黄昏一番星

更科二八

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1章 呪いの女

122話 尋問

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影の中の気配に向かって言葉を発したと同時に頭上から殺気を感じた。

すかさず俺の頭上で大きな水球の魔法を発動するのと同時に、生まれた水球の中には1人の竜人族が飛び込んだ。

水球の魔法は水の初級魔法で俺の1番得意な魔法でもある。
何もない空間に水の球を生み出し浮かせる。それだけの魔法だが、工夫次第でかなり応用が効く。
俺は自分の半径20メートルぐらいであれば、どんな大きさ、形でも瞬時に発動できる。
今回は竜人族の位置は把握して魔法を準備までしていたので造作もない。

竜人族が飛び込んだ水球の魔法を転用し水牢の魔法を発動する。
これでどれだけ踠こうが体全体に水が纏わりつき水球から出られない。
俺の魔力に満ちた水の中では自身の魔力を外に出して魔法を発動させる事は難しいだろう。
氣を強く纏えば俺の魔力を吹き飛ばす事が出来るがこいつにはそれほどの技量は無さそうだ。
溺れ死ぬ前に教皇を捉えてしまおう。

再び教皇と思わしき人物に意識を向けると逃げ出そうと走り出した。
強い殺気を飛ばす。
「ひっ!!」
教皇と思わしき人物は短い悲鳴と共に体を強張らせ転んだ。
殺気を放ち続けながら歩み寄ると影の中にあった人物の姿がやっと認識できる様ようになる。
普人族の男で50代ぐらいだろうか。
黒のマントに身を包んでいるがマントには細やかな黒の刺繍が施されて高そうだ。
下に見える服も黒だがこれまた金の細かな刺繍が目立つ。
それなりな地位の人物であることは衣服からわかる。

「あんたが教皇か?」

床に倒れ震える男に問うと男はゆっくりと重たそうに手をこちらに突き出した。
手の前に光の球が浮かび強く輝く。

パチン

男が放ってきた魔法は俺の体の少し手前で弾けた。
なんて事のない光線の魔法は俺の体に纏う氣にあっさりと弾かれて終わった。

「お前が教皇か?」

威圧を強め再び問う。
男は涙を流し歯をがくがく鳴らしながら細かく何度も頷く。

「大勢殺させたみたいだな。なんでだ?」
「わわわわ、わた、私は、掃除を、そ、掃除をしていただけだ。ご、ゴミを消して何が悪い。わ私は、世界を綺麗にしていただけだ」
「あ?意味わかんねえ」

ゴミってなんだ、エドガーは勝手にゴミ扱いされて殺されたってのか?他の奴らも?
教皇だかなんだか知らんがたかが人如き何様なんだ。

「何を持ってゴミだと判断した?人の命だぞ、お前はゴミじゃねえのか?」

沸々と湧いた怒りに語気が強まる。
それに伴い威圧も増してゆく。
教皇は更に震えを増し涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃする。
この顔に権威なんてあったもんじゃない。

「あっあ、悪き魂を持った人間は世界にいてはならない!あの、あの方の世界を綺麗にしなくては、わ、私が綺麗にしなくては」
「あの方?誰だ?」
「り、リリエス様、ああ、リリエス様!私をあなたに尽くした私をどうか、どうかお救いを!さすれば私はもっとあなたにこの身全て、生涯をあなたに尽くします。どうか、どうか!!!」
「ああ!クソがよ!狂ってんじゃねーぞ!」

神に縋って何になるってんだ。
何か意思があるなら貫けよ。

「リリエスさま!!!」
「うっせえ」
「ひっ!」

叫ぶ教皇の頭を鷲掴みにし俺の氣を教皇の体に送りつけ氣を乱す。
教皇は白目をむき、体からは力が抜ける。

「尋問下手くそだな・・・」

教皇から何も聞かずに兵士団に引き渡すとそれ以降俺に情報は入ってこないかもしれないと思い、気になることは聞き出そうと考えていたのだが、所詮俺がやれる事と言えば脅して吐かせるぐらいである。
脅した状態の冷静な思考でない会話なんて無茶苦茶だ。
結果ただ腹が立っただけだった。

悪き魂って何だ、エドガーの魂はキラキラして暖かい。それに比べたら教皇の魂は酷く歪んでいる様に感じる。

印象だけで言えば教皇の方がよっぽど悪き魂じゃないのか。
というかどうしたら魂がこんな状態になるんだ。
色々訳がわかんなくて腹が立つ。
さっさとこいつ突き出して帰って寝よう。
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