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第三章 束の間の幸せ
18.5 告白 sideポポロム
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休日、僕はリアさんと約束どおり公園へ日光浴に来ていた。
僕の勤める病院は、比較的ちゃんと休日が取れる体制なので、こうしてリアさんと一緒に過ごせる時間があるのは本当にありがたい。もちろん、急患が出た時は別だけれども。
リアさんは、最初恥ずかしそうに上着を着ていたが、その隙間から見える水着や肌の色も僕にとっては愛おしくてたまらなかった。
シートの上に座ると、リアさんは上着を脱いだ。顕になった黄色基調のビキニの水着は、先日僕が買ってあげたものだ。
途中でリアさんが日焼け止めを塗ろうとしたので、15分だけ何もなしで日光浴をしましょうと止めた。
この間は、小麦色に焼けたリアさんも、白い肌のリアさんもどちらも好きだなんて言ったけれど、僕はやはり、リアさんは白い肌の方が似合うと思った。
15分後、リアさんが日焼け止めを塗り出したかと思うと、急にソワソワし始めた。
どうしたのかと思っていると……。
「あの……。すみません、背中だけお願いしていいですか!?」
挙動不審になっていたリアさんが、日焼け止めを差し出してきた。
「えっ」
「今朝、お父様にお願いするのを忘れてて……」
リアさんは申し訳なさそうな、照れた風な顔をして言った。
きっととても勇気を出して言ってくれたのだろう。
僕はその勇気を無下にしないために、日焼け止めを受け取った。
「そ、それじゃあ、失礼して……」
「はい、思いっきりやっちゃってください!」
「そんな、力まなくても……」
リアさんは綺麗に背筋を伸ばし、背中を向けて座った。
本当は身体に塗る時は直接クリームを出した方がいいのだが、これ以上リアさんを混乱させるのもどうかと思い、一旦手に出すことにした。
チューブを押して右手にクリームを適量出す。
背中の中心に手を当てると……
ぴと。
「ひゃあぅ!?」
「えっ、す、すみません……!?」
いつもよりオクターブ高い声を聞いて、驚いて手を離す。
「い、いえ、すみません……。思ってた以上に冷たくて」
ああ、そうか。いくら天気がいいと言っても、外気温は18度くらいだ。
そのままクリームをつけたら冷たいに決まってますよね。
リアさんのかわいい声を聞きたくて、もう一度やりたい衝動を抑えながら、手のひらで丁寧にクリームを伸ばしていく。
あの痛ましい事件の時のアザは、もう残っていない。
とてもキレイな肌だ。
良かった……。
このまま……。
このまま、テオさんの事は忘れたままで……いてくれたらいいのに……。
日焼け止めを塗り終えてしまった。
もっと触れていたい。
あのお酒の時のような理性が効かない状態ではなく、ちゃんとリアさんを感じたい。
愛おしさが溢れ、リアさんを後ろから抱きしめてしまった。
「せ、先生……?」
「終わりました」
「いえ、あの……恥ずかしいです……。人目が……」
「周りはカップルばかりですよ。こちらの事なんて気にしていません」
耳元で囁く形になってしまい、リアさんはぴくりと緊張で肩を震わせた。
「リアさん。僕は、もう我慢できません」
僕は、リアさんの肩を掴んでこちらを向くようにした。
これだけは、目を見て真っ直ぐに言いたいと思った。
「あなたの事が好きです。ずっとずっと、昔から……。素敵な女性になって、僕の前に現れた時は驚きました」
それを聞いたリアさんは、真っ赤になって俯いてしまった。
「先生……。とても、嬉しいです。でも……私でいいんですか……?」
「どうしてそう思うのですか?」
「だって、私は……」
そこで、リアさんは言葉を止めて視線を逸らした。
ああ、おそらくリアさんはアルフレッドさんとのことを覚えている。
それを気にしているのだ。
テオさんとの記憶は失くしても、心の奥深くにはアルフさんの存在があるのだろう……。
それでもいい。
「かまいませんよ」
僕は、不安にさせないように笑顔を作った。
「全部まるごと、あなたを愛します」
そう言うと、リアさんは泣き声を殺しながら大粒の涙を溢した。
「ううっ……」
「泣かないで、リアさん」
「ありがとう……ございます……。そんな風に言ってもらえたのは、初めてです……。よろしく、お願いします……」
僕は雑踏の中、リアさんの涙が他の人の目に触れないように抱きしめた。
