いつも"に戻ることは出来ない。
………公爵に火傷を負わせて、逃走してしまったんだからな。 

あの時は、何をするのが正解か分からなかった。
ただ、確かに言えることは……あのままあそこにいたら、俺はもっと酷い目に遭っていた。


そういえば、ゲームのサザンカも、俺と同じように魔力暴走を起こしたはずだ。 

ゲームのサザンカが、乙女ゲーム開始まで生存していたことを考えると、恐らくあそこでは死にはしないのだろう。死には。



「死ぬこと以外はかすり傷」なんて聞いたことあるが、俺はそうとは思えないのだ。
きっと、そう言って我慢して、我慢して我慢して。
この世界に絶望して、自ら命を断ってしまう人だっている。
その人たちのことを考えると、どうしてもその言葉には賛成できない。



閑話休題。 

まあ、色々考えてみても、俺は逃げて正解だったのだと思う。


涙も少し落ち着いてきて、呼吸も落ち着いてきたところで、俺は再び公爵家から離れるために歩き始める。
走ろうとするが、何故か足に力が入らなくて、走ることができない。 



だが、少し歩いたところで、また転んでしまう。


起き上がろうとするが、体全体が鉛のように重くて起き上がることができない。




───嗚呼、もうダメかもしれない。
せっかく公爵から離れることが出来たのに、逃げたら逃げたでこの有様だ。




日が出てきたのか、辺りが段々と明るくなっている。
──いや、それだけじゃない。目の前に白いモヤがかかってきて、段々と意識が薄れ始めていっているのだ。








「─··!─ろ!こん─··ころ─に─··が─··倒れて─··─!」 



遠くの方で声が聞こえる。
もしかして、誰かが助けてくれるのだろうか。
そんな一抹の希望を持った束の間。


「こりゃ··上物··─!!俺らで売っちま··─おうぜ!」 

───これ、俺売られるくね?
やばいじゃん!やばいじゃん! 

薄れゆく意識を戻してなんとか必抵抗をする。 

「おお!?コイツすげえおキレイじゃねえかよ!!!」


「まず俺らで味見したっていいよな?」


下卑た笑みを浮かべた男たちの顔を見て背筋が凍った。



まてまてまてまて!?!?俺は男だぞ!?
しかも7歳!!!コイツら正気か!?!?




俺のボタンを外し始める男たち。
公爵に対する恐怖とは、また違った恐怖を感じる。




やばい。終わった───






「そこで、何をしている」
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