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3章 バーンデッドディザスター
462話 ベルモンド商会
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シャンデール王国の西端に位置するホブラ領にはランボス海峡というシャンデールの北の海と西の海をつなぐ細い海峡があり、その海峡の向こうにはグラスマルク聖法国がある。
シャンデール、グラスマルクそれぞれの国が成立する遥か以前からこの地域は大陸の西側と中央を結ぶ交易の要所として栄えてきた場所であり、今でも毎日多くの人とものが移動している。
12月後半のとある日、馬車を数台も詰め込めるほど大きな最新鋭の魔道船からグラスマルクの中でも大店であるベルモンド商会の商隊がホブラ領へと降り立った。
商隊の代表はローラン・ベルモンド。
ベルモンド商会ではNo.2の男。
魔石と魔道具を基本商品としているベルモンド商会はこの先シャンデール王国での展開を考えている。
今回はシャンデールでの市場視察や新規開発される魔石鉱山の参入などの目的で訪れていた。
ベルモンド商会の商隊は港に降り立つと直ぐにシャンデールの商人たちに出迎えられた。
取引先としてめぼしい商会などへは事前に通達を行っていたのでこれからはシャンデール国内を巡り交渉も行っていく予定だ。
ローランはシャンデールの商人たちに笑顔で受け答えをする。そしてベルモンド商会の人間数人を引き連れて早速交渉の場へと向かっていく。
港に残されたベルモンド商会の馬車を轢く一団は予定していた通りに今日の宿泊予定地である港近くの大きな宿屋へと向かっていった。
その夜ベルモンド商会が借りている部屋の一つに1人の少女が小さな灯りを灯して本を読んでいた。
少女はどこか集中できない様子でお腹を摩る。
「お腹へったな」
悲しそうな表情を浮かべ少女はそう言葉を漏らした。
するとそのタイミングで部屋のノックが鳴った。
少女の浮かなかった顔は一瞬で笑顔に変わる。
「どうぞ!」
楽しげな声で少女が入室を促すと扉が開き、1人の修道士姿の男と生気の感じられない虚な表情の女が入ってきた。
「神父様!」
「セラ、遅くなってすみません。ローラン様とのお話しが長引いてしまいまして」
「お父様は大丈夫?」
「色々な姿の人とお話をされて随分お疲れのようでした。でも私との話で少し気がまぎれたようです。セラもローラン様とお話してあげてください。それだけでもきっとローラン様の助けになりますよ」
「うんっ!わかった!」
少女ははつらつとした様子で神父に返事を返した。
そして直ぐに神父の後ろに控える女性へと意識を向ける。
「食べすぎてはダメですよ。ここでは食事に困りませんから」
「はい」
神父は少女の返事を聞くと虚な顔の女を少女の前へと促し、虚な顔の女は少女の前で跪いた。
「いただきます!」
少女は女の首筋に噛みつき人よりも長く伸びた牙を突き立てた。
傷から溢れる血液を少女は夢中で飲んでいく。
部屋にはしばらく小さな血を啜る音が響いた。
「ご馳走様!」
少女は満面の笑みで神父に言った。神父も満足げな表示でそれに応える。
「では、今日はもう遅いですからお休みにしましょう」
「はい!神父様おやすみなさい」
神父は吸血された女を立ち上がらせると少女に笑顔を向けて部屋を出た。
そしてそのまま宿の外まで向かう。
神父は完全に生気を失った女に一つの魔石を握らせる。
「これを何処かの墓地まで運べ」
そう伝えると女はとぼとぼとゆっくりした歩みで夜の闇に消えていった。
神父はそれを最後まで見送ると人間臭く大きなため息を吐いた。
シャンデール、グラスマルクそれぞれの国が成立する遥か以前からこの地域は大陸の西側と中央を結ぶ交易の要所として栄えてきた場所であり、今でも毎日多くの人とものが移動している。
12月後半のとある日、馬車を数台も詰め込めるほど大きな最新鋭の魔道船からグラスマルクの中でも大店であるベルモンド商会の商隊がホブラ領へと降り立った。
商隊の代表はローラン・ベルモンド。
ベルモンド商会ではNo.2の男。
魔石と魔道具を基本商品としているベルモンド商会はこの先シャンデール王国での展開を考えている。
今回はシャンデールでの市場視察や新規開発される魔石鉱山の参入などの目的で訪れていた。
ベルモンド商会の商隊は港に降り立つと直ぐにシャンデールの商人たちに出迎えられた。
取引先としてめぼしい商会などへは事前に通達を行っていたのでこれからはシャンデール国内を巡り交渉も行っていく予定だ。
ローランはシャンデールの商人たちに笑顔で受け答えをする。そしてベルモンド商会の人間数人を引き連れて早速交渉の場へと向かっていく。
港に残されたベルモンド商会の馬車を轢く一団は予定していた通りに今日の宿泊予定地である港近くの大きな宿屋へと向かっていった。
その夜ベルモンド商会が借りている部屋の一つに1人の少女が小さな灯りを灯して本を読んでいた。
少女はどこか集中できない様子でお腹を摩る。
「お腹へったな」
悲しそうな表情を浮かべ少女はそう言葉を漏らした。
するとそのタイミングで部屋のノックが鳴った。
少女の浮かなかった顔は一瞬で笑顔に変わる。
「どうぞ!」
楽しげな声で少女が入室を促すと扉が開き、1人の修道士姿の男と生気の感じられない虚な表情の女が入ってきた。
「神父様!」
「セラ、遅くなってすみません。ローラン様とのお話しが長引いてしまいまして」
「お父様は大丈夫?」
「色々な姿の人とお話をされて随分お疲れのようでした。でも私との話で少し気がまぎれたようです。セラもローラン様とお話してあげてください。それだけでもきっとローラン様の助けになりますよ」
「うんっ!わかった!」
少女ははつらつとした様子で神父に返事を返した。
そして直ぐに神父の後ろに控える女性へと意識を向ける。
「食べすぎてはダメですよ。ここでは食事に困りませんから」
「はい」
神父は少女の返事を聞くと虚な顔の女を少女の前へと促し、虚な顔の女は少女の前で跪いた。
「いただきます!」
少女は女の首筋に噛みつき人よりも長く伸びた牙を突き立てた。
傷から溢れる血液を少女は夢中で飲んでいく。
部屋にはしばらく小さな血を啜る音が響いた。
「ご馳走様!」
少女は満面の笑みで神父に言った。神父も満足げな表示でそれに応える。
「では、今日はもう遅いですからお休みにしましょう」
「はい!神父様おやすみなさい」
神父は吸血された女を立ち上がらせると少女に笑顔を向けて部屋を出た。
そしてそのまま宿の外まで向かう。
神父は完全に生気を失った女に一つの魔石を握らせる。
「これを何処かの墓地まで運べ」
そう伝えると女はとぼとぼとゆっくりした歩みで夜の闇に消えていった。
神父はそれを最後まで見送ると人間臭く大きなため息を吐いた。
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