好奇の視線をリアさんに勘付かれないように包み込む。
これでいい。これでいいんだ。
リアさんを幸せにするのは、僕の役目だ。
僕の勤める病院は、比較的ちゃんと休日が取れる体制なので、こうしてリアさんと一緒に過ごせる時間があるのは本当にありがたい。もちろん、急患が出た時は別だけれども。
リアさんは、最初恥ずかしそうに上着を着ていたが、その隙間から見える水着や肌の色も僕にとっては愛おしくてたまらなかった。
シートの上に座ると、リアさんは上着を脱いだ。顕になった黄色基調のビキニの水着は、先日僕が買ってあげたものだ。
途中でリアさんが日焼け止めを塗ろうとしたので、15分だけ何もなしで日光浴をしましょうと止めた。
この間は、小麦色に焼けたリアさんも、白い肌のリアさんもどちらも好きだなんて言ったけれど、僕はやはり、リアさんは白い肌の方が似合うと思った。
15分後、リアさんが日焼け止めを塗り出したかと思うと、急にソワソワし始めた。
どうしたのかと思っていると……。
「あの……。すみません、背中だけお願いしていいですか!?」
挙動不審になっていたリアさんが、日焼け止めを差し出してきた。
「えっ」
「今朝、お父様にお願いするのを忘れてて……」
リアさんは申し訳なさそうな、照れた風な顔をして言った。
きっととても勇気を出して言ってくれたのだろう。
僕はその勇気を無下にしないために、日焼け止めを受け取った。
「そ、それじゃあ、失礼して……」
「はい、思いっきりやっちゃってください!」
「そんな、力まなくても……」
リアさんは綺麗に背筋を伸ばし、背中を向けて座った。
本当は身体に塗る時は直接クリームを出した方がいいのだが、これ以上リアさんを混乱させるのもどうかと思い、一旦手に出すことにした。
チューブを押して右手にクリームを適量出す。
背中の中心に手を当てると……
ぴと。
「ひゃあぅ!?」
「えっ、す、すみません……!?」
いつもよりオクターブ高い声を聞いて、驚いて手を離す。
「い、いえ、すみません……。思ってた以上に冷たくて」
ああ、そうか。いくら天気がいいと言っても、外気温は18度くらいだ。
そのままクリームをつけたら冷たいに決まってますよね。
リアさんのかわいい声を聞きたくて、もう一度やりたい衝動を抑えながら、手のひらで丁寧にクリームを伸ばしていく。
あの痛ましい事件の時のアザは、もう残っていない。
とてもキレイな肌だ。
良かった……。
このまま……。
このまま、テオさんの事は忘れたままで……いてくれたらいいのに……。
日焼け止めを塗り終えてしまった。
もっと触れていたい。
あのお酒の時のような理性が効かない状態ではなく、ちゃんとリアさんを感じたい。
愛おしさが溢れ、リアさんを後ろから抱きしめてしまった。
「せ、先生……?」
「終わりました」
「いえ、あの……恥ずかしいです……。人目が……」
「周りはカップルばかりですよ。こちらの事なんて気にしていません」
耳元で囁く形になってしまい、リアさんはぴくりと緊張で肩を震わせた。
「リアさん。僕は、もう我慢できません」
僕は、リアさんの肩を掴んでこちらを向くようにした。
これだけは、目を見て真っ直ぐに言いたいと思った。
「あなたの事が好きです。ずっとずっと、昔から……。素敵な女性になって、僕の前に現れた時は驚きました」
それを聞いたリアさんは、真っ赤になって俯いてしまった。
「先生……。とても、嬉しいです。でも……私でいいんですか……?」
「どうしてそう思うのですか?」
「だって、私は……」
そこで、リアさんは言葉を止めて視線を逸らした。
ああ、おそらくリアさんはアルフレッドさんとのことを覚えている。
それを気にしているのだ。
テオさんとの記憶は失くしても、心の奥深くにはアルフさんの存在があるのだろう……。
それでもいい。
「かまいませんよ」
僕は、不安にさせないように笑顔を作った。
「全部まるごと、あなたを愛します」
そう言うと、リアさんは泣き声を殺しながら大粒の涙を溢した。
「ううっ……」
「泣かないで、リアさん」
「ありがとう……ございます……。そんな風に言ってもらえたのは、初めてです……。よろしく、お願いします……」
僕は雑踏の中、リアさんの涙が他の人の目に触れないように抱きしめた。
好奇の視線をリアさんに勘付かれないように包み込む。
これでいい。これでいいんだ。
リアさんを幸せにするのは、僕の役目だ。
